8月16日の信濃毎日新聞の朝刊に「県、既存バス路線の調査開始 広域運行維持へ支援の在り方検討へ」との見出しで、次の記事がありました。
県は、市町村の境界を越えて広域的に運行する公共バス路線の維持に向け、既存路線の利用者数や収支などの調査に乗り出した。本年度は飯田下伊那、木曽、中野飯山の3広域圏の路線と、県内発着の高速・特急路線を調査。3年ほどかけて県内全10広域圏に対象を広げ、支援の在り方を検討する。
県交通政策課によると、本年度は県が国と折半して赤字補填(ほてん)しているバス2社の6路線と、市町村が運行をバス会社に委託している約30路線について調べる。赤字幅が比較的大きいが、高齢者や学生らの需要が根強い生活路線を中心に現状を把握する。高速・特急バスは、バス4社が長野・松本両市と県内他都市をつなぐ5路線を対象とする。
調査は松本市の民間シンクタンクに委託。基礎調査として沿線地域の人口動態のほか、駅や学校、病院といった生活拠点施設へのアクセスなどを把握。バス会社や市町村への聞き取りなどを通して、1便当たりの平均乗客数や路線の収支率、国や県、市町村の補助金といった情報も集める。路線ごとに「カルテ」をまとめ、課題を整理する。
県は、調査内容を市町村や交通事業者が参加する広域圏ごとの検討組織に報告し、対応策の検討に役立てる方針。ダイヤやルートの改正、車両の小型化、予約に応じて運行する「デマンド型」など新交通システムへの移行を含め、路線維持のための方策を考えるという。
県交通政策課は「広域的な視点から地域公共交通の在り方を探り、効果的な支援につなげたい」としている。
私は、この記事を読んで、私の県議引退後も私の提案して来たことが、その方向に進んでいると思い嬉しく思いました。
というのも、県議の時の私の一つのテーマは、公共交通の維持・存続であり、今年2月27日に行なった私の県議最後となる一般質問でも、「県内広域幹線高速バスの存続について」として取り上げているからです。
以下に、その内容を改めて紹介します。
【竹内質問】
私は、これまで、千曲バスの佐久―長野間の高速バスの廃止と、アルピコバスの長野―松本間の減便を例に質問しましたが、本県にとって県内各地を結ぶ高速バスの存在は必要不可欠ですが、採算性や運転手不足、少子・高齢化と人口減少により、今後さらに存続が危ぶまれることが予想され、県の早期の対策が求められており、県の支援策を求めて来ました。
具体的には、広域・基幹的なバス路線を維持するための補助制度や、県内を結ぶ高速バス等について、事業者は今どんな気持ち、どんな経営状況で、人手は足りているのか等、事業者に聞き取りをしていただきたい等の要望をして来ました。
その意味で、現在提案されている新年度予算案に、「地域公共交通最適化サポート事業」として、現在の地域公共交通の課題を調査し、今後の公共交通のあり方を模索する予算が計上されたことを一歩前進と評価します。
その上で、この「地域公共交通最適化サポート事業」には、県内広域幹線高速バスの存続は調査対象となっているのか。
また、公共交通の存続のためには、深刻なバス・ドライバー等の担い手不足について、県としても本気で取り組むべきと思いますが、取り組む決意について伺います。
【阿部知事答弁】
広い県土を有する本県におきましては、都市間の円滑な移動を確保するために、高速バスは鉄道とともに重要な交通手段だというふうに考えております。
来年度「地域公共交通最適化サポート事業」、実施する予定でありますが、地域内のバス路線に加えまして、都市間の交通を促進するために必要な移動手段も検討していく予定であります。
この中では、ご質問の高速バスや特急バスについても対象としていきたいと考えております。
バス利用者の状況や、鉄道との料金・所要時間の比較、収支状況等のデータを分析し、その結果を踏まえて、県内の広域幹線高速バスに対する支援のあり方を検討していきたいと考えております。
バス運転手確保の取組についてというご質問でございます。
近年、利用者の減少によります収益悪化に加えまして、運転手不足ということで撤退を余儀なくされるバス路線も出てきておりまして、運転手の確保は全国的な課題だと認識しております。
県としては、以前からバス事業者に大型二種免許の取得経費を支援させていただいておりますほか、県バス協会と連携した啓発イベント時にハローワークのコーナーを設けるなど運転手確保のための取組を行ってきております。
また、北陸信越運輸局管内の行政機関・バス事業者等で組織する対策会議では、運転手確保についての優良事例の共有やセミナーの実施などを行っており、今後とも関係者が一体となって対策に取り組んでいきたいと考えております。
竹内議員には、公共交通の充実・維持を始め、これまで数多くのご示唆、ご提言をいただき、また、折に触れ貴重なアドバイスを頂戴してまいりましたこと、心から感謝申し上げしたいというふうに思います。
「地域の足の移動の確保」を始め、安心して暮らせる長野県づくりへの取組みはまだ道半ばではございますけれども、これからも頂戴したご意見を踏まえてしっかり取り組んでいく決意でございます。
竹内議員のこれからのご健勝をお祈りするとともに、今後とも大所高所からご指導いただきますよう心よりお願いを申し上げます。
なお、私の最後の質問では、引退するにあたって「気になること」として、他にも、「県立病院機構のこれからについて」「県総合リハビリセンターの今後について」「信濃美術館の整備について」「獣医師の確保対策について」「契約条例の具体化について」を取り上げ、何れも前向きな答弁でしたが、これらの課題についても早期の取組みを期待したいと思います。