たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

あの頃の未来

2017-05-30 23:02:09 | Weblog
 そもそもが別れからの出会いであったことから、二人がいずれ気持ちのうえでも離れてしまうことは必然なのかもしれない。
 悲しみっていつかは消えてしまうものなのかなぁ。かつての面影をどうにかどこかに見出し続けようとする自分の惨めさなんかよりも、いずれこの痛みを忘れてしまう自分が悲しい。

 普通になりたかった君と、普通から逸脱したかった俺。あの頃、ベクトルは違えどちょうどいいところで意気投合していた心情は、それぞれの目標が達成されると同時に消えてしまったのだ。
 「何が大切なことなのか?」と寝る間も惜しんで語り合った日々を、終状態の解釈で淀ませてしまうことを必死で押し殺す。事実は解釈次第で、善くも悪くもなる。だってあの頃、俺らで描いた理想は、幻想ではなくホンモノだと信じている。
 でも実際、つまらない常識など潰せると本気で思いながらも、結局二人で行動したことは少なかった気がする。むしろ、あれから、それぞれで自己実現に向かってからのほうが、お互いに、いくつかのつまらない常識を、ほんの少しだけ潰せてきた。

 君を奪っていったものは、その"常識"そのものかもしれないし、あの頃俺らで信じていた何か以外の何かかもしれないし、純粋さの委託かもしれないし、単純な忙殺かもしれない。圧倒的に神聖な場で、誰かの声に気がつきながら身を潜め合った仲間たちが君とともに変わっていく一方で、俺だけは、あの頃のまま変わらずにいる。それを、"上手く行っている"だとか"報われていない"だとか表現したがる君は、もはや俺が話していた君ではなくなってしまったのだろう。
 そんな言葉を心のいちばん奥でから回りさせ続ける一方で、俺が君に話した言葉はどれほど残っているのか?と問いたくなる。「もう、これ以上、教えてあげないっ」と悪戯っぽく言ってみても、きっと「いや、忙しいし」と返されるであろう返答を憂いで、深くついたため息は少しだけ、白く残って消えた。

 この切なさも、新しい信頼関係の中で、新しい集団と新しくものづくりを始めながら、笑い合うことで安心感を得て、払拭されてしまう。
 このままどこまでも日々は続いていくのかなぁ。ホンモノだった思い出だけを胸に、雲のない星空が続く向こう側の明日へ駆け出そう。今の俺らのものづくりを待つ人のために。

 また、いつか、会うことがあれば、あの頃の未来にむけて、俺はいつでも走り出そうと思う。

Suga Shikao x YUI 夜空ノムコウ


 (この曲を、アカペラで色んな場所で沢山歌っていた時期から、もう10年も経つことに驚いている。
 あらゆる人が唄っているこの曲。スガシカオとYUIのコラボの夜空ノムコウも好きだ。おもいっきり唄わない、"何気ない雰囲気"がこの曲にはよく似合う。この曲のサビはハモリを目立たせないようにするのが難しいのだが、YUIは強弱をつけて上ハモをさらりと唄っているし、スガシカオの下ハモ(正確に言うと、上ハモのオクターブ下)も、存在感は薄いのだがしっかりと主旋律を支えている。だから好き。
 10年前、これを歌唱力でおもいっきり歌おうとしてしまっている自分のリードボーカルの音源を聴くと、あの頃に比べれば今はあらゆる価値観が得られたんじゃないかと思う。あの頃の未来に、僕らは立っているのかなぁ)
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