日銀「マイナス金利」導入の余波がわたしたちの周辺にも及んでいます。
一部の資産運用会社はこのほど、ＭＭＦ（マネーマネジメントファンド）や中期国債ファンドなど安全性が高い公社債で運用する投資信託の新規販売停止に踏み切りました。そして財務省は今月初旬に予定していた個人投資家が購入可能な10年利付の「新窓販国債」の募集を取り止めています（これはつまり、日本政府が市場から資金の借り入れができなくなることを意味する←重要！！）。いずれも税引き後の利回りがほとんど得られないかマイナスになるためです。
当然、既存の預貯金金利の引き下げも始まっています。事実、3メガ邦銀は定期預金の引き下げを決めました。この先は上記同様、新規預金の申し込みを門前払いする銀行も出てくるかもしれません。その預金の運用対象である日本国債の利回りが極小となって、預金保管コストを賄えないからです（実際、すでに９年物あたりより短期の国債の利回りはすでにマイナス！）。もしかしたらＡＴＭ手数料を引き上げたり口座管理料をあらたに徴収するところもあるかも・・・（？）
国債への投資や預貯金が事実上、できない（中銀が、させない）―――これは、マネーが貯蓄や投資といった経済活動の血流に乗らない（同、乗せない）、という意味で「金融の死」といえそうです。そんな悪夢のような現象を意図的に発生させたのが何と！通貨・金融の守護神たる日銀・・・ってことは日銀は、上記のとおり市場から資金調達ができずに実質的な日銀ファイナンスに追い込まれる「財政」を道連れに、この国の「金融」システムもろとも集団自殺しようとしているのでは！？ しかもその先導役が中銀の国債直接引き受けみたいな財政規律の喪失をもっとも嫌う立場の大蔵省（現財務省）のＯＢだったりするから、もう何が何だか・・・その異次元ぶりに凡人のわたしはまったくついていけないところです・・・
・・・なんて書くと「マネーの向かう先は預貯金だけではない、株や外債（ようするにリスク資産）への投資があるだろ！」と反論されそう。まあ、預貯金でリターンが全く得られないのなら、それ以外の資産つまり内外の株とか高利回り（高リスク）債券に投資するという選択肢が考えられるのもたしかです。しかし・・・本ブログでシツコク書いているように、いまの世界的な「リスクオフ」モードで、そして「アベノミクス」で株や外貨の価額がバブリーに押し上げられたいまの局面でそれらを追っかけ買いしたら超高値掴みもいいところで、年金基金と同じく多額の評価損＆為替差損を食らうだけ（？）。よって健全な本邦投資家ならそんなリスクはとらないはずです。
・・・ならば「超低金利なのだからローンを組んで個人は自動車や家を買え！企業は設備投資をしろ！」（金融機関は貸し出しを増やして利ザヤを稼げ！）・・・ってアナタ、政策的な円安インフレと消費増税のＷパンチで大多数の国民が実質所得や預貯金の減少で苦しむなか、そんな高い買い物＆長期ローンの借金をいまからしようなんて人がどれだけいるというのか・・・。もっとも、そんな厳しいご時世でも現・左翼（？）政権によって給与が（何と！）引き上げられた公務員（日銀役職員を含む）のみなさんには期待できそうだけれど・・・（いいな～）
・・・こうして預貯金も、株もハイイールド債も、そしてローン（融資）もアカ～ン、となって、わたしたちのマネーは行き場を失って漂流することに。手元のおカネをどうしよう・・・。もはや「ブタの貯金箱」（けっこう正解かも！？）か・・・いっそギャンブルにでも（って、まさかドル投資！？）・・・などと思い詰める前に個人的にお勧めしたいのが、やはり「金」（ゴールド）です。
