Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

赤フンと骨太

2020年10月31日 | 日々、徒然に
ショーン・コネリー。享年90。
そうなのかあ。俳優を引退したと聞いて、
けっこうな年月が経ったような気もするけれど、
訃報を聞くまでずっと現役感のあった俳優だった。
それだけ多くの過去作が何度も見られているからだと想像する。

その死を悼む書き込みを見ていると、
「007」はもとより、
「インディジョーンズ最後の聖戦」の父親役とか、
「アンタッチャブル」の老警官、
「薔薇の名前」や「レッドオクトーバーを追え!」
「ザ・ロック」に「エントラップメント」など、
みんなそれぞれ思い入れのある映画に
ショーン・コネリーという俳優がいたんだなと。



個人的に、ショーン・コネリーは70年代にとどめを刺す。
75年のジョン・ミリアス監督「風とライオン」では、
良家の婦人とその子供を誘拐し、ルーズベルト大統領と対決する、
モロッコの族長を演じたコネリーの骨太な格好良さ。
黒澤映画の三船敏郎みたいだった。
婦人を演じたキャンディス・バーゲンの美しさも記憶に残る。



それから、
74年のジョン・ブアマン監督「未来惑星ザルドス」。
23世紀の未来の地球が舞台。
不老不死の人類と、そうでない人類の戦いを描いたディストピアSFで、
これは隠れた名作ではないかと思う。
コネリーは赤フンみたいなコスチュームで、
ムンムンしたマッチョな戦士を演じていて、
相手役のシャーロット・ランプリングも美しかった。
そう考えると、007もそうだけど、
美女と並ぶと栄える俳優さんでもあったなあと。

70年代はほかにも
オードリー・ヘップバーンと共演した「ロビンとマリアン」とか、
マイケル・ケインとの冒険譚「王になろうとした男」など、
コネリー主演の名作は目白押しだと思う。
どこかの映画館で追悼上映をやってくれるとしたら、
ぜひ70年代の作品を入れてくださいな。ともあれ合掌。



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簡単な書き取りとにこやかな笑顔

2020年10月31日 | 満身創痍な
「お預かりしているメッセージは6件です」

コーヒーを淹れて「ぶおお」とため息をつき、
スマホに目をやったら、着信が何件も。
そして怒濤のような留守電が。

昨夜は夜中の3時まで仕事となり、
ここ数日続く、深夜までの作業に瀕死の状態だったけど、
朝(というかお昼前)の留守電6件はなかなかのものだと思う。
ヘルプしてくれる人が欲しい。
臨時雇いの秘書とかいるといいな。

ということで、
ポールの「テンポラリィ・セクレタリィ」をば、
最近のツアーでも演奏された
「マッカートニーⅡ」からのテクノな一曲。
仕事で煮詰まったときに聞くと、
これほどの名曲はない。たぶん。



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哀感エンドレス

2020年10月30日 | 満身創痍な
仕事はなるべくマイペースでやろうとしているのだけど、
やむにやまれぬ事情で振り回されることがある。
今週はとある校正作業が延々と続き、
いつ入稿になるのか、皆目見当がつかない。

ぶちゃひしゃげちゃれい!

と、心の中で叫びつつ、
合間を見て他の仕事も進める。
さらに合間を見て、空腹になったら焼きそばを食したり、
眠くなったら寝ることにするのだけど、
なんとかならないだろうか、このエンドレス感。

他の仕事で取材の文字起こしをしていたら、
いい話だなあ、と一度聞いたことにもかかわらず、
なんだかちょっと感動してしまった。
インタビューイの豊富な体験のたまもの、というか。
仕事で忙殺されているときは、別の仕事で息抜きという
哀感漂う10月の夜。というかもうすぐ11月ですよ、旦那(←誰?)

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眠れる脳のやさぐれ男

2020年10月30日 | 日々、徒然に
急な案件もあって、昨夜は深夜の2時まで仕事。
3時前に床に就き、朝ドラ「エール」が始まる頃に起床する。
そのあと朝食をいただくが、空腹なのにどうも食が進まない。
どうやら、咀嚼する顎の筋肉とか、食べ物を消化する胃腸の働きが
眠っているせいなのかもしれない。

寝不足は良くないなあ、と思いつつ、そそくさと仕事場に。
文字起こしとか来週の取材準備とかデザイン出しとか、
資料本読みに校正、原稿依頼などなど。
複数の案件を同時に行う必要があるのに、脳味噌はまだ眠ってます。

