前に書いたと思うけど、東京MXテレビで「松嶋×町山 未公開映画を観るテレビ」というをやってた。
映画評論家町山智浩が日本では公開されないアメリカのドキュメンタリー映画を持ってきてテレビ放送するもの。
なかなかマニアックなラインナップばかりで普通に生きていると知らない世界(まぁ知る必要もあんまり無かったりするけど)が垣間見られて面白かった。
昨年末にそれらの映画を期間限定でネット放送してて(それが「未公開映画祭」)、1万円払うと全作品見放題だったので見てみた。
まとめて感想書こうと思ってて忘れてたので今書きます。いくつかの作品はたぶんDVDが発売されてると思います。ご興味ある人はどうぞ。
観るのが面倒な人はこの番組の本も出てますんで。
「ザカリーに捧ぐ」
ザカリーに捧ぐ : 松嶋×町山 未公開映画を観るTV [DVD]
誰からも愛されたアンドリューという男が殺された。残されたのは彼の一人息子ザカリー。
友人であった映画監督はアンドリューがどういう人だったのか、ということをいろいろな人にインタビューする旅に出た。それをまとめザカリーが大人になった時に「君のお父さんはこんなにすばらしい人だったんだよ」と見せてあげるために。
映画の前半はアンドリューの友人たちのインタビューが続く。人々は口をそろえて「彼は素晴らしい友人だった」と言う。しかしインタビューを受けながらみな必ず途中で泣き出す。「なんであんないいヤツが殺されなければいけないんだ…アンドリューを殺した女を絶対に許さない」
アンドリューを殺した女、というのはザカリーの母。つまりアンドリューは交際相手に殺された。
そしてアンドリューが死んだとき、交際相手はザカリーを妊娠していた。
そして物語は思いもよらない方向に転がり始める。。。
これは予備知識一切無しで観た方がいいすよ。
「カシム・ザ・ドリーム」
これはちゃんと書いたんでこちらをご覧ください。(これ→カシム・ザ・ドリーム)
今、思い返してもすばらしい映画だったと思う。
「マッド・ムービーズ~オーストラリア映画大暴走~」
70~80年代にオーストラリアは国策として映画制作に力を入れた。つまりがんがん映画を作って海外に売り外貨を獲得するため。この国策によりいろんな映画が作られた。もちろん真っ当な芸術モノも作られたけど主に作られたのは「すぐに売れる」映画、つまり解りやすい映画、簡単に言ってしまえばエロ、ホラー、アクション。
その時代、映画を作っていた人々のインタビューとその映画のシーン、そして案内役がクエンティン・タランティーノ、という無駄にバカ豪華な映画。
これはね~おもしろかったよー。80年代くらいのオーストラリア映画の名シーンが出てくる。
たとえば車の爆発シーン。カメラの脇すれすれを爆風で吹き飛んだ車のドアがヒュンヒュン飛んで行く。「このシーンはすごいですね!どうやって撮ったんですか?」と監督にインタビューすると「ただやっただけ」
猛スピードで突っ込んでくるバイクの運転手に横っ飛びでカンフーキックするシーン。「すごいな~ワイヤーで吊ってるのかな?」と思うんだけど、これも「ただやっただけ」
ヘリコプターから海への飛び降りも、道路脇の通行人へ猛スピードでトラックが突っ込んでくのもぜーんぶ「ただやっただけ」 突っ込んで車にひかれた一般人にはビールを奢ってあげて「どーもすいませーん」で終わり。「次からもっと早くよけろよ」だって。
みんなして「いやー事故がなくて良かったよ」って笑ってるの。
その他、アクションシーンはパンチもキックも全部ホントに当ててる。火だるまになるシーンはホントに火をつけてる。銃撃シーンは実弾撃ってる!!
