スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

竜王戦&思想の礎

2022-11-29 19:08:04 | 将棋
 25日と26日に宮地嶽神社で指された第35期竜王戦七番勝負第五局。
 広瀬章人八段の先手で相掛り。先後同型から先手が角を交換して先攻する将棋に進みました。
                                        
 後手の藤井聡太竜王が飛車を打ち込んだ局面。ここで☗5九桂と打って受けましたが,これが最善の受けで局面は均衡を保っています。これに対して☖3六角☗同金☖同飛成と進めましたが,これは急ぎ過ぎで,☖1九飛成と香車を取っておくのが優ったようです。
 次の☗4四角と打った手に対する☖5三金打は,受けとしては最強の手ですがこの局面ではあまりよくありませんでした。☗3七歩に☖2七龍は,ほかのところに逃げれば龍を取られる変化になって後手がまずいので仕方がありませんが,☗3四角の王手が厳しく,先手が有利になりました。
                                        
 ☖5三金打の局面は,金を打つのであれば☖3八金と攻め合う方がよく,また受けるのであれば金は温存して☖5三銀とするべきだったようです。
 広瀬八段が勝って2勝3敗。第六局は今週の金曜と土曜に指される予定です。

 僕がスピノザの思想といっているのは,スピノザの哲学に限定させないためです。つまり僕はスピノザの形而上学が重要であると考えているのですが,それは単にスピノザの哲学を理解するための礎として重要であると考えているわけではなく,もっと幅広く,スピノザの思想を理解するために重要であると考えているのです。そもそも『エチカ』は,確かにスピノザの哲学の集大成であるとはいえますが,直訳するなら倫理学なのであって,倫理学が倫理学といわれるのは,それが哲学とは異なった学問であるからです。しかも『エチカ』には倫理学や哲学だけが含まれているかというならそうではありません。たとえば『エチカ』の第三部は総じていうなら感情論ということになるでしょうが,感情論は哲学や倫理学に限定されるようなものであるということはできません。たとえば第三部定理一九をそれひとつだけで抽出するなら,これは心理学という学問の一種であるとみなすこともできるのであって,そうした心理学も『エチカ』には含まれていると考えなければなりません。しかしそれが『エチカ』の中に含まれているということは,第一部の形而上学と無関係ではないからであって,その意味でスピノザの思想,少なくとも『エチカ』に含まれているすべての思想にとって,スピノザの形而上学がその礎となっている,あるいは礎となっていると理解しなければならないのは間違いないでしょう。
 そして僕がスピノザの思想というときに含ませているのは,このことだけではありません。『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』や『国家論Tractatus Politicus』といった,神学や政治論もまたスピノザの思想に含まれるのであって,それを十全に理解するためには,スピノザの形而上学を理解することが不可欠であると僕は考えているのです。実際にスピノザはそれらの著書で,『エチカ』で示されていることを根拠として記述している部分というのを多く含ませているのですから,このことも間違いないといっていいでしょう。
 これで僕がスピノザの哲学の基礎がその形而上学にあり,かつそれを理解することがスピノザの思想の全体を解するための不可欠な要素と考えていることは理解してもらえたでしょう。
コメント
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