たけちゃん活動・生活日誌

県議としての活動に追われてきましたが、引退後の生活の様子や、感じていることを発信しています・・・。

予算の原点

2008年01月10日 | Weblog

原点を忘れない予算編成を!

 

 1月7日日の朝日新聞に「サルに慰謝料半世紀 観光に失敗、島に放置 鹿児島」との見出しで、次の記事がありました。

 

 「鹿児島県沖の東シナ海に浮かぶ孤島に、厄介払いされたサルたちが暮らしている。ルーツは半世紀ほど前に連れて来られた2組のつがい。人間はその子孫たちを観光資源にしようと画策したが頓挫し、放置された一群は野生化した。地元自治体は「慰謝料」のように毎年3万6000円の予算を組み、えさの差し入れを続けている

 

 いちき串木野市の羽島崎から南西約1キロ沖の沖ノ島。無人で周囲約1.5キロの岩肌にへばりつくように、ニホンザルの亜種のヤクザル約30匹がいる。この冬、串木野海上保安部の職員3人が、市から預かったサツマイモ40キロと大麦20キロなどを手に訪れた。3カ月に1度、季節ごとに行われる「差し入れ」だ。高さ約80メートルの島の頂上に立つ灯台の点検を兼ねている。

 

  チャーター船で近づくと、サルたちは一斉に集まってきた。坂元覚志船長(72)によると、見張り役のサルが高台から仲間に「キキーッ(ごちそうが来たぞー)」と知らせる。ふだんは、わずかな木の実・新芽・皮や、岸に打ち上げられたカニで食いつないでいる。

 

 95年から旧串木野市長を2期務めた冨永茂穂さん(82)によると、同市は56年に財政再建団体になり、市は職員や給与の削減、公共事業の停止を断行した。「家族連れの観光客にお金を落としてもらおう」。支出切り詰めも限界と感じた当時の市長の音頭で、2組のヤクザル夫婦を市街地と橋でつながる別の島で試しに飼ってみた。だが、子どもたちに棒で突っつかれて凶暴化したため、沖ノ島に移した。

 

 初めは、かわいそうに思った農家が傷物のサツマイモを釣り客に託していたが、サルは釣果を狙ったり釣りざおを折ったりと悪さを繰り返した。そこで、島に灯台が完成した60年からは海保職員が使者を務めている。

 

 そのころからサルへのえさ代が市予算に組まれてきた。「消耗品」として計上されるが、最近は1万円ほど残る年もある。市の担当者は「えさが多すぎると海保の職員の手間になるし、もはや予算を使い切れという時代ではない」と話す。

 

 旧串木野市は05年10月に市来町と合併。職員数を1割減らし、公共事業費を年2億円削る計画を進めている。えさ代を担当する商工観光課も予算の1割カットを求められているが、「過去の経緯を忘れず、やりくりしたい」。冨永さんも「世知辛い世の中だが、何とかなくさないでほしい」と話している。 」

 

 私は、この記事を読み、予算編成時期を向かえ厳しい財政状況のもとで全国の自治体が苦悩していることを痛感するとともに、過去に行った行政の誤りを、人間でなく「サル」に対して、今なお忘れずに対応していることに感動しました。

 

 厳しい財政状況になればなるほど、市民や県民から要望された事業を行うのに、各部・各課が首長に行う予算要求について、財政担当部や課から一律10%削減等を求めるシーリングが求められますが、最近は、市民や県民要望に対し「シーリングが設けられているので無理」などと、職員の皆さんにとって「」な対応をする場面が多く、上からの指令を絶対視して本質を見失っているケースが多いと思います。

 

 予算要望や予算編成の原点は、「上を向いて歩く」ことでなく、例え「サル」であっても過去からの行政の継続性や、切実な住民要望に機敏に対応する感覚、そして行政のプロである職員の皆さんの前向きな「理念」が何よりも問われるのでは、ないでしょうか。