2016年度第3次補正予算案の衆議院通過について(談話)
2017年1月27日 社会民主党幹事長 又市 征治
1.本日、2016年度第3次補正予算案が与党などの賛成多数で衆議院を通過した。社民党は、災害対策や地方交付税の補填は必要であるものの、「戦争法」施行による防衛費の膨張への歯止めがないこと、また失敗が明らかとなったアベノミクスからの経済政策の転換を求める立場から、本補正予算案に反対した。
2.2017年度当初予算案と同時に昨年12月22日、閣議決定された本補正予算案は、補正予算と次年度当初予算を併せて編成する事実上5年連続の「15か月予算」となった。しかし、安倍政権下における「15か月予算」は、補正予算を利用し、次年度予算の事業を「前倒し計上」する粉飾的手法が常態化しているものといわざるをえない。
3.本補正予算案では、防衛関係経費において、防衛省が2017年度概算要求に盛り込んでいた「弾道ミサイル防衛関連経費」の一部1706億円が前倒し計上された。当初予算で計上すべき経費を政権の「便利な財布」であるかのように補正予算で措置することは、補正予算に求められる緊要性の原則を満たしているとはいえないし、予算の単年度主義に反していると言わざるを得ない。防衛費を「聖域扱い」し、当初予算だけでなく、補正予算においても膨張させていくことは、断じて容認できない。
4.安倍総理はこの間の税収増を「アベノミクスの果実」として強調し、野党に対して「赤字国債を財源に社会保障の充実を行うような無責任なことは、私たちは行いません」とレッテル貼りしてきた。しかし、本補正予算案は、税収を1兆7440億円下方修正するとともに、減収分を補うため赤字国債(特例公債)を追加発行することになった。この間の法人税減税などと相まって、税収増という「アベノミクスの果実」自体がなくなったことは明らかである。また、本日発表された2016年の全国の消費者物価指数は、価格変動の大きい生鮮食品を除く指数が99・7となった。アベノミクスの第一の矢である「異次元の金融緩和」の始まった13年以降、初めて前年を下回る対前年比0・3%減となったことに、アベノミクスによるデフレ脱却がほど遠いことを浮き彫りにしている。税収減や物価下落から、アベノミクスの破たんは明らかである。にもかかわらず、「アベノミクスは道半ばである」として、「さらにふかす」という安倍首相の姿勢は、極めて無責任である。
5.既定経費を減額するのであれば、発効が絶望的となったTPP関連予算の執行停止・見直しなどで財源ねん出すべきである。
6.衆議院予算委員会では、文部科学省の天下り問題やトランプ米新大統領に対する我が国の外交姿勢などについて集中審議の実施を求めてきたが、与党側は真摯に答えることなく、実質審議二日間で委員長職権によって質疑が打ち切られ、採決に至った。通常国会冒頭から、与党側の強権的な姿勢や天下り問題解明等への不誠実な対応が目立ったのは、遺憾である。社民党は、参議院予算委員会において、アベ政治の暴走を止める立場から政府の姿勢を徹底的に正していく。
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