Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

本気の怒りに襟を正す

2007年01月31日 | 映画など
周防正行監督『それでもボクはやってない』を見る。
キャッチコピーに「今回はとことん社会派です」とあるが、
正にその通り。バリバリの社会派作品だ。
周防監督、本気である。そして、怒っている。


それでもボクはやってない(2007)

フリーターの徹平(加瀬亮)は、
満員電車で痴漢の疑いをかけられ、現行犯逮捕される。
あれよあれよという間に勾留、起訴され、裁判にかけられる。
慌てふためく母親(もたいまさこ)や友人(山本耕史)たち。
裁判所というところは、犯した罪に対して、
どんな刑がふさわしいかを決めるところに過ぎないとか。
無罪を主張することは、警察と検察を敵に回すことであり、
ひいては国家を相手にして戦うことだとか。
日本の裁判ってこうなっているのか、と教えられることが多い。
ある意味、これはマニュアル映画である。
あるいは教育映画、と言ってもいい。

この手の映画を見た記憶があるなー、
と思いながら見ていたが、
見終わったあと思い出した。
伊丹十三の映画に似ているのだ。
『お葬式』とか『マルサの女』とか…テイストは違うけど、
映画の作り方としては、明らかに似たものがある。
あれもお葬式や査察の手順を面白く丁寧に見せてくれたが、
この映画も「裁判のイロハ」が手にとるようにわかる。

加瀬亮をはじめとして、役所広司、小日向文世、光石研、大森南朋、徳井優、
山本浩司、田口浩正、唯野未歩子、尾美としのり、本田博太郎などなど、
日本映画界は、つくづく存在感のある役者さんが
揃っているんだなと感心することしきり。
群像劇としても楽しめて、アンサンブルも絶妙。
完璧と言っていいほどの布陣。
2時間半の上映時間は、あっという間に過ぎる

でも、社会派である。
社会派をなめんじゃないよ、と突っかかってくる映画なのだ。
それを僕ら観客は、しっかりと受け止めるなければならない。
映画ってプロパガンダの装置として使われることも多いのだけれど、
この映画はまさにプロパガンダである。
ラストシーンにも唸った。周防監督すげえ。ホントに。
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『無能の人』を読ませる邪悪な心

2007年01月30日 | 日々、徒然に
ライターのS氏が入院した。
いきなりの連絡に驚きながら、M嬢とお見舞いに行く。
病院に向かう途中、何かお見舞い品を持っていこうと思い、
「本がいいんじゃない?」と言って、書店に入る。
「やっぱ軽く読める漫画がいいよな」
と手に取ったのが吾妻ひでお『うつうつひでお日記』。
「そんなの駄目です」とピシャリと言われてしまう。

「『美味しんぼ』が無難じゃないですか」とM嬢。
「うーむ」と言いながら、サブカル系のコミック棚を見る僕。
永島慎二やつげ義春のコミックを見つけて色めき立つ。いかんいかん。
「お母ちゃんがね、お父ちゃんのこと虫けらだって」と言う子供が出てくる
漫画(『無能の人』)を病人に読ませてどうするのだ。
そのあと、これまた無難な『三丁目の夕日』にするかどうか、しばし迷う。

結局選んだのが、西原理恵子『ぼくんち』。
悪くない選択だと思うのだが。

ライターS氏は、思ったよりは元気だったが、
点滴や計器に繋がれていたのが痛々しかった。
お大事に、と言いながら病院をあとにする。

そのあと、ライターHさんと駅前の喫茶店で打ち合わせ。
いろいろと話をする。ああでもない、こうでもないと言いながら、
密度の濃い話をする。

仕事場に戻り、ライターS君と仕事の打ち合わせ。
今の僕ができることは何か、と思いながら話す。

それにしても、今日はライターさんによく会う日だった。
ここしばらくは、編集者モードな自分である。




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浮気なヒトと言われて

2007年01月29日 | 無意味な考察
事務仕事に追われる。請求書や経費のまとめなど、もろもろ。
あと、ライターさんから原稿が届き、それを確認しつつ、
近々取材する人の本も読む。

とある人が言っていたのだが、
「編集者って浮気症なんだよ」という言葉が頭に浮かぶ。
あと、これはいとうせいこうが言っていたと思うが、
編集者とは「自分がやっていることは、本当の自分ではないと
思っている人のことを言う」らしい。