「マッドマックス」のあるシーンで、バイクを運転していた人が転び、道路を滑り倒れたところに後ろからバイクの車体が突っ込んでくるシーンがある。明らかにバイカーの首に当たっていて「ごきっ」となってる。公開時、すべての人が「これは死んでるだろ…」と思ったらしい。
で、それについて監督にインタビューする。
「いや、みんなそういうんだけど大丈夫だったんだよ!あれは」
あれは?(笑)
こんな映画がバンバン作られているのにスタントマンはオーストラリアに一人しかいなかった。だからすべてのスタントシーンを一人でやってる。
いまだったら絶対こんな映画作れないよね。
非常に不謹慎な映画ばっかりなんだけどやっぱりね迫力がある、だってリアルなんだもの。
そしてそれを作っていた人たち。多くはただ金が欲しかっただけでスタートしたわけだけどやっぱり作ってるうちに映画への情熱が生まれていることがよく解る。最後には「なんか映画好きな人が本気で映画作ってたいい時代だったんだな~」と少しだけホロリと出来ます。
「ステロイド合衆国」
長男はデブ、次男はチビ、三男はバカ、と近所で馬鹿にされてきた3人兄弟。彼らのアイドルはハルク・ホーガン、スタローン、シュワルツネッガー。彼らは周りを見返すには「マッチョになればいい!」と思い、アメフトや重量挙げに明け暮れる。結果、長男はプロレスラー、三男はアメフト選手に。そして筋肉をつけるためにステロイドを使い出す。唯一、ステロイドを使わなかった次男がアメリカのステロイドの実態を探る。
とにかくアメリカ人は「でかく!強く!早い!」のが好き。ちなみにこの映画の現代は「Bigger! Stronger! Faster!(より大きく!より強く!より速く!」。そのためにもっとも効率がいいのが薬物。薬物を使った人が活躍してる。(シュワルツネッガーだってボディビルダー時代は使ってたと告白)
みんな使ってるんだから使わないほうがアホだ、とばかりみんなガンガン使ってる。異常に盛り上がった上腕二頭筋を見せびらかす人とか。
結局、観てて思うけど、このステロイド蔓延の裏側には「薬で治せば一番楽」という安易な考え方がある。
アメリカでは受験生が病院に行って「勉強に集中出来ない」と言えばすぐ薬が出る。眠るために睡眠薬、起きるために興奮剤…なんでも薬で解決しようとする。
「P.Sアイラブユー」という映画でハリー・コニック・ジュニアが「今はなんだって薬で治る時代なんだ。そのうち中東問題だって薬で治る」ってジョークを言っていたけど、そのジョークが笑えなくなる。
ドキュメンタリー自体は悲劇的(薬の副作用が出てる人もいる)なんだけどそれが生んでるのが(ひとまずは)筋肉ムキムキの人たちなんでユーモラスにすら見えてしまう反対側の怖さがあるね。
「ジーザス・キャンプ」
アメリカにいる福音派(聖書に書いてあるものがすべて真実、と信じる宗派)のドキュメント。
子供たち(3~10歳くらいかな)をサマーキャンプに集めて宗派の説明をする。
サマーキャンプだから楽しい音楽と楽しいダンス。しかし声を合わせて言わされるのは「進化論は間違っている」「中絶する者やゲイは神の罰を受ける」、、
子供たちに子宮内で命が生まれていく過程を見せる。そして中絶の様子をリアルに見せる。
こんなのをさー、多感な子供時代にがんがん教え込まれたらちょっとトラウマになってしまうよね。
僕は少し涙ぐみながら観た。やっぱりさ、子供達が可哀想だよ。
このキャンプの主催者を僕は絶対許さない。最初のインタビューでこんな風に答えてたんだよ。
「なぜイスラム教が強いのか。それは子供の頃から『アラーのために』と教え込んでいるからです。だから彼らは成長して自爆テロも恐れなくなります。我々もイスラム教に負けないよう子供達を利用すべきです」
はっきりこの人は言ったからね、「利用する」って。絶対許さないよ、僕は。
「アーミッシュ~禁欲教徒が快楽を試す時~」