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ビブリオ彷徨

2020年10月29日 | 読んでいろいろ思うところが
草森紳一「随筆 本が崩れる」(中公文庫)を読む。
何万冊もの本に埋もれた生活をしていた、
文筆家の草森紳一さんのエッセイ。軽妙にて洒脱。
底知れぬ博覧強記ぶりの断片に触れる。


本で埋め尽くされたマンションの部屋。
整理しないのか、という突っ込みはもはや無意味で、
ただひたすら増殖するに任せ、
その有象無象の山に埋もれて生活する草森さん。
こういうものを「蔵書」とは言わないだろう。

あるとき、その山が崩れ、
浴室のドアを塞ぎ、出られなくなった草森さんは
裸のまま、「さてさて、これからどうするか」と
いたって呑気に顔などを洗ったりしているのである。

地震が起きたらひとたまりもないだろう、
と思うのだけど、意外とバランスが取れた積み方がされていたり。
読みたい本を山の下からすっと抜き取る技術を誇り、
その技術は、自分がかつて野球少年で、
ダブルプレーが得意だったと語り、
絶妙な手首の使い方があるからだ、と。
そこから野球談義が始まったり、なんとも自由な思索。

草森さんの三万二千冊にものぼる蔵書は、
死後、故郷の帯広にある短大に寄贈されたという。
そのあたりの詳細は、
西牟田靖さんの「本で床は抜けるのか」に詳しい。




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ツンデレは帰れない

2020年10月28日 | 日々、徒然に
午前中は九段下にある出版社で打ち合わせ。
初めてお目にかかる編集さんで、いろいろと意見交換。
うまく仕事が流れていけばいいなと思いつつ、おいとまする。

昼過ぎ、仕事場に戻ると、
諸事情でデータ原稿を大幅に修正する必要が出てきて、
膨大なエクセルデータと格闘しながら、作業。
気がついたら夜の9時を過ぎていたという。

すっかり疲労困憊なので、
明日にしてあげてもよろしくてよ、
とツンデレモードになったのだけど、
10時過ぎになっても、
クライアントから電話がひっきりなしという秋の夜。

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出口はどこにある

2020年10月27日 | 日々、徒然に
取材の文字起こしと、
ページのラフ構成、原稿のための資料本の読み込みなど。
どちらかというと、頭よりは体を使った仕事を淡々と。
今週中に原稿2本、いや3本書きたいけれど、2本で精一杯かな。

そういえば、スプリングスティーンの新譜が出たんだな。
早く聞きたいなあと思ってはいるけど、
このあいだ買った100円のCD3枚。ちゃんと聞かないと。


でも、このところ毎日聞いているのは、ザ・ラーズ。
「There She Goes」しか知らなかったけれど、
ぶっきらぼうなロックンロールアルバムでなかなか。
90年以降のUKでは、こういうバンドが山のように出てきたんだな。
オアシスのデビュー前。突如現れたラーズ。
ギャラガー兄弟はこのバンドからかなりの影響を受けていると聞く。
結局この1枚しかアルバムを出していないようで。
これもカッコいいです。ゾクゾクします。「Way Out」って曲。


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多神教で何が悪い

2020年10月26日 | 映画など
黒沢清監督「スパイの妻」を見る。
戦時下の日本が舞台で、スパイ活動をする夫と妻の暗躍を描いた
サスペンス映画だと思いきや、
これはまぎれもない純愛映画であり、
いまの日本が置かれた状況を告発する
社会派映画としての要素もあり、スケールの大きさに驚く。


夫を演じる高橋一生。
この俳優さんのいちばんの魅力はその低音の声だと思う。
朗々とした語り口で、悪く言うと立て板に水、というか。
その悪い面が、本作でものすごく生きている。
関東軍の悪行を掴んだ夫は、その証拠のフィルムとノートを
満州から持ち帰り、アメリカに持ち込もうとする。
ことの真相を聞き、驚愕する妻は動揺するが、
国賊であることを受け入れ、夫に協力する。
言うことは正論だが、この夫は妻に心を打ち明けることはない。

そんな夫婦を外側から見つめるのが、
軍人で部隊長を演じる東出昌大。
この俳優さん、背丈があるので実に軍服が似合うし、
高橋一生と同じく声がいいのだけど、
心のこもっていない台詞まわしが絶妙に不気味で、
まさに本作の敵役にぴったり、というか。
妻の幼馴染みであり、今でも横恋慕な感情が渦巻いているのだけど、
それを隠せば隠すほど、その異常さが出てくるわけで、
権力の得体の知れない大きさや不気味さを
ものすごく上手に体現していると思う。
黒沢監督がこの俳優さんを重用する理由がよくわかる。

