内山雄人監督「パンケーキを毒見する」を見る。
毒味、じゃなくて毒見。
それにしても、菅さん主演の映画ができるとは思わなかった。
とはいえ、菅さんが演技したり、
歌ったり踊ったりするわけではなく(当たり前だ)、
既存のニュースや国会中継などの映像を駆使しながら、
菅義偉という人物を浮き彫りにしようとするドキュメンタリー。
いや、バラエティーとうたっているから、
そのような感覚で見ると楽しめるというか。
村上誠一郎、石破茂、江田憲司といった国会議員や
元官僚の前川喜平、古賀茂明といった人たちが
管さんについて語っているのを聞いていると、
こんなワードが浮き上がってくる。
朴訥。
庶民派。
冷徹。
利にさとい。
成り上がり。
博打打ち。
権力大好き。
なるほど、そうなのか。と管さんのキャラクターが
少しずつわかってはくるのだけれど、
結局のところ、なぜいま管さんが現在のような
政治家になっていったのかよくわからない。
掘り下げが足らないのか、
それともそもそも掘り下げるような素材がないのか。
そのあたりもわからないのだけど。
この映画オリジナルで管さんの肉声が聞けるわけではないので、
結局のところ映画で語られるのは推測でしかない。
ただ、少なくとも言えるのは、
この人をトップに据えたままにしておくのは、
あんまりよろしくない、ということだと思う。
でも結果的に、自分たち国民が管さんがトップでいい、
と認めているわけで、それを変えようと思ったら
ちゃんと声を上げ、選挙に行くしかないのだろう。
この映画の作り手の目的は、まさにそこにある。
管さんって映画の主役を張るには少し弱いというか。
強烈なキャラクター性に欠けると感じるのはなぜだろう。
いや、まあ。政治家に特別な個性など求めてはいないし、
ちゃんとやることをやってくれればいいのだけど、
もっと極悪で業の深い人だったらスクリーンで栄えるのになあ、と。
本作は「新聞記者」や「宮本から君へ」
を手掛けた河村光庸プロデューサーによるもの。
「宮本から君へ」が文化庁より
助成金交付を不当に取り消された事件も記憶に新しいけれど、
めげずにお上が眉をひそめるような映画を
公開する心意気は大いに応援したいところ。