渋谷陽一さんが亡くなった。
享年74。まだ全然若いと思う。
「ロッキング・オン」を創刊して、
ロックを語る文化を日本に根付かせた人だと思う。
かつて大好きで読んでいた雑誌の作り手で、
スター編集者の代表的存在だった人がいなくなってしまった。
1988年に渋谷さんが出したこのバイヤーズガイドは
いまだに枕元に置いてあって、
かなりボロボロになっているんだけど、
ここに載っているアルバムを
聞くたびに読むことしばしば。自分にとっては
ロックのバイブルと言えるかもしれない。
家にあるレコとかCDのライナーで
渋谷さんが書いたものはおそらくたくさんあると思う。
たとえばいま手にとったツェッペリンのセカンドのライナー。
ここで聞くことのできるジミー・ペイジのリフは、努力して云々といったレベルを超え、できてしまったものはしかたない、これがロックンロールだぞバカヤローという断定的なパワーがある。
「バカヤロー」って言葉が、いい。
ロックを言い表すのにいちばんふさわしい言葉かもしれない。
2022年の「ロッキング・オン」5月号で、
渋谷さんは亡くなった盟友、松村雄策さんの追悼文を書いている。
「ロックは病気だ」と書き、松村さんと自分は、
「不治のロック病」にかかり、
「死ぬまで治らない病気の患者」だという。
スプリングスティーンは自分はロックンロールの囚人だと言ったが、聞き手の場合はそんなにかっこいい表現はできないので、ロックンロールの患者と言ったほうがいい。
と書きながら松村さんの追悼をする渋谷さん。
ロックを語り、書く人であり、
すぐれた紹介者で、出版人としても、
ビジネスマンとしても成功した人だと思うけど、
自身(と仲間)をロックンロールの患者と呼ぶところに、
どこか切なさというかやるせない感じを受けるのは自分だけだろうか。
ともあれ合掌。
「渋松対談」また読み直したいです。
ありがとうございました。