げしし。
この猛暑で、油断していたのが運の尽き。
階段ですれ違ってしまったのだ、若旦那に。
踊り場で身を隠そうと思ったのだけど、
めざとく発見されてしまったという。
「げしし。見たそうですね」
「え? ああ。『ハンソロ』のことですか。
情報が早いですね」
「それはもう。何と言ってもSWですからね。
地獄耳にもなりますよ。どうでした? げしし」
「ええ。まあ、良かったんじゃないですか」
「げしし。そうですよね。
あの若造、ハリソン・フォードに似ても似つかないですよね」
「まあ、仕方ないんじゃないですかね」
「だから首だけすげ変えれば良かったんですけどね。
首をちょん、とやれば。げしし」
「はあ。首をちょん、ですか」
「あとはCGで何とかなりますから。げしし」
「じゃあ首をちょん、とやってあげましょうか」
「げしし。いいですけど。ちゃんとCGで何とかしてくださいね」
「わかりました(と言って、持っていたライトセーバーで首をはねる)」
「キレイに首がちょん、となりましたね。げしし」
「うまく斬れました」
「じゃあ、そろそろCGで。げしし」
「わかりました(と言って、ライトセーバーで胴体を斬り刻む)」
「げしし。胴体もCGで何とかするんですね」
「はい(と言って、生首もライトセーバーでみじん切りに)」
「げしし。文明は進んでますね」
「まあそうですね(と言って、斬り刻んだ若旦那をミキサーにかける)」
「おお。まわるまわる。げしし。最近のCGはアナログなんですね」
「ええまあ(と言って、ペースト状になった若旦那を食パンにつける)」
「げしし。食べるんですか」
「いいえ」
「じゃあどうするんですか。
ひょっとして革命軍に差し入れでもするんですか。げしし」
「ブラックホールに棄てます」
「そうですか。じゃあせめて
ミレニアムファルコンで運んでくださいね。げしし」