スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

マイナビ女子オープン&神の創造

2018-04-26 19:03:49 | 将棋
 甲府で指された昨日の第11期マイナビ女子オープン五番勝負第二局。
 加藤桃子女王の先手で西山朋佳奨励会三段の角道オープン四間飛車。先手から角を交換して後手は向飛車に。先手が自陣角を打って手放す代償に一歩を得する展開になりました。
                                     
 先手が桂馬を跳ねた局面。これを後手は☖同桂と取りました。
 昨日は1度しかアクセスする時間的余裕がなく,その1度がその局面で,とても驚きました。これは☗2二角成で飛車が取れるからです。僕は現在は指しませんが,指していた頃は居飛車党でしたから,これで振飛車が指せるなどということはあり得ないと思えたのです。
 ☖3七桂成のときにできれば☗1八飛と逃げたいのですが,それは☖2九角があり,先手が率先して振飛車に捌かせてしまったような展開になってしまいます。なので☗2六飛は仕方ないところでしょう。後手は☖4七成桂☗同金で駒損を少し回復して☖7六銀と歩損も解消。先手は☗6六馬と受けて☖6五銀打と使わせてから☗1一馬でまた駒得を広げたのですが,これは後手が銀を打った効果の方が高く,先手は単に☗6八桂と受けるべきだったようです。後手はさらに手厚く☖5四金。
                                     
 これは☖5五桂と打とうという狙い。本来ならここで香車を使って攻め合うか受けるかの手段がないといけないのですが,なかったようで☗7九桂と受けました。後手はそれでも☖5五桂。金取りなので☗4八金と逃げ☖4七歩に☗5八金右で手順に固めましたがそこで☖3七角が痛打。☖4八歩成は避けなければならないので☗2七飛は仕方ないですが,後手が☖1九角成で香車を入手できるのが大きく,ここで後手が優位に立っています。
                                     
 ここで先手は☗4一飛と攻め合いにいきましたが後手は1筋の馬で飛車を追いつつ一歩を入手してから6筋を清算し☗6六香の田楽刺し。そのまま一方的に押し切りました。
 西山三段が勝って1勝1敗。第三局は来月16日です。

 観念ideaは観念されたものideatumがなくてもあることも考えることもできるということは,観念されるものは観念がなければあることも考えることもできないということを意味するのではありません。観念が観念されたものなしにあることも考えることもできるように,観念されたものもその観念なしにあることも考えることもできるものです。スピノザは第二部定理六で,各々の属性attributumの様態modusはそれが様態となっている属性の下で神Deusを原因とするといっています。したがって観念は思惟の様態cogitandi modiですから,思惟の属性Cogitationis attributumを原因とします。このときその観念が物体corpusの観念であるとしたら,物体は思惟の様態ではありませんから,物体の観念は物体を原因とはしません。よって第一部公理四により,物体の観念は物体なしにあることも考えることができるものであることになります。第一部公理三により,ある物体の観念が発生する原因が与えられればその物体の観念は存在することになりますが,物体はその原因ではあり得ないからです。
 これとちょうど逆に,物体は延長の様態ですから延長の属性Extensionis attributumを原因とします。しかるにその物体の観念は思惟の様態なのですから,その物体の原因ではあり得ません。よってある物体はその物体の観念がなくてもあることも考えることもできるものだということになります。スピノザの時代にはおそらくこのことは重要な意味を有していました。なぜならこのことは,神があるものの観念を有することによって,いい換えれば神があるものを認識することによって,そのものが存在するようになることを否定するからです。たぶん神の創造はそのような意味を有していたでしょうし,現代においても神の創造というのはそのような事柄として認識されるのではないかと思います。したがってスピノザは,このような意味での神の創造を全否定したということになります。現代よりも宗教religioが強力であった時代ですから,このような考え方に対する反響が大きかったであろうことは容易に想像できます。
 ただし,スピノザは次のことは認めます。もし物体Xの原因が物体Yであるなら,物体Xの観念の原因は物体Yの観念です。これが俗に平行論といわれるものです。
コメント
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