Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

ナラティブに生きるひとたち

2024年03月06日 | 読んでいろいろ思うところが
頭木弘樹「落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ」
(ちくま文庫)を読む。
まさにタイトル通りの本というか。
自分はただのライトな落語ファンだが、
まったく落語に興味のない人に、
その面白さを伝えるのは難しい。
この頭木さんの本は、落語の入門書というよりは、
もっと深く、語り文化としての
落語の成り立ちや、基本的な構造に言及している。
それでいてものすごくわかりやすいし、目からウロコの連続。
この本があれば、素人でも落語の面白さが伝わるし伝えやすそう。


落語は口承文学。
つまり、口で伝えて耳で聞くもので、
いま世界中で残っているのは日本の落語ぐらいだという。

耳で聞くだけ、つまり目で見ることができないから、
たとえば「子ほめ」で、生まれたばかりの赤ん坊をほめて
一杯呑ませてもらおうと思った男が、
「大きい子だ」とほめるのだけど
「赤ん坊のくせに顔じゅう皺だらけで入れ歯がたがたやがな」
「そら、お爺やんが昼寝してんねやがな」
というくだりで笑わせるのだけど、これをたとえば映像で
やるとしたら無理がある。見たら赤ん坊じゃなくて爺さんだと
すぐわかるはずで、目では見えないからこそ
口承文学としての落語の面白さがある、と。

などなど、目からウロコの分析がたくさん。
しかも、頭木さんは文学紹介者として、
志ん生や米朝などの本だけでなく、
カフカや夏目漱石などの作品を引きながら
落語の魅力を語っていく。ファンなら常に携帯すべき
落語のガイドブックなのかもしれない。

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2 コメント

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落語 (池田)
2024-03-07 20:04:23
僕もよく落語に行くようになりました。
寄席ではなくて、公会堂とか小ホールでのホール落語です。地方でコンサートや演劇を開催するのは大変ですが、落語は座布団一枚用意すれば来てくれるんですね(笑)
先日は春風亭一之輔。3年前は公会堂の半分しか入って無かったのが(コロナ禍でもあり)「笑点」出演後は満席でした。
30人くらいで満席の小さな会場には、毎月立川こしらが来てくれてます。
座布団一枚(笑) (taco)
2024-03-08 11:43:51
落語はいいですよね。
噺家さんの語りだけで、
いろんな世界に連れてってくれます。
一之輔はいちどチケットを買おうと思ったら、
すでに売り切れでした…。

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