田村啓介監督「DISTORTION GIRL」を見る。
「フツーの十代なんて、ひとりもいない」
というサブタイトルがつくこの映画。
実は見るつもりなどまったくなく、
本作の存在すら知らなかったのです。
というのもシネコンで
「あのこは貴族」を見ようとしたのけど、
スクリーンを間違ってしまい、
たまたま同時刻に上映された本作を見てしまったという。
いつまで経っても門脇麦や水原希子が出てこず、
あれえ。なんか森七菜に似た女子高生が出てきたな、
「あのこは貴族」って女子高生のロックバンドの映画だっけ、
と頭の中が疑問符で一杯になりつつ、
いつのまにか映画に引き込まれていたのでした。
フツーでいなさい。
と言われる高校生って今でも多いのだろう。
つまりは同調圧力に屈しなさいと
大人の多くは子どもたちに強いるわけで。
本作の主人公も普通であることを親から強要され、
学校でも周りに調子を合わせ目立たないようにしている。
しかし、廃部の危機にある軽音学部の
揉め事に足を突っ込んでいるうちに、次第に自分を解放し、
ついにはバンドのボーカルとしてコンテストに出場することに。
本作の見どころは、
バンドのメンバーを演じるキャストの女の子たちが
自分でちゃんと演奏していることだ。
決して上手くはない演奏だし、
素人っぽいボーカルも不安定だけど、
リアルな迫力というか、
役を演じ、楽器を演奏する彼女たちの姿が、
劇映画なのにドキュメンタリーの様相を見せてくる。
脚本も演出もゆるいし、登場人物も類型的。
完成度だってそれほど高いわけではない。
でもそんなことはどうでもいい。
クライマックスのライブシーン。
彼女たちの晴れ舞台に、大いに心を動かされたのでした。
ガールズバンドの映画につまらない映画はない、
というのは真実だ。
本作はYouTube製作の映画らしく、
PCでフツーに見られるようだけど、
スクリーンで見る方がずっと何倍も感動すると思う。
見る機会があったら是非。
というか、「あのこは貴族」を見る機会はあるのかな。