「アーミッシュ」というのはキリスト教の宗教集団の一つ。アメリカに20万人くらいいるらしい。教義は禁欲主義と言われ、一切の快楽が許されていない。ドラッグはもちろん、酒・タバコもダメ。更には文明も否定しているので車とか電気もダメ。着るものも装飾がついているとダメなのでボタンがついているものは着ちゃダメ、離婚もダメ、歌もダンスもダメ、読書も聖書と聖書に関わる本以外は読んじゃダメ。
という人々なんだけど、16歳になると一度村から出て一人暮らしをすることが許される。
そしてその期間は何をしてもいい。
車を運転してもいいし酒・タバコはもちろんドラッグもオーケー。映画もロックンロールも、もちろん恋愛も自由、それ以上も。
この期間を経て、子供達は俗世間で生きるかそれとも村に戻りアーミッシュになるか、を選ぶ。
あのね、僕自身はアーミッシュの人たちの話を聞いてもあまりにも禁欲的でそれが正しいとは思えない。でもアーミッシュの親たちがこういうことを言っていた。
「我々は"洗礼"を認めていない。信仰というものは誰かから強制されるものではなく、自分で選ぶべきものだ」
この言葉にはうーん、と唸ってしまった。
これの直前に「ジーザス・キャンプ」を観てたから更にね。ジーザス・キャンプのほうはめちゃくちゃ信仰を強制をしているんだもの。
この話だけ聞くと一見僕から観ると異常に思えるアーミッシュのほうがまともなことを言っている気がしてきて、もうよく解らなくなってくる。
「キムジョンギリア」
脱北者(北朝鮮から脱出してきた人々)のインタビューから明らかにする北朝鮮のリアルな姿。日本人はまぁ近い国だからある程度知識があるけど、アメリカではほとんど情報が無かったらしいね。ということでこの映画はかなりセンセーショナルだったみたい。
まず開始5分間で脱北者の人が北朝鮮の異常性、残酷な状況をただただリアルに語る。とにかく国を批判すればすぐに一族全員収容所行き。食料すら不足している北朝鮮に留まり続けることはとても辛いことだし、更に脱北だって命の危険がある。更にはその手配をする悪徳業者に騙されて脱北したのに体を売らされ続けた女性などもいる。
この時点で涙ぐんでしまうし「なんでこんな異常なことが起こってるんだろう?」とほんとに落ち込んでしまう。
ラスト、平壌で豪華なマスゲームが行われそれに手を振る笑顔の最高指導者の映像。
その映像を見て僕は生まれて初めて思った。
「ああ『反吐が出る』って言葉はこういう時に使うんだな」と。
「C.S.A」
奴隷解放を争点にアメリカ南部と北部が戦った南北戦争。結果、北軍である「U.S.A.」が勝ち奴隷は解放され、現代のアメリカ合衆国になった。しかし、もしこの時、南軍「C.S.A(Confederate States of America=アメリカ連合国)」が勝っていたら?というIF物。
ちょっとツイストされた構成になってて、CSAの歴史を追ったイギリス国営放送のドキュメントをCSA国内で放送している、ということなんで途中、CSA国内でのCMが入る(これ後述しますが絶品)。
CSAがどういう国になったかというと、まずリンカーンは戦争犯罪人として死刑。奴隷制度は続き、多くの黒人はカナダに逃亡。第二次世界大戦ではユダヤ人虐待のナチスと手を組みヒトラーがワシントンを訪問。日本に対して先制攻撃を行う。大戦後は奴隷解放をとなえるケネディが暗殺され、、などなどすごい世界に…。
この映画がすごいのは、途中CSAの歴史としていろいろな映像が出てくる。基本的には「フェイク・ドキュメンタリー」だから作られた映像がメインなんだけど、それに巧妙に本当の映像が混ぜられていること。
例えば逃亡した奴隷に何度も鞭を打つ映像があるけどそれは現実のもの。。。
すごく重いテーマだけど、やっぱりこういう事実があったことに目をつぶっちゃいけない。
