Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

スイート・アンド・ビター

2008年11月30日 | 映画など
本田隆一監督『GSワンダーランド』を見る。
王子様の格好をしたGSグループ、
「ザ・タイツメン」をめぐる騒動を描くエンタテイメント。
これまで60年代のGS映画や、
70年代のスケバン映画にオマージュを捧げた、
趣味性の強い娯楽映画を撮ってきた本田監督の、おそらく最高作。
音楽映画として楽しめるし、青春映画として見ても味わい深い。


GSワンダーランド(2008)

時は1968年。歌手志望のミク(栗山千明)は、
歌手としてデビューするのを交換条件に、
男装して「ザ・タイツメン」のメンバーに加わる。
女の子のような美形ということで、「ザ・タイツメン」は大人気。
ボーカルのマサオ(石田卓也)を始めとする
メンバーは戸惑いながらも、ヒットを飛ばしていく。

しかし、GSブームも下火になり、
ライバルのバンドのリーダー(高岡蒼甫)に、
「これからはニューロックだぜ」と言われるところ。

ホントはロックをやりたいメンバーなのだが、
いつのまにかGSを商売とする
オトナたちに振り回されてしまうところ。

しかし、そうしたオトナたちも
ビジネスでやっている部分のやるせなさを
ちゃんと吐露する場面があったりと、
ある種のほろ苦さを感じさせるところ。

ただのGSマニアが作った映画ではない。
夢と挫折と再生をきちんと描いた秀作だと思うし、
ラストもシャレが効いている。

栗山千明という女優は、
本当にこうしたコスチューム系が似合う人だ。
男装してオルガンを弾くキュートな姿にしろ、
ムード歌謡を思い入れたっぷりに歌うケバい姿にしろ、
デコレートするにはうってつけの女優だと思う。
その分、普通の女の子の役は似合わない。
そこがこの女優の特異なところで、
本作では、見事に個性を発揮、である。

それにしても、みんな地声で歌っているらしいのだが、
栗山千明にしても石田卓也にしても、ものすごく上手。
温水洋一も歌うのだが、これもまた素晴らしい。

マネージャー役の武田真治の軽い感じも面白く、
この人、コミカル路線に活路を見出したほうがいいかもしれない。

あと高岡蒼甫。
神様(宮崎あおい)の夫なのだが、
(悔しいが)この人も上手いと思う。
性格俳優として伸びるかも。
と、やさぐれながらも高評価。





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レタスうどんと坂道

2008年11月29日 | 日々、徒然に
博物館や美術館のガイドブックを作るので、
昨日は深川→上野→千駄木というルートで、取材の下見に行く。
江戸の匂いを微かに感じつつ、施設をまわり、取材のアポを取っていく。

深川にある佃煮屋や、上野の洋食レストラン、
アップルパイが名物の谷中の洋菓子店などに気を取られつつ、歩く。
千駄木から谷中にかけて、坂が多く、かなり歩いた感が。
谷中銀座を歩いているときに、空腹をおぼえ、
つい目の前にあった店にはいってしまう。
そこは「うどん屋」で、「レタスうどん」なるものが人気らしい。

「レタスうどん初めて? だったら試してみて損はないよ~」

という、やたらにノリのいいおっちゃんに誘導され、そのレタスうどんを食す。
うどんつゆに溶き卵と素揚げしたキクラゲを入れ、
煮立ったところにレタスを投入。
さらにひと煮立ちしたあとに、うどんを入れて出来上がり。

「コショーを入れてみて。意外とイケるんだよ~」

と、おっちゃんは僕の目の前に
レタスうどんとコショーの小瓶を置くのだった。

ずるずる。はふはふ。ほお、なるほど。
確かにレタスが入っているのだな、
という、それ以上でもそれ以下でもない感想。

食べ終わって、勘定する。850円。うーむ。
おっちゃんに「ごちそうさま」といいながら、店を出ると、
軒先に婆さんが座っていて、
「どうもありがとね」と僕に微笑むのだった。
あのおっちゃんの母親なのだろう。