確かにひとつのことだけに集中できない。
狭く深く、ではなく、広く浅く、
の考えでいかないとやっていけない気がする。
この仕事は自分にとってどんな意味があるのか、
と思う間もなく、締切がやってくる。早過ぎ。

昼食に、仕事場から歩いて5分ほどのところにある、
コロッケ専門店で、テイクアウトのハンバーガーを買う。



世の中には、ちゃんとしたハンバーガーもあるのだ。
眼をカッと見開き、大きな口を開けて、喰う。
柔らかで甘みのあるバンズ。
歯ごたえのあるビーフ。
しゃきしゃきとしたオニオン。
ピンと張ったレタス。
マヨネーズとデミグラスソースのハーモニーに、
ほどよく効いたマスタード。
そして、なにより嬉しい、ちゃんとしたトマト。

これで380円。メガマックと確か同額、だ。
なによりも、食材の味がひとつひとつ確認できる。
それと比べると、
メガマックはすべての食材が同じ歯触りと味がして、
なんだか工業製品のようだ。
それが悪いとは言わない。工業製品のような食い物が
無性に旨いと感じることもあるのだけど。
しかし、このコロッケ屋のハンバーガーは、至極まともだ。
普通にちゃんとした味で、量もそこそこ。

普通。
そこそこ。
そんな言葉を使うこともずいぶん減ったな、
と思うことしきり。


※「眼をカッと見開き」のくだりは、敬愛する東海林さだお大先生のエッセイからのいただきです。

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そもそも心構えからして駄目なのでは、と

2007年01月28日 | 日々、徒然に
首と肩が痛い。
ここ一ヶ月ぐらい、締切に追われて
ずっと仕事場と自宅のマックに向かっていたせいだろうか。
原稿書きだけではなくて、
さまざまな打ち合わせや作業があり、
とにかくこの仕事は体力だな、と思うことしきり。

そんなこんなで首を曲げると痛みが走る。
肩から背中にかけてどんよりと重いし、
特に寝起きが最悪。頭から背中にかけて鈍痛がある。
運動しないからなー。ほんと。
せめてストレッチでもしようと
首を前に曲げたら激痛が! 

内臓に問題があるのかなと不安になる。
もともと胃は悪いし、不規則な生活だし、
書かねばならない原稿は残っているし、
なによりも心がやさぐれているし、
メガマックは喰うし、アイドルの写真集は欲しくなるし、
こんな生活と心根では、いずれ大病してしまうかも。
…と戦々恐々の日々。
とりあえず今日は自宅でおとなしくしてました。
今週こそ、鍼に行こう。




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香港テイストのフレンチ

2007年01月27日 | 映画など
オリヴィエ・マルシャル監督
あるいは裏切りという名の犬』を見る。
21世紀に蘇ったフィルムノワール、と喧伝されているが、
確かに最近のフランス映画で、
こうしたテイストの犯罪映画は久し振りという気がする。
ただ、フィルムノワールとは言っても、
60年代から70年代にかけて、
アラン・ドロンや、リノ・ヴァンチェラあたりが出ていた、
寡黙でスタイリッシュな暗黒映画とはまったく趣が異なる。
どちらかというと、この映画は香港ノワールの雰囲気だ。
『男たちの挽歌』とか『インファナル・アフェア』が好きな人なら、
この映画も、その延長線上にある作品だと気づくのではないだろうか。



あるいは裏切りという名の犬(2004)

パリ警視庁のヴリンクス(ダニエル・オートゥイユ)と
クラン(ジェラール・ドパルデュー)は、親友同士だったが、
今は袂を分かち、同じ組織にいながら凌ぎを削っている。
連続強盗犯の逮捕をめぐり、その対立は激化。

ヴリンクスは、タレコミ屋の殺人を見逃す代わりに、
強盗犯の情報を入手。アジトを監視し、いざ捕物というときに、
クランが単身乗り込み、銃撃戦となる。
このクランを演じるジェラール・ドパルデューの
暑苦しい演技と存在感は、
こういう無骨な映画にこそ栄える。

最終的には手柄を独り占めにしたクランと、
貶められ、転落の一途をたどるヴリンクスとの対決となる。
男と男の対決。ガチンコ勝負。そんな言葉が頭に浮かぶが、
冒頭で例に出した、『男たちの挽歌』の
ようなカタルシスがほとばしるものでもなく、
『インファナル・アフェア』のような、
苦渋に満ちたクライマックスでもない。