妻は、夫が本当のところ何を考えているかわからないなか、
必死に彼に協力する。それはもう、命を賭けて。
その献身さの理由はひとつ。夫への愛があるからだろう。
夫の気持ちがわからないまま、暴走して精神が崩壊する妻の
心の動きが悲痛きわまりないけれど、
いくら戦争があっても、国家権力が邪悪でも、
この妻の心の中だけは邪魔できない。


とかなんとか、
シネフィルっぽいコトを書こうとしているけど、
神様(蒼井優)が出てるから見たんです!
逃げも隠れもいたしません。

特に後半は神様(蒼井優)の独壇場であり、
映画内映画としてフィルムから映し出される
サイレント映画の神様(蒼井優)は、
ディートリッヒやジョーン・クロフォードのような
ファムファタール(悪女)であり、
リリアン・ギッシュのような薄幸な少女にも見えたりして。
あ、いや。そういえば本作には
山中貞雄の「河内山宗俊」が引用されていて、
美しい原節子を守るために命を捨てる男たちの映画だった。
そうか神様(蒼井優)は、原節子でもあるんだ。
と、シネフィルの脳味噌は暴発し、もはや収集がつかなくなるのでした。

コメント (4)
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浮遊と文学

2020年10月25日 | 映画など
青山真治監督「空に住む」を見る。
文学だな、と思う。映画で文学。


不慮の事故で両親を亡くした直実は、
猫のハルと一緒に、
叔父夫婦が所有するタワーマンションに住むことに。
彼女は同じタワマンの住人で
人気俳優の時戸と知り合いになり人目を忍ぶ間柄になる。

「空に住む」のタイトル通り、
どこか宙に浮いている感のある直実は、
俳優と逢瀬を重ねても、生きている実感のようなものが掴めない。
彼女が勤める出版社は、古風な民家。
社員はみんな畳の部屋で仕事していて、
タワマンの空気感とはまったく好対照だ。
地に足を付けようとしている人たちが多いというか、
典型的なのは直実の同僚の愛子で、
フィアンセがいるにもかかわらず、
作家の吉田の子を宿していて、
「難しいことを考えていると幸せがどこかにいっちゃうよ」
とうそぶく女性で、宙ぶらりんの直実を挑発する。

直実のカチカチな生き方や言葉使いがもどかしい。
自分と同化していた猫が病気になって初めて、
感情を吐露し始め、アイデンティティを掴んでいくのだけれど、
そのあたりは明確に示されない。観客はあくまで彼女の行動や仕草、
言葉使いを丁寧に追いかけていく必要があり、
彼女に共感できるかどうかが試されるのだ。

文学とは小説に限らず、
人間の言葉にできない感情や、ふだん心の奥に隠し持っている
モヤモヤとしたものをあらわにするものだと思うけれど、
そういう意味で本作はかなり文学的だなあ、と。
青山監督は小説家でもあるわけなので、
そういえば「東京公園」などの近作も文学的な映画だったと記憶している。


とかなんとか、
「文学」という言葉を多用して、
カッコつけて書いてますけど、
神様(多部未華子)が出てるから見たんです!
逃げも隠れもいたしません。

自分が自分でないようなアラサーの女性を、
ナチュラルに演じているのはさすが神様(多部未華子)。
こんな調子でどんどん映画に出てくださいな。
神様(多部未華子)と好対照な女性を演じた岸井ゆきのは、
「愛がなんだ」以降、すっかりやさぐれた女の人が
似合うようになったというか。
もしかするとこれからの日本映画は
この岸井さんや伊藤沙莉といった個性的な女優さんが
支えていくのかもしれない。

鶴見辰吾、大森南朋、永瀬正敏、そして柄本明といった
ベテランや大御所を脇に配置したキャスティングは贅沢の極み。
一瞬だけ片岡礼子さんが出ていたけど、
ああ青山監督「チンピラ」のヒロインだ、もっと登場して欲しかった、
と思うのは、シネフィルの戯れ言です。


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浮かれる小市民

2020年10月24日 | ささやかな幸せ

おお。エサ箱が視界の彼方まで。

というのは大袈裟だけど、
最寄り駅になんと中古レコ屋の支店がオープン。
正式なオープンは来月からなのだけど、
自分のようなレコのエサ箱に目のない輩のために
仮オープンしてくれたようだ。

まだジャンルやアーティスト別に分類されていないので、
レコを漁るのにヒマと時間がかかるなあ、とニヤけながら物色。
岡田有希子のLPが3800円なのに驚愕しつつ、
今日のところは、550円のCDを購入するにとどめる。
オープンセールで200円引き。
400円足らずで幸せな気分になった小市民がひとり。
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