(前回からの続き)
アメリカではもはや不動産価格は下がらない、いや下げられない、いやいや上げるしかない―――その理由は、上記下線部の以前のリンク先記事を含めて本ブログでは何度も書いたとおりです。端的にいえば、不動産でマネーを生んで経済を回していく以外にない、ということ。「1万ドル」で買った土地が100倍(!?)の100万ドルに値上がりすれば、それを売った人からは100万ドルのキャッシュが市中に流れるし、売らずにホールドする人からもこの含み益を担保としたほぼ同額の借金が生じ、これが自動車購入に充てられて、といった感じ・・・って、本来は「1万ドル」分のおカネしか出てこないはずなのに。
で、これが永続する絶対の条件が、いうまでもなく、金利が低いこと(より正確には万年経常赤字国としての米ファンダメンタルズからすれば絶対になり得ないレベルに政策的に金利を下げる[ためにマネーの流通量を増加させる]こと)になります。住宅等の購入では通常の場合、借金する―――住宅ローンを組む―――のだから当然です・・・
もっとも前述のとおり、足元の米政策金利は5%を超えています。そして長期金利は7月時点で3.9%と、長短金利の高低が逆転しているという「逆イールド」ではあるものの、同月のCPI(消費者物価指数)年3.2%を上回っているから、両者の差である実質金利は久々にプラス圏に浮上してきました。さらに住宅ローン金利は7月下旬時点で6.8%前後(30年ローン)、現時点(今月上旬)では7.2%前後にまで上昇しています。これらのデータから、一見、米FRBの利上げが功を奏し、その所期の目的(?)であるインフレ抑制が達成されつつある、といえそうな・・・
・・・って、逆説的ですが、だからこそのインフレ警戒となるわけです。上述のように米経済は、不動産価格の継続的な上昇で創出されるマネーで回ってきました。つまり(不動産そのものの価額の上昇に加えて家賃等も含めた)不動産インフレ依存型の経済運営といえるべきスタイル一択です。よって「いまさら」これとは真逆を志向するディスインフレなやり方なんて無茶というもの・・・って、どのみち―――このまま金融引き締めスタンスが維持されたら、不動産価格が下落→不良債権急増→金融恐慌そして金融システム救済を理由に大量のマネーが印刷されて・・・となり、だからといってここで金融緩和に転じれば不動産価格が再上昇するのはいいとして(?)今度はせっかく下がっていたガソリン代にも火がついて・・・となって―――インフレ高進以外の選択肢なんて取り得ない、ということ。
上記からすれば、インフレが鎮静化してきた現局面の意味合いは自明です。ゆえに、いま金(ゴールド)を仕込んでおくことは合理的な投資判断となってきます・・・ってアメリカつまりドル市場では。そんなところが金ドル建て価格の高止まりの理由でしょう。