泣けるとか、興奮するとか、
そういうものを求めるのとは少し違う感じの映画だ。
暴力や銃撃にまみれた人間ドラマであり、
重厚そうに見えて、意外とライト。
ダニエル・オートゥイユにしろ
ジェラール・ドパルデューにしろ、いい俳優だとは思うのだけども、
暑苦しいだけでは、
そしてカッコいいだけでは、
色気とか渋みは出ないんだな、と。

そういえば
スコセッシの『ディバーテッド』も
ディカプリオとマット・デイモンの
ぶつかり合いが見物(みもの)だと思うので、
そういう意味で、この映画と見比べたいなー。
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100円うどんに天かすを

2007年01月26日 | 日々、徒然に
西武新宿線に乗って、Iさんとお会いする。
とある企画の話で2時間近く打ち合わせ。
実現化に向けて動いてみようと思う。

Iさんとは同郷で、僕の通っていた高校のすぐ近くが
実家だと聞いて盛り上がる。

そういえば高校の近くに「どんどん庵」という、うどん屋があって、
セルフサービスで、うどん玉をピックアップして、
お湯で茹でたあとツユを入れるシステムだった。
ネギと鰹節と天かすは入れ放題。
それで100円。天ぷらなどのトッピングはオプション。
当時の僕は金がなかったので、100円の素うどんに、
天かすを思い切り入れて喰ったものだ。
よく一緒に喰った友達のY君は、オプションにコロッケを入れて、
うどんと一緒にかき混ぜ、ぐちゃぐちゃにして喰うのが好きだった。
どうしてるかな、Y君。元気かなー。

Iさんと別れ、半蔵門に移動。
T社に行き打ち合わせ。映画の話などをする。
仕事になっていけばいいな、と思いながら。


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涙のカミングアウト

2007年01月25日 | 呑んだり喰ったり
できれば避けて通りたかった。
自分とは縁もゆかりもないと思っていた。
あってはならないことだと固く信じていた。

しかし、それは起こった。
魔が差した、としか言いようがない。

そう、喰ってしまったのだ。
その名は「メガマック」。



実は仕事場でもカミングアウトする人が増えていた。
「完食しました!」と明るい声で報告してくれたY嬢。
「そりゃ、もちろん、食べましたよ」とクールな対応のM嬢。
邪悪なT君にいたっては、堂々と自分の机で喰い、その醜態をさらしていた。
そう醜態なのだ。

とにかく喰いづらいんだよ!

上の写真を見るとおわかりだが、
パンも具も、ものすごく柔らかいので、
こうやって手でつかむと、それだけでぐにゃりとなる。
そのまま食べ続けると、真ん中のパンの部分がずれていき、
気がつくと、前方にせり出てしまい、ずり落ちそうになってしまう。
なんとかせねば、と悪戦苦闘しても手遅れ。
僕の手は油とソースでベトベトになり、
なんで、こんなものを買ってしまったのかという後悔の念が渦巻く。

おまけにビッグマックと同じ味じゃねえか!

いいんだけどね、いいんだよ。別に。
そのままの君で…と、夜回り先生のフレーズが頭をめぐる。
なんでもこの「メガマック」という代物、
754カロリーもあり、プロ野球のピッチャーが1試合に消化する量と同じだという。
それは先発完投型のピッチャーのことを言うのだろうか。
我が愛する中日ドラゴンズで言えば、川上投手とか山本昌投手が
投げるカロリーを、このやさぐれた僕が消費してるわけだ。
なんということだろう。ごめんなさい、川上さんに昌さん。

高いカロリーの原因は、
もちろん、ビーフが4枚も挟んであるからだ。
一口喰ってみてわかったのだが、

別に肉なんて、そんなに喰いたくないんだよ!