けっこう満腹感をいだきながら、
次の目的地のために、千駄木方向に向かうのだった。
満腹状態で、坂をのぼるのは、厳しい。

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いわしのたたきとヒッチコック

2008年11月27日 | 日々、徒然に
高円寺や飯田橋で打ち合わせ。
途中、いかにも良さげな小料理屋風の店があったので、
そこで「いわしのたたき丼」をいただく。
お椀がついてきたのだが、これがなかなかのお吸い物で、
いわしのたたきも美味。
珍しくまともなランチを食べているな、と実感する。

お店のテレビではヒッチコックの『鳥』をやっていた。
ティッピ・ヘドレンがボートに乗っているシークエンスで、
一羽のカモメが唐突に襲いかかる場面に息を呑む。
おお、やっぱり凄いなヒッチコック、と
いわしのたたき丼をほおばりながら、感服。

ヒッチコックの映画が見たくなった。
『サイコ』とか『裏窓』とか。DVDでも借りようかな。

そういえば、僕がこの店に入ったとき、
もう一人、お客に初老のサラリーマン風の男性がいて、
その人が店のオバチャンとジュリー・アンドリュースの話をしていた。
話から推察するに、『メリーポピンズ』だと思う。
映画ファンが集まるのかな、この店。
いわしのたたきと映画は意外とマッチするのかも、
と思った昼下がり。




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頭よりカラダ

2008年11月26日 | 日々、徒然に
気がついたら、もう11月も終わりである。
今年もほんとにあっという間だった。
毎年12月が来ると、体内時計が加速する。
というか、もうすでにフライング気味で加速状態だ。

年明けまでに新たに5件の取材をこなすことになった。
体力勝負という感じだ。身体で稼ぐ労働者状態。
すでに決まっている取材が2件あるので、
今日決まった分は、ちょっとずれ込みそうな予感。

怒濤の師走の始まりだ。
身体が資本だなあと痛感する今日この頃。



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マフラーでジョージ

2008年11月26日 | 日々、徒然に
マフラーをなくしてしまう。
たぶん、どこかの居酒屋なのだが、どうも記憶がない。
とはいえ、外を歩くと寒くてたまらないので、
仕事場の近くで新しいのを買う。2700円。ふう。
あとはコートとスニーカーだ(まだ買ってない)。

午後から吉祥寺のスタジオで、
先日収録した音源のマスタリングに立ち会う。
ライブ音源などを新たに入れ込む作業があったのだが、
エンジニアさんのプロの腕前に感服。

午後の3時にスタジオに入り、
修了したのが夜の11時過ぎ。さすがに疲れる。
ああ。まだ原稿が残っている。書かねば。






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お調子者でプロフェッショナル

2008年11月24日 | 映画など
矢口史靖監督『ハッピーフライト』を見る。
普段利用している空港や旅客機の裏側で働く人たちを、
コメディタッチで軽やかに描く群像劇。
飛行機というモノ自体、非常に映画的な題材だし、
適材適所のキャスティングも楽しい。


ハッピーフライト(2008)

この映画はいわばマニュアル映画だ。
1機の旅客機が飛ぶためには、どれくらいの人たちが関わっているか。
パイロットやキャビンアテンダント(スッチーとも言う)、
管制塔やメカニックで働く人たちなどを含めると、
膨大な人数になるだろう。
すべては時間通りの安全なフライトのために全力をあげている人たちだ。
そういったところがよく理解できる映画であり、
観客の好奇心をくすぐる構成になっている。

この映画の楽しいところは、
肝心かなめの役割を担うパイロット(田辺誠一)や
キャビンアテンダント(綾瀬はるか)が新米だというところだ。
新米で危なっかしいにもかかわらず楽天家でお調子者という設定。
コメディの定石というか。これだけでこの映画は成功というか。
そんなお調子者が担っている旅客機は、
案の定、フライトに異常が出るわけで機内や管制塔は大慌て。

