オーソン・ウェルズ監督「マクベス」を見る。
シェイクスピアの中でも
血なまぐさナンバーワンと言えるこの作品。
黒澤明やポランスキーなど、
いろんな監督が撮ってきたけれど、
オーソン・ウェルズが監督した本作は、
より不気味さが増しているというか、悪夢のような呪われた映画というか。
「マクベス」ってそもそも物語自体、後味が悪いというか。
魔女と悪妻にそそのかされて、王を殺したマクベスは
代わりに王座につくのだけれど、その罪にさいなまれて
結果的に自滅していく。見ていて気持ちのいい話ではない。
マクベスを演じる俳優は、
そのあたりの狂気を存分に見せる必要があるわけで、
さぞかし演じがいがあると想像する。
オーソン・ウェルズがまさにそのマクベスを演じているのだけど、
もともと存在感がありすぎる人なので、とにかく濃いし、暑苦しい。
予算がなかったのか、チープなセットと衣裳で彩られたウェルズの熱演が
これでもかと見る者に迫ってきて、これ以上やると笑ってしまうぐらいのレベル。
変な映画だなあと思いつつ、最後まで一気に見せる。強引だ。
実は今年、オーソン・ウェルズって生誕百年らしい。
「市民ケーン」と「第三の男」しか知らない人(自分もそう)のために、
どこかで回顧上映をやってくれないかな。
天才と言われつつ、どこか胡散臭いイメージを纏い、
俳優としても規格外の存在感を示すこの人は、
まだまだ正当な評価がされていない気がするわけで。