ところで間に挟まれるCM。これはもちろんフィクションなんでトンデモないものもある。(例えば最先端のマイクロチップを搭載した奴隷逃亡防止用ブレスレットの通販CMとか…) なんだけど、最後にそのあたりのオチが付く。ここで見ているほうとしては「そうだったのか!」と気づく。ある意味「猿の惑星」並の衝撃。メタフィクションとして最高の出来。
「レリジュラス」
ビル・マーというコメディアンが各地の宗教家に話を聞きに行きそのすべてをおちょくる。一番シンボリックなシーンは「死んだら素晴らしい天国が待ってるんだ!」と熱弁をふるう人に対して「じゃあ今死ねば?」とおちょくるところ。
彼がおちょくるのはキリスト教(カトリック&プロテスタント)、ユダヤ教、イスラム教。これらの宗教の特徴は「みんな元々は同じ宗教」ということ。
たぶん、ビル・マーがそれらの熱狂的な信者達に聞きたいことは「大モトである旧約聖書の十戒に『汝、殺すなかれ』って書いてあるだろ?でもなんで宗教の名の下に戦争するの?」ってことなんじゃないかと思う。
「イエスメン」
お笑いテロリストであるイエスメンという二人組。彼は世界貿易機関(WTO)のオフィサーになりすまし各地でシンポジウムに参加する。(なんで一介のサラリーマンである彼らがそんなところ参加出来ちゃうのか良く分からないんだけど…それほとシンポジウム開催者のチェックは甘いのかな??) で、そこで大まじめにバカな発表をする。その発表と言うのが現実のWTOをおちょくってるんだけどね。
「ビン・ラディンを探せ!」
「スーパーサイズ・ミー」で30日間マクドナルドを食べ続けた男モーガン・スパーロックの彼女が妊娠(関係ないけどこの彼女、かわいいよね)。子供のためにも安全な所に引っ越さないと、と郊外に引っ越したはいいけどまだ不安。だっていつテロが起きるか解らない。
じゃあテロを無くすにはどうしたらいい?どうやらテロはビン・ラディンというやつが起こしてるらしい。よし、ビン・ラディンを見つけて捕まえれば世界は平和になり、子供の未来は安心だ! ということでビン・ラディンを探しに行く話。
バカだなー、と思うでしょ。でも見てると思うんだけどはっきり言ってアメリカが国を上げてやったことはこれとあんまり相違ないよね。フセインが悪いフセインを見つけて殺せば、、ビンラディンを見つけて殺せば、、世界は平和になる!みたいなこと言い続けてるじゃん。
スパーロックは中東に行くためにいろんな準備をする。たとえば防護術。中東テロリストばかりで、そこかしこに手榴弾が転がってるから手榴弾から身を守る方法とか。
でも当たり前のことだけど中東に行ったら普通の土地には普通の人がいて普通の笑顔がある。「手榴弾なんてどこにあるんだ?テロなんてどこにあるんだ?」と気づく。
中東で出会った人が言う。「アメリカのせいで戦争になった!アメリカが憎い!」
彼にスパーロックが尋ねる。「僕のことも憎い?」
彼は答える。「いや、あんたはいいヤツだ」
なんで個人個人だと仲良くなれるのに国対国だと戦争になっちゃうんだろうね?
「ビアポン」
これは面白い!笑える!この未公開映画祭の映画は結構重い内容が多い。人が亡くなったり。でもこの映画だけはまっーったく重いところは無い。
どういう映画かというとまず「ビアポン」というスポーツがあるんだって。昔、大学生が酒場で始めたスポーツ。
長テーブルの両端に二人1チームで向かいあいます。テーブルの両端にビールを入れた紙コップをおいておきます。交互にピンポン球を投げてそれに入れる。自分の陣地側のコップに入れたら相手の得点。相手のコップ全部にピンポン球を入れれば勝ち。狙って投げる、ということでダーツ的集中力勝負の競技。
これのスポーツが面白いのは2点。
1、常識の範囲内で相手を邪魔していい。つまりヤジを飛ばしても面白い格好して集中力を削いでもいい。男のチームは面白い扮装してたり女性チームはTバックでおしりふったり。