と思っている自分に気がついた。
それなのに、ああそれなのに(古賀政男・作曲 古すぎ)。
後悔先に立たず、というのはこのことを言うのだろう。
邪悪なT君の高笑い(しないけど)が聞こえてくるようだ。
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カレンダーに励まされる生き方

2007年01月25日 | やさぐれ男のつぶやき
夕方までかかって、少し厄介な原稿に時間を費やす。
それでもなんとか仕上げて先方に送る。
首尾良く行ってくれればいいのだが。
実は、あともう一本残っている。
それは明日の朝までに仕上げたいところだ。
そんなこんなで余裕のない感じだが、
夜になって、池袋のデザイナー氏のところに行き、
いろいろと相談事をする。
人生いろいろだと思ったりしてしみじみ。

デザイナー氏の部屋に長澤まさみのカレンダーが掛かっている。
僕はここに来るたびに、ちらっとそのカレンダーを見て、
少しだけ気分を和らげるのだ。
去年までは宮崎あおいのカレンダーだった。実に素晴らしい。
ただ、あまりじっと見ていると恥ずかしいので、
さりげなく見ることにしている。

そんなこんなで自宅に帰ったら、日付が変わっていた。
家のマックを立ち上げ、メールを開けると、
いろんな案件をこなさなければいけない自分に気づく。
もしあのとき、長澤まさみのカレンダーを見ていなかったら、
かなりの確率でやさぐれていたことだろう。
頑張ります。はい。
『タッチ』や『涙そうそう』のシーンを思い浮かべながら、
もう少しだけ仕事をしようと思う。



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ダサいロックで何が悪い

2007年01月23日 | たまには音楽でも
ニール・ヤングの新譜
ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト
を聴きながら仕事。
70年の録音とのことだが、古びないな、この人。

Neil Young and Crazy Horse "Live at the Fillmore East"

誰かが言ってたのだが(えのきどいちろう、だったと思う)
どうもロック界のちょいワル親父はエリック・クラプトンで、
クラプトンに憧れる中年男は多いらしいのだが、
同じくちょいワルっぽいニール・ヤングは、
ちょいワル親父に憧れる中年男にはまったく人気がないそうな。
確かにクラプトンってカッコいいからな。ギターもボーカルも。
ニール・ヤングは、見た目も野暮ったいし、
なんだか曲も暑苦しいしな。

ダサくて洗練されていないロック。
スマートとはほど遠い、頑固なロック。
か細い声で力を振り絞って歌い、ギターをかき鳴らすロック。

でも、僕はそんな親父になりたい。
ちょいダサ親父でもいい。ダサいロックを奏でたい。
そんなことを思いながら、仕事をしつつ、聞く。
「ダウン・バイ・ザ・リバー」。哀しい曲だ。滲みる。
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納豆をそっとしておいて

2007年01月22日 | 日々、徒然に
納豆ダイエット。
売り切れ続出。
実はデータ捏造。
怒る視聴者。
番組打ち切りか。

納豆は身体にいい、というのは誰でも知っていることなのに。
栄養があって、過剰なカロリーもない。
ダイエットに効果はあるかどうかは知らないが、
旨いし、安いし、優れた食品だと思う。

今回の事件、なんだか脱力。
だって納豆だよ。
データを捏造したのは確かに悪い。絶対に悪い。
でも、テレビの情報(しかもタダ)を鵜呑みにして、
納豆さえ食えば痩せられると信じる人って多いんだなあ。
スーパーの納豆が売り切れになるほどの加熱ぶり。あれはすごい。

もっと自分の頭で考えようよ。
ウソの情報を流してけしからん、と怒る視聴者って、
ほかにやることあるだろうに、と思うのだが。

かつてオウム真理教に、
坂元弁護士のビデオを見せた局があって、
大問題になったことがあったけど、
あのときと同じぐらいの騒ぎ方だぞ、メディアの皆さん。
一家4人が殺害された事件と、納豆。
捏造したことよりも、他局の失態をこれ見よがしに突っ込む。
そんなイメージばかりが見えてくるのだが。
こういうときだけ、視聴者を欺くな、と主張する人は
やっぱり信用できない。納豆をネタに正義を振りかざす人って、
コメディ映画のネタにもならないと思うのだが。

個人的な話をすると、昔、納豆は嫌いだった。
実家では納豆を食べる習慣がなく、
大人になるまで納豆を見たことがなかった。これホントの話。
わけわかんない食い物だと思った。
なんだあの味、あの匂い。あれが食い物かよ。
そう思ったこともあった。

しかし、いつしか納豆は好物になった。
朝食でご飯、味噌汁、そして納豆があれば満足。
生きてて良かった、と思うほどになった。
優れた食品だとしみじみ思う。
そんな生活に密着した食品である納豆。
頼むからそっとしておいてほしい。
たかが納豆だけど、大切な食品なのだから。
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