たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

理系就活の不条理さ

2015-02-26 23:54:27 | Weblog
 就職活動では、あなたが、どんなにフーリエ変換ができたとしても、まったく評価されない。
 理系ってだけで大学生以上ならみんなフーリエ変換できるわけだけど(すいませんが、フーリエ変換できない人は理系じゃないです笑。異論は認めません)、これってものすごく、粘り強くて根気がある証拠なのだ。だけど、何も評価はされない。

 「自己PRしてください」
 『はい、僕は粘り強さがあり、量子統計力学に対する理解だったら、誰にも負けないと思います』
 「量子統計力学ですか。私は文系なので。。なんだか難しそうですね。もう少し、わかりやすい例をだしてください」
 『そうですねぇ、もう少し基礎的なことでいえば、物理数学はほぼ完璧です』
 「はぁ。そうですか。なんだか、あなたの粘り強さがよくわからないですね」
 『例えばですよ。フーリエ変換ひとつ取ってみても、これを使えるって、とっても粘り強いと思いませんか?だってですよ、多くの文系学生が変数にただ数値を代入することさえできないのに、可積分な関数をきちんと理解していて、複素数を扱えて、連続性や空間の概念が知識としてあって、当然、三角関数などの基本的な関数をすべてマスターしてからでないと、フーリエ変換できないんですよ?それの理解の10倍くらい大変なんですよ、量子統計力学を理解するのは。僕は、ぜったいに粘り強さがあります。その粘り強さを御社に貢献していきたいのです!』
 「…」

 「えーっと、次の方」
 『学生時代は、テニスサークルの部長をしていました。私の粘り強さを周囲が認めて下さり、選ばれました』
 「それは素晴らしい。規模はどのくらいなんですか?」
 『30名前後です』
 「そうですか、なるほどなるほど」

 不条理なのが厭なら、残念なことですが、理系はやめときましょう。ちなみに、フーリエ変換できたからといって、研究の世界でさえ、無能な輩がひがんで、疎まれることすらあるんですから(笑)

 一学年、55万人いる大学生のなかで、フーリエ変換がきちんとできる大学生は3万人もいないだろう。30人前後のサークルなら一学年10人ほど。10人中の1人よりも、55万人中の3万人をとるべきじゃないのかな?

 まぁ、そんなことを言ってても仕方ないです。無能が搾取してるのが、この国の基本構造なのですから。

 見栄の張り合いのなかで、いかにして誤魔化すか?ということを前提にしてしまった場合、クソ真面目にやってるのはバカバカしくなる。一方で、ちゃんとした努力がこの方向性できちんとしたカタチで認められて自己実現できるって、理想だけはいつでも一人前で。

 でも、現実は、分数もできない、サークルで遊びまくって直前だけ媚び諂ってきた文系学生が東京本社勤務で、あまり遊べなかった、積分から逃げずに粘り強くコツコツ勉強して実験して頑張ってきた理系学生が地方にとばされる。

 何か打開策を俺らは見つけなくちゃいけない。理論系の学生が、俺はプログラミングができるだけの人間じゃねーんだよ、こんなに色々理解できるんだよー、といくら胸の中で思っていても、社会はあなたをプログラミングができるキモいヤツ、くらいにしか思わないのだから。

 そんな風に思ってしまう評価側に俺は何も期待していない。
 ほど遠い幸せだけど、純粋な心を忘れずに、どうか見捨てないでね。

Every Little Thing - Rescue me

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