2、玉を入れられたカップに入っていたビールは飲まなきゃ行けない、という「酔えば酔うほど弱くなる」逆酔拳ルール。
ま、飲み屋の余興にはちょうどいいんだろうね。
で、このくだらないゲームの世界大会を開催しようと考えたバカがいる。この映画はその第二回ビアポン世界大会に青春をかける人々の汗と涙とビールの物語。
ビアポンのために仕事もせず毎日筋トレに励むチーム。パソコンにデータを入れ分析するチーム。彼らが情熱のかけるビアポンの先に何もないことは彼ら自身が分かってる。でも彼らはビアポン世界一の名誉のため人生をかける。
もうね、最高。バカで格好悪いことを真剣にやることってなんて格好いいんだろう。逆に泣けてくるよ。
時々、第一回チャンプ、カナディアンズの二人のインタビューが入るんだけど彼らのユニフォームが全裸にオムツ&ヨダレかけ!面白い格好のほうが相手の集中力を削げるからね。そんな格好で「ビアポンはスポーツだ」なんて言ってるのが最高に面白い。カナディアンズが写る度に吹き出した。
「いろんなスポーツがあるのは分かってる。でもいい大人がオムツ姿でプレイできる世界大会が他にあるか?」 うーん、名言。
気分が重くなったらビアポンは見るべきだと思うよ。
「アウトフォックスド」
ブッシュ政権下、アメリカで最大人気のニュースチャンネルとなった「FOXニュース」。「公平で中立」を宣伝文句にしているこのチャンネルがどれだけ「不公平で偏重」だったのか、を探るドキュメント。
このチャンネルでは「イラク戦争はすべて正しい」「ブッシュは素晴らしい」「ブッシュのおかげでアメリカの景気は良くなりつつけている」というニュースを流し続けた。第二次世界大戦下の大本営発表みたいだね。
FOXの流していた放送がいかに嘘ばっかりだったか、ということを内部で働いていた人の証言や実際に放映された映像を元に暴く。
ちなみにタイトルの「outfoxed」は「裏をかく、策略でだます」の「outfox」から。FOXがかかってるね。
なんでFOXニュースがこんなことをやるかというとそれが視聴率に繋がり儲かるから。「アメリカは常に正しい!常に強い!」ということを難しいこと抜きでニュースにしてるから何も考えたくない人には人気がある。
考えてみると日本のマスコミだっていつこんな状態に陥るか分からない。あれ?もう陥ってる??
「ウォルマート 激安の代償」
アメリカのナンバーワン小売店舗チェーン、ウォルマート。僕は良く知らないけどめちゃくちゃ安いんだって。(たとえば子供用自転車が1500円とか) その安さの裏に何があるのか、というドキュメント。
まずね、人件費にびっくりする。ウォルマートで働いている人の多くは正社員なのに生活保護を受けないとやっていけない。つまりさ、これって年収の一部を国に払わせているようなものだよね。なぜそこまでしてウォルマートで働かなくてはいけないか、というとウォルマートが町にどんと出来るとめちゃくちゃ安いのでその町の個人店は全部つぶれちゃうから。今まで何代も続いた小売店もウォルマートの安さには必ず店を閉めるしかない。閉めても働くところはウォルマートしかない。で、ウォルマートで働く。
更に入社する時に「予告無く解雇されても訴えません」という誓約書にサインをしないといけない。だから待遇改善のために労働組合とか作るとすぐに解雇されてしまう。
なんかこれって現代の奴隷制度のような気がするんだけど。。。
以上、ざーっと駆け足で紹介しました。しかしよう見たね、我ながら。
こういう風にいろんなドキュメンタリーを同時多発的に見ると、自分の価値観が磨かれる、っていう感覚が確かにあってやっぱり面白いなぁ。
そして思うことは「悲劇は喜劇の顔をしてやってくる」ということ。ステロイドが巻き起こす諸々の事件や、FOXニュースのめちゃくちゃっぷり、餓死者が出続けている北朝鮮での「今年は豊作」というニュース、ホントに大きな悲劇なんだけどそれでもタチの悪いジョークにしか思えない。。。やっぱりなんかこの世の中っておかしいね。
