朝の連続テレビ小説「エール」が終了。
コロナによる一時中断もあり、制作スタッフと
キャストの人たちは大変だったと想像する。
昭和を代表する作曲家、古関裕而とその妻をモデルにした
連続ドラマで、主役の窪田正孝と二階堂ふみの
溌剌さが実にフレッシュで、このドラマのおかげで、
コロナ禍のなか、心の平穏を保つことができたというか。
実にフレッシュ、と書いたけれど、
始まった当初は、実におちゃらけてるなあ、という印象。
コントまがいの展開が続き、
あまりドラマを見ている感覚がなかったというか。
バラエティの中のいちコーナーとして
ドラマをやっているような感覚。
でも、中断明けから時代が第二次大戦となり、
それまで無批判に軍歌をつくっていた主人公が、
戦争の悲惨さを目の当たりにして、
己の罪深さに苦悩する場面。
古関裕而は偉大な作曲家だと思うけれど、
その功罪をしっかり問おうとした作り手の意志を支持したい。
戦後、それまでの価値観ががらりと変わり、
否が応でも、人生をやり直さざるを得なかった登場人物たちの
生き方にも考えさせられるものがあったりして、
終わってみると、結果的に好印象のドラマになっていたという。
キャスト陣はみんな好演だったと思う。
個人的には元祖神様(薬師丸ひろ子)が出ていれば満足でした。
朝ドラお約束の、登場人物たちのたまり場になるカフェの
女主人役の仲里依紗の曲者ぶりは、
彼女の芸風を広げたかなと思ったりする。
長崎の原爆で被爆した医師を演じた吉岡秀隆も存在感が。
この人、もっと歳をとったら名優と言われるんじゃないだろうか。
それから、主人公を鼓舞する放送作家を演じた北村有起哉は、
ますます父の北村和夫に似てきたなあと感慨に耽ったり。
そして一番のもうけ役は、光石研さんでしょう。
だって薬師丸さんの夫役ですよ。「セーラー服と機関銃」では
ただの雑魚扱いだったのに、あんなに薬師丸さんに愛され、
二階堂ふみと松井玲奈と森七菜が娘だなんて、もお。
と、前にも書いた記憶があるけれど、
羨ましすぎて、こん幸せ者が! と罵倒、いやお祝いしたいです。
来週からは「おちょやん」。
稀代のコメディエンヌ浪花千栄子を
モデルにしているというから、期待は高まる。
杉咲花さんのヒロインぶりを楽しみたいところ。
映画館の人たちも、ぜひ便乗して
浪花千栄子の映画を特集してくださいな。