先月26日に発表された7月のケース・シラー住宅価格指数(全米住宅価格指数)は前月比0.6%上昇の310.16と、(2022年6月値を上回って)ついに史上最高値に達しました。対前月では6か月連続プラスで、年初(1月292.85)からの上昇率は(わずか半年で!?)5.9%にもなっています・・・って、この間、米FRBが利上げを続けてきたにもかかわらず・・・
このあたり、こちらの記事で予想し、そして前稿を含む最近の複数の記事で綴ってきたことの反映ですよ。すなわち、やはりアメリカ(米経済)には、自国不動産価格の永続的な上昇(が生み出すマネー)に依存する以外のコースはない―――同価格の下落につながるコースの選択は絶対にない―――ということ。それは当然、低金利(実質金利[(名目)金利-インフレ率]が低いこと)を必須条件とするためにインフレには目をつぶらざるを得ず・・・と延々とやってきた結果がコレ、という次第。
もっとも上記のとおり、この間、FRBはインフレ抑制に向けた金融引き締め(利上げ)を続けてきましたが、何度も指摘するように、上記からすれば―――不動産は高金利NGだから―――これ(とっくの昔から)無理・・・というより、中銀としての体面上、できる「ふり」をしているような感じ・・・って、まあ(短期金利上昇で価格が低下する)原油価格(先物)とかは下がるように促した・・・けれど「逆イールド」は放置(?)といったところ。つまり、ガソリン代は多少下がってもいいが、不動産価格や家賃が下がったらタイヘン・・・って、そこはFRBのみならずマーケットも心得ているわけです・・・って、とくにこちらの記事に書いた米中堅銀の破綻時のFRB等の対応で、そのあたりがあらためて確信できたわけで・・・
とまあ、以前記事の繰り返しはこれくらいにして、本稿では、この不動産に頼り切ったアメリカ・・・とその通貨「ドル」のスタイルを、かの国(そして世界)が戦後たどってきた「体制」になぞらえて表現してみたいと思います。でその現状のアメリカの上記体制とは・・・「不動産本位制」(あるいは土地本位制)と言い換えられるのではないかと。というのもこちらの記事等でも述べたように、いまのアメリカは事実上、自国の不動産(土地)をドルの価値を裏付ける資産にしている(してしまった、というべきか)、とみているためです。そこは、終戦直前(1944年)から1971年までの間、ドルと金(ゴールド)をリンクさせた仕組み(1トロイオンスの金と35ドルを交換できるとした仕組み)を「金ドル本位制」と呼んだことからも、そのような表現ができるところと考えています。