そして、そのおかしな世の中でも必死に、誇りを失わずに真っ当に生きてる人、たとえばそれはカシムやビアポンチャンピオンのカナディアンズ(ちょっと違うか)だったり、がいて、その人たちが映画に出てくると感動する、やっぱり。
映画評論家町山智浩が日本では公開されないアメリカのドキュメンタリー映画を持ってきてテレビ放送するもの。
なかなかマニアックなラインナップばかりで普通に生きていると知らない世界(まぁ知る必要もあんまり無かったりするけど)が垣間見られて面白かった。
昨年末にそれらの映画を期間限定でネット放送してて(それが「未公開映画祭」)、1万円払うと全作品見放題だったので見てみた。
まとめて感想書こうと思ってて忘れてたので今書きます。いくつかの作品はたぶんDVDが発売されてると思います。ご興味ある人はどうぞ。
観るのが面倒な人はこの番組の本も出てますんで。
「ザカリーに捧ぐ」
ザカリーに捧ぐ : 松嶋×町山 未公開映画を観るTV [DVD]
誰からも愛されたアンドリューという男が殺された。残されたのは彼の一人息子ザカリー。
友人であった映画監督はアンドリューがどういう人だったのか、ということをいろいろな人にインタビューする旅に出た。それをまとめザカリーが大人になった時に「君のお父さんはこんなにすばらしい人だったんだよ」と見せてあげるために。
映画の前半はアンドリューの友人たちのインタビューが続く。人々は口をそろえて「彼は素晴らしい友人だった」と言う。しかしインタビューを受けながらみな必ず途中で泣き出す。「なんであんないいヤツが殺されなければいけないんだ…アンドリューを殺した女を絶対に許さない」
アンドリューを殺した女、というのはザカリーの母。つまりアンドリューは交際相手に殺された。
そしてアンドリューが死んだとき、交際相手はザカリーを妊娠していた。
そして物語は思いもよらない方向に転がり始める。。。
これは予備知識一切無しで観た方がいいすよ。
「カシム・ザ・ドリーム」
これはちゃんと書いたんでこちらをご覧ください。(これ→カシム・ザ・ドリーム)
今、思い返してもすばらしい映画だったと思う。
「マッド・ムービーズ~オーストラリア映画大暴走~」
70~80年代にオーストラリアは国策として映画制作に力を入れた。つまりがんがん映画を作って海外に売り外貨を獲得するため。この国策によりいろんな映画が作られた。もちろん真っ当な芸術モノも作られたけど主に作られたのは「すぐに売れる」映画、つまり解りやすい映画、簡単に言ってしまえばエロ、ホラー、アクション。
その時代、映画を作っていた人々のインタビューとその映画のシーン、そして案内役がクエンティン・タランティーノ、という無駄にバカ豪華な映画。
これはね~おもしろかったよー。80年代くらいのオーストラリア映画の名シーンが出てくる。
たとえば車の爆発シーン。カメラの脇すれすれを爆風で吹き飛んだ車のドアがヒュンヒュン飛んで行く。「このシーンはすごいですね!どうやって撮ったんですか?」と監督にインタビューすると「ただやっただけ」
猛スピードで突っ込んでくるバイクの運転手に横っ飛びでカンフーキックするシーン。「すごいな~ワイヤーで吊ってるのかな?」と思うんだけど、これも「ただやっただけ」
ヘリコプターから海への飛び降りも、道路脇の通行人へ猛スピードでトラックが突っ込んでくのもぜーんぶ「ただやっただけ」 突っ込んで車にひかれた一般人にはビールを奢ってあげて「どーもすいませーん」で終わり。「次からもっと早くよけろよ」だって。
みんなして「いやー事故がなくて良かったよ」って笑ってるの。
その他、アクションシーンはパンチもキックも全部ホントに当ててる。火だるまになるシーンはホントに火をつけてる。銃撃シーンは実弾撃ってる!!
