桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

飛行場

2009-12-09 | Weblog
群馬県、鹿児島県、福岡県と回り、無事に帰京した。昔は飛行場に乗ると、その息苦しさを辛く感じたが、すっかり慣れた。今日も福岡空港からの帰り、一時間強なのに気持ち良く眠ってしまったほどだ。変われば変わるものだよね。
長い拘束生活で積み重なった精神的負担は、自分が思うよりも重かったみたいでトラウマになって表れ、幾度か苦しめられたが、どうやら脱出したのだろう。飛行場に乗っての息苦しさを感じなくなったのは、その証だ。
でも、まだ残っているモノはある。完全に決着したときに、その自分が失ったど自覚するモノを取り戻せるか、楽しみだね

タイ式マッサージ

2009-12-09 | Weblog
片岸さんの長女、典子さんはタイ式マッサージをしている。以前から、九州に来たらやってあげると言われていたが、帰る前にやって貰った。
俺は肩凝りや疲労を身体的に感じたことが無いので、果たしてどんなモノかと思ったが、彼女が言うには、予想した通りにガチガチの身体で、相当に疲労を背負っているらしい。
余り力を入れなかったらしいが、背中を押されると身体の前面まで、痛みが走る場所もあったし、かなり痛かった。それに身体が固い。自覚してはいたが、彼女に笑われるほど、柔軟ストレッチは出来ない。
約1時間、全身をマッサージして貰ったらば、全身が軽くなり、効果を実感出来た。
軽くなった身体を福岡空港行きバス乗り場まで、送って貰い、楽しかった北九州と別れて来たが、行くたびに親しみが深まり、行く楽しみが増える。冤罪人生を幸せと言い得ることが増えた二日間だった。

忘年会

2009-12-09 | Weblog
片岸さん宅の近くに、焼鳥の店「平野」がある。
片岸さんの所有地駐車場を借りている関係で、事件当夜に片岸みつ子にさんの車があるのを確認して駐車場照明スイッチを入れたらしく、みつ子さんが事件現場に火災発生前には到着出来ないのを知っている人でもある。
みつ子さんが裁判中、子供さんたちが出入りしていた店でもあって、俺も何度か行っていた。昨夜は、そこでの忘年会だと言うので、俺も参加した。
参加者は、その店を愛好する近所の方ばかりだったが、殆んどが顔見知りだったから、全く気兼ね無しに楽しめた。
店は定休日。焼鳥は無くて鍋と河豚だった。豪勢に蟹と野菜、河豚もぶち込んで、最後は美味の一言に尽きる雑炊を食べた。
平野のマスターには、こんなに楽しい人だとは思わなかったと言われて、二次会にも誘われたが、前々日が午前3時。前日が午前4時。しかも昼から飲み、食べ続けては、それを受けるに体力が案じられて辞退した。
千葉刑務所にいた当時、不思議と九州人と仲良くなったものだが、本当に気分の晴れる忘年会だった。

馬場さん

2009-12-09 | Weblog
北九州には、片岸さんの伯母さんにあたる家族が、また俺を待ってくれている。内緒にして驚かせようとした計画が破綻しての馬場さん宅訪問になったが、昼を用意して待っていてくれた。
刺身に手料理!
乾杯からの昼酒も美味くて、それから6時間以上、飲んで語って、楽しい時間を過ごした。
義妹が人殺しの罪を着せられ、更に弟が冤罪のモロモロの苦を背負って自殺したことは、馬場さん宅にてっても大変なことだったろうが、総てを理性に包んで俺の闘いにまで心を配ってくれる馬場さん。片岸さんとは違った意味で、大事な存在になっている。
次は、絶対に秘密にしては来ないように、必ず事前知らせることを約束して帰って来た。

あじさいの湯

2009-12-09 | Weblog
鹿児島県弁護士会の主催する可視化集会を終えて、俺は北九州に向かった。
北九州には、同じ冤罪仲間の引野口事件がある。被告とされた片岸みつ子さんは、何とか一審で無罪になって確定したが、その過程で家族と親しくお付き合いするようになり、マイファミリーと公言している。
志布志から鹿児島空港まで、早く帰る人の車に乗せて貰って行き、そこからは博多行きの高速バスに乗った。
朝の7時に志布志を出て博多に着いたのは昼過ぎだった。
それから電車で黒崎に行って、迎えを受けて片岸さん宅に着いたが、疲れていようからと、近くの温泉に案内された。
「あじさいの湯」と呼ばれ、茨城県の北部に点在する日帰り温泉と同じようなところだった。
夕飯からカラオケと回り、帰ってからは明け方の4時過ぎまで、あれこれの積もる話で盛り上がった。