20間のチェックは大変な作業で、一日2~3年間が進めば良い方で、まだ、時間を要しそうです。
そんな中、今でも通用する以上に、是非今こそ読んで欲しい記事を幾つも発見しました。
そこで、今後、これらの記事について、紹介して行きたいと思います。
今回紹介するのは、2009年10月30日更新のブログで「読書の秋(4)」として発信された、「差別と日本人」に関する記事です。
この本は、野中広務元衆議院議員(元自民党幹事長)と辛淑玉(しん・すご)人材育成コンサルタントとの対談をまとめ、辛淑玉氏が解説を加えた構成でなっています。(角川新書・6月10日初版発行)
この本は、確か今年7月頃、東京の書店で買った記憶がありますが、その時、新書コーナーの売れ行きナンバーワンでした。
その後、人権に関する本が何で売れているのが興味を持ちながら読んでみると、被差別出身である野中広務氏の政治家としての取り組みや人柄が良く分かるとともに、在日朝鮮人として差別されて来た辛淑玉氏の実践を通した幅広い繊細な人権に対する思いが伝わって来ました。
この本には、野中宏務氏が自らへの差別の経験から「差別をなくすために政治家になろう」と決意したことや、町議、府議、国会議員として様々な差別問題に信念をもって取り組んで来たことが書かれています。
また、「差別の他に、私が力を注いできたテーマに、アジア問題がある。」として、自らの軍隊経験から日本軍が中国に残して来た「遺棄科学兵器」の処理問題、遺棄された残留邦人、原爆で傷ついたアジアの人達等々、この戦後未処理問題を民族の恥じとして処理にあたるとともに、現役ではなくなったこれからも取り組みたい決意を示しています。
さらにこの点については、「あとがき」で野中氏自ら「この問題を解決していかなければいけないという責任感が国家にも政治家にもない。過去、自分たちが迷惑をかけたことを忘れて、国際貢献の名の下にソマリアに自衛隊を派遣したり、竹島問題や尖閣列島の問題が出たら、欲求不満を爆発させるかのようにワーッと騒ぐ。また、北朝鮮がミサイル発射問題などで騒ぎを起こすとたちまち、戦争ごっこみたいに自衛隊の軍備を拡大しようとする声があがる。街では非正規雇用の人たちが餓死寸前になっているというのに、そういうところには気前よく税金を投入する。政治家の目はどこを向いているのかと言いたくなる。弱者や虐げられた人に対する政治家の「鈍さ」は、差別と根っこでつながっていると思うのだ。」とも述べて痛烈に批判しています。
それは、「まだ麻生さんが総理になる前の、2001年4月の頃だったけれども、ある新聞社の記者が僕に手紙をくれたんです。手紙には、こんな内容のことが書かれていた。『麻生太郎が、3月12日の大勇会の会合で『野中やらAやBはの人間だ。だから、あんなのが総理になってどうするんだい。ワッハッハ』と笑っていた。これは聞き捨てならない話しだと思ったので、先生に連絡しました。
彼がそれを言ったとき、その輪の中に数名の政治家がいたらしいのだが、その一人が、今は国民新党にいる亀井久興君だった。私自身が亀井君に確認したら『残念ながらそのとおりでした。』と言ったそうだ。」とも語っています。
前に紹介した「村山談話」でも痛感しましたが、政権交替はしたものの、戦争体験のある政治家が貴重な存在になる中で、戦後未処理問題など残された課題の行方が心配になりました。
それにしても、この本は対談者である辛さんが対談に加えて詳しい注釈を付けており、この注釈も繊細で大変勉強になりました。
皆様にも、一読をお勧めします。