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スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

イブラトロビウム&第一部定理五の立場

2006-11-17 21:54:22 | 海外競馬
 凱旋門賞で3位に入線したディープインパクトのレース後の検尿で禁止薬物が発見されたというニュースがありましたが,昨日,正式な裁定(ディープインパクトの失格と調教師への制裁金)が発表され,JRAからリリースされました。記者会見の内容などは須田鷹雄さんが書かれていますのでご参照ください。
 発見されたイブラトロビウムという物質は,それ自体で競走馬の競走能力を上昇させる物質とは思えないので,故意によるものではなく,不注意によるものと思われますが,僕の印象では明確な原因が特定されたとは思えず,今後の教訓のためには残念な気がします。あと,思うところをいくつか。
 まず,ディープインパクトがこうした薬品を必要とする呼吸器系の疾患を抱えていたことは驚きでした。フランスに行って急に発症したわけではないということで,にも関わらずそれまであれほどのパフォーマンスを見せていたこの馬の能力の高さは驚異的です。
 それから,投薬には日本人獣医師が立ち会ったということですが,どうも診断し,処方し,投薬するという行為は許されていなかったようで,そのために現地の獣医師に頼る必要があったと思われます。そのために意思の疎通を欠いた可能性はあり,獣医師の資格というのは国際的なものであっていいように思います。
 最後に,日本ではこうしたことが生じた場合,競馬法の関係で刑事罰に問われます。JRAの理事長が最初の記者会見で「汚点」ということばを用いたのにはそうした理由があったかもしれませんが,これはよくない。たとえば,スポーツ選手が故意に禁止薬物を使用した場合(いわゆるドーピング)でも,出場資格を剥奪されるようなことがあっても,刑事罰に問われることはありません。スポーツの内部における違反はそのサークルの内部で処分するべきです。日本の競馬にも海外から馬が参戦してきているわけで,そうした馬から日本で禁止されている薬物がレース後に発見される可能性がないわけではありません。こうした場合,日本の競馬界が独自に処分を下せずに,警察の捜査を待つということになれば,おそらく大きな問題になると思われます。この部分は早く改正するべきであると思います。

 まず最初に,僕が第一部定理五の立場(位置付け)をどのように考えているかということを説明しておきます。
 これは以前にもいったと思うのですが,僕は第一部定義三は名目的な定義であると考えています。したがって,第一部定義三を軸として導かれる第一部の最初の方の定理,なかんずく第一部定理一から第一部定理八まではすべて名目的であると理解しています。
 ここは第一部定理五がテーマですので,その部分に限って説明すれば,もしもこの定理が実在的な意味をもつなら,実際に複数の実体が存在し,それら各々の実体は一切の共通する属性を有さないということになります。しかし『エチカ』を読み進めていけばすぐに分かるように,実際には存在する実体というのは神が唯一なのです(第一部定理一四および系一)。したがって,スピノザがこの定理を実在的であると考えていたとは僕には思えません。すなわちこの定理は,仮に複数の実体が存在する場合には,それらの実体に共通な属性はないという意味の,名目的な定理であろうと思います。
 基本的に『エチカ』は実在的なもの(リアルなもの,あるいはヴィヴィッドなもの)についての哲学であるというのが僕の考えで,そのゆえにこの名目的な定理は,謎が残るものの『エチカ』の主題からは離れるだろうと思うのです。
コメント
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