6月定例県議会一般質問の内容(2)
6月定例県議会で私が行った一般質問の内容報告の2回目です。
今回は、長野マラソンへの県の支援とスポーツ振興部の設置についてですが、今後も長野マラソンへの県の支援姿勢をもっと積極姿勢へ転換させるとともに、五輪開催県としてスポーツ振興に力を入れることに取り組んで行く決意です。
【竹内質問】
長野冬季オリンピックの成功を記念し、唯一オリンピックの名称を使った「長野オリンピック記念 長野マラソン」は、昨年は大震災で中止となりましたが、今年4月15日に開催された第14回大会は過去最高のランナーの参加を得て盛大に行われました。
ただ、こうした一大大会を継続して行くには、運営面での苦労も多く、長野冬季オリンピックから14年が経過した今日、この大会の意義や位置付けを改めて再認識し、将来に渡って安定的に引き継いで行くことが問われています。
その意味で、この大会への県の姿勢を中心に伺います。
大会の運営経費は県、長野市、信濃毎日新聞社の主催3団体の負担金とスポンサー収入の協賛金、参加料収入で成り立っています。
11回大会までは長野オリンピック記念基金からの補助金が3,500万円ありましたが、それもなくなり、参加料を値上げし、長野市負担金の増額、支出経費の圧縮等でカバーしてきました。
県の負担金は1回大会から4回大会まで1,500万円で推移、田中県政時代に1,000万円、950万円、900万円と徐々に減額され、村井県政時代には、宝くじの助成金を充てることで1,500万円に戻りました。
しかし、それが今年の大会では、県の負担金は900万円となってしまいました。大会事務局では減額幅の見直しを求めましたが、県の対応は変わりませんでした。
そして、今年の大会は、負担金=県900万円、長野市2,675万円、信濃毎日新聞3,000万円、NHK105万円。協賛金=6,500万円。参加料=8,415万円等で開催されましたが、今回、県が負担金を減額したことは、今後 「主催団体の一員である県が引く姿勢なら私達も」と他の主催団体や協賛スポンサーも消極姿勢になることが予想され、大会運営がさらに厳しくなる恐れがあります。
大会事務局によると、「大会規模は毎回大きくなり参加料収入が増えているにもかかわらず、経費節減に努めているが、それも既に限界にきている」とのことです。
マラソンブームを反映して、全国各地でいま、市民マラソン大会を経済活性化につなげようと新しい大会が相次いで誕生しています。
東京マラソンが新規参入後の2010年以降、新たにはじめた大会を県レベルに絞り、負担金も含め紹介すると、奈良マラソン・県負担金7,000万円、大阪マラソン・府負担金1億円、兵庫マラソン・県負担金7,500万円、徳島マラソン・県負担金3,000万円等ですが、行政がいかに大会に力を入れているかがわかります。
長野マラソンの経済波及効果については、長野経済研究所が8回大会当時行った調査で5億円強との試算を公表していますが、参加者はその後、毎回増えており、近く今年の大会での波及効果が発表されると思いますが、恐らく倍に近い数字が出ると思われます。
知事は、さまざまな場面で観光とスポーツの連携を強調されています。
長野マラソンは大都市のような派手さはありませんが、長野らしさを出した魅力的な大会だからこそ、全国トップクラスの人気を維持していると思います。
参加者の半数以上は、県外から訪れます。海外からも例年100人を超えています。長野市内の宿泊施設は満杯、山ノ内町や上田市、千曲市までランナーは宿泊しています。
以上、様々申し上げましたが、長野マラソンは、世界的にも珍しいIOCから公認された市民マラソン大会であり、オリンピック招致や大会運営にかかわった県として、大会を支援し後生に残して行く責務があるにもかかわらず、主催者としての負担金の削減は、本県でオリンピックが開催されたことを自ら風化させている行為と言わざるを得ません。
また、他県などがマラソンブームに乗じて、経済活性化のため大会開催に参入する中、長野マラソンを育成する立場であるのに、本県の姿勢が後退していることが理解できません。
そこで、来年度以降、主催者の一員である県として、負担金など大会の運営・支援について、どの様な姿勢で取り組むお考えか知事に伺います。
次に、スポーツ振興部の設置について伺います。
選手の育成・強化等のスポーツ振興予算が年々縮小されたことに対し、様々な団体からスポーツ振興予算増額の要望があり、今年度予算で一定の増額が行われました。
しかし、スポーツ振興に関しては、長野マラソンへの支援をはじめ様々な要望が寄せられておりますが、予算対応で困っている事例が多いと思います。
なぜなら、教育委員会では当面の課題として、中学校への35人規模学級の導入、高校の耐震化、高校再編への対応などの予算を優先せざるを得ず、他の課題について抑制せざるを得ない現実が強いられているからです。
そこで、予算執行権限が付与されていない教育委員会の悩みを解消し、スポーツ振興を推進するため、他県でも行っているスポーツの所管等を知事部局に法の範囲で移し、スポーツ振興に関する部・局を設置し、オリンピック開催県としてスポーツ立県としての取り組みを行うべきと思いますが、知事の決意を伺います。
【知事答弁】
長野マラソンは、参加選手、大会関係者そして地職の熱意に支えられ、国内有数の大会に成長したと認識している。
また、同時開催の車いすマラソンや、ー昨年に新たに設けられた視覚障害者の部も加え、オリリンピックとパラリンピックを開催した都市にふさわしいスポーツイベントと承知しており、関係者に敬意を申し上げたい。
県では、これまで、新たなスポーツイベントが県内に定着できるよう、全国規模の大会から坤域レベルの大会まで、様々‘な大会を幅広く支援してきた経過があるが、その後、支援のあり方を見直す中で、現在では、参加者が全国的規模であったU、社会的な影響が大きい大会に絞り、支援を行っているところです。
長野マラソンは、その歴史、内容、規模等から、県が主催者の一員として参画し、支援すべきスポーツ大会として、位置付けており、県財政は一層の厳しさが予測される中、来年度の負担金額は、今後の予算編成の中で検討していくが、引き続き、主催者の一員として、・大会が継続、発展できるよう努力してまいりたい。
次に、スポーツの知事部局への移管についてお答えします。
最近のスポーツを取り巻く環境は、大きく変化し、昨年、50年ぶりに全面改正されたスポーツ基本法では、スポーツ本来の価値とともに了青少年の健全育成、健康の保持増進、地域経済発展への寄与など、スポーツが担う多面にわたる役割が新たに明記されました。
県でも、この役割に着目し、本年度、スポーツを核とした部局連携事業に取り組むとともに、競技力向上事業も予算を増額し、その強化を図ったところです。
スポーツに関する事務は、法律上、教育委員会の所管とされているが、条例で制定すれば「学校体育」を除き、知事部局で管理、執行が可能とされており、全国的には、現在、14の都道府県で、知事部局がスポーツ部門を所管している状況がある。
本県の場合、スポーツを支援する企業や大学の数が多いとは言えない状況の中、スポ-ツを現場で支えているのは学校教員の存在も大きいという実態があり、また、本格的にスポーツを始め成長する場としての役割を果たしているのは、学校の運動部活動であることから、広く関係者の意見を伺う必要がある。
スポーツに対する期待の高まりと、多様化するニーズに的確に対応できる組織のあり方について、議員の提案も参考に、今後、研究してまいりたい。