対するベテランのパイロット(時任三郎)や、
管制塔の司令官(岸部一徳)は
飄々としているのだが、
プロフェッショナルとしての役割をきっちり果たす。

笑わせ、観客をハラハラさせ、
しっかり締めるところは締める展開。

ヘタをすると、制作に全面協力しているANAの
プロパガンダになってしまうところをうまく回避して、
ちゃんと映画としての面白さを追求している。
脚本とキャスティングの勝利というか。
制作者側に一本筋が通っているというか。
主題歌にフランク・シナトラを持ってくるところなども粋。
万人受けするように作られている映画なのに、
この主題歌だけマニアック。楽しいからいいのだけど。







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小学生レベルの反省を

2008年11月24日 | 日々、徒然に
この三連休はさほどきつくない。
割とのんびりモードで過ごしている。
休み明けに仕上げなければならない原稿が1本あるだけだ。

自他共に認めるワーカホリックなので、
休みが続くと落ち着かない。この癖を直さねば。
忙しくていいねーとたまに言われるのだが、
どうも自分から忙しくしている感じである。

そんな自分をなんとかしなければ、と思っている。
仕事より優先させるべきものは、当然あるし、
やるべきことは、多い。

ここ最近のテーマは、
整理整頓、である。
今までまったく無頓着だった自分を反省しつつ、
仕事場と自宅をもう少し機能的にしようと思う。

不用なものは捨てて(これがまったくできなかった)、
必要なものを必要なときに使えるような工夫をすべきだろう。
もっと早くやっておけばよかった。

整理整頓しなさい、と
幼少の頃から口を酸っぱくして言われていた意味が
ようやくわかった気がする。
少しずつ、やっていこう。整理整頓。
ようやく小学生レベルになった自分である。



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ナンセンスの極北

2008年11月23日 | 映画など
レオ・マッケリー監督『我輩はカモである』を見る。
マルクスブラザーズ最強の1本である。
もう、なんというか、
すべてが無意味でナンセンス。ただもう笑うしかない。


The Duck Soup(1933)

徹底的な破壊者のハーボ。
あらゆるものを笑いの対象にして、
ハサミを片手に切りまくる。まさに●●に刃物。

インチキで胡散臭さを絵に描いたようなグルーチョ。
あらゆるものを茶化し、
ジョークの渦に巻き込んでいく。

コメディアンには加害者タイプと
被害者タイプがあると思うのだが、
徹頭徹尾、加害者であり続けるのがマルクスブラザーズだ。

架空の国家の首相となったグルーチョが、
隣国との戦争をおっ始めるが、
エピソードのすべてがおちゃらけており、
一カ所たりとも真面目なところがない
ひたすら乾いた笑いを誘発する、
とんでもなくアヴァンギャルドな映画である。


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出来が悪いほど可愛いとはいうけれど

2008年11月22日 | 日々、徒然に
今日は新規の案件で、
半蔵門にある出版社で打ち合わせ。
割とタイトなスケジュールだが、
楽しい取材が多そうな予感。

仕事場に戻り、
12月に出る絵本の校正に追われる。
合間にいろいろと電話がかかり、
対応にてんやわんや(死語)。

夜、素材の受け渡しでYさんと落ち合う。
Yさんは僕の数少ないこの業界の先輩だ。
自分の15年先はこんな感じでいいのかな、
と思えるモデルタイプの人でもある。

こう書くと、ご本人は訝るかもしれないが、
やはり先輩という存在は大切だ。
自分もいつか、後輩からモデルになるような存在になりたいと思うのだが、
いつもやさぐれて、飲んだくれているような輩には、
なかなかいいお手本になるというのは無理なようで。
そんなことを思いながら、
今夜も酒に溺れ、飲んだくれてしまうのだった。

Yさんから見たら、さぞかし出来の悪い後輩なんだろうな、と。
だって重みがあるんだもの。Yさんの言葉。
それは酔っぱらうしかないでしょう、
と、ひとり納得のフライデーナイト。





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つのる思いは遙か遠くに

2008年11月20日 | 映画など
野本大監督『バックドロップ・クルディスタン』を見る。
日本に逃れてきたクルド難民の家族と親しくなった監督が、
彼らにカメラを向けていくうちに、
募ってくる好奇心と友情の気持ち。
これほど思い切り被写体に寄り添った
ドキュメンタリーも珍しい。




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