「マッドマックス」のあるシーンで、バイクを運転していた人が転び、道路を滑り倒れたところに後ろからバイクの車体が突っ込んでくるシーンがある。明らかにバイカーの首に当たっていて「ごきっ」となってる。公開時、すべての人が「これは死んでるだろ…」と思ったらしい。
で、それについて監督にインタビューする。
「いや、みんなそういうんだけど大丈夫だったんだよ!あれは」
あれは?(笑)
こんな映画がバンバン作られているのにスタントマンはオーストラリアに一人しかいなかった。だからすべてのスタントシーンを一人でやってる。
いまだったら絶対こんな映画作れないよね。
非常に不謹慎な映画ばっかりなんだけどやっぱりね迫力がある、だってリアルなんだもの。
そしてそれを作っていた人たち。多くはただ金が欲しかっただけでスタートしたわけだけどやっぱり作ってるうちに映画への情熱が生まれていることがよく解る。最後には「なんか映画好きな人が本気で映画作ってたいい時代だったんだな~」と少しだけホロリと出来ます。
「ステロイド合衆国」
長男はデブ、次男はチビ、三男はバカ、と近所で馬鹿にされてきた3人兄弟。彼らのアイドルはハルク・ホーガン、スタローン、シュワルツネッガー。彼らは周りを見返すには「マッチョになればいい!」と思い、アメフトや重量挙げに明け暮れる。結果、長男はプロレスラー、三男はアメフト選手に。そして筋肉をつけるためにステロイドを使い出す。唯一、ステロイドを使わなかった次男がアメリカのステロイドの実態を探る。
とにかくアメリカ人は「でかく!強く!早い!」のが好き。ちなみにこの映画の現代は「Bigger! Stronger! Faster!(より大きく!より強く!より速く!」。そのためにもっとも効率がいいのが薬物。薬物を使った人が活躍してる。(シュワルツネッガーだってボディビルダー時代は使ってたと告白)
みんな使ってるんだから使わないほうがアホだ、とばかりみんなガンガン使ってる。異常に盛り上がった上腕二頭筋を見せびらかす人とか。
結局、観てて思うけど、このステロイド蔓延の裏側には「薬で治せば一番楽」という安易な考え方がある。
アメリカでは受験生が病院に行って「勉強に集中出来ない」と言えばすぐ薬が出る。眠るために睡眠薬、起きるために興奮剤…なんでも薬で解決しようとする。
「P.Sアイラブユー」という映画でハリー・コニック・ジュニアが「今はなんだって薬で治る時代なんだ。そのうち中東問題だって薬で治る」ってジョークを言っていたけど、そのジョークが笑えなくなる。
ドキュメンタリー自体は悲劇的(薬の副作用が出てる人もいる)なんだけどそれが生んでるのが(ひとまずは)筋肉ムキムキの人たちなんでユーモラスにすら見えてしまう反対側の怖さがあるね。
「ジーザス・キャンプ」
アメリカにいる福音派(聖書に書いてあるものがすべて真実、と信じる宗派)のドキュメント。
子供たち(3~10歳くらいかな)をサマーキャンプに集めて宗派の説明をする。
サマーキャンプだから楽しい音楽と楽しいダンス。しかし声を合わせて言わされるのは「進化論は間違っている」「中絶する者やゲイは神の罰を受ける」、、
子供たちに子宮内で命が生まれていく過程を見せる。そして中絶の様子をリアルに見せる。
こんなのをさー、多感な子供時代にがんがん教え込まれたらちょっとトラウマになってしまうよね。
僕は少し涙ぐみながら観た。やっぱりさ、子供達が可哀想だよ。
このキャンプの主催者を僕は絶対許さない。最初のインタビューでこんな風に答えてたんだよ。
「なぜイスラム教が強いのか。それは子供の頃から『アラーのために』と教え込んでいるからです。だから彼らは成長して自爆テロも恐れなくなります。我々もイスラム教に負けないよう子供達を利用すべきです」
はっきりこの人は言ったからね、「利用する」って。絶対許さないよ、僕は。
「アーミッシュ~禁欲教徒が快楽を試す時~」
「アーミッシュ」というのはキリスト教の宗教集団の一つ。アメリカに20万人くらいいるらしい。教義は禁欲主義と言われ、一切の快楽が許されていない。ドラッグはもちろん、酒・タバコもダメ。更には文明も否定しているので車とか電気もダメ。着るものも装飾がついているとダメなのでボタンがついているものは着ちゃダメ、離婚もダメ、歌もダンスもダメ、読書も聖書と聖書に関わる本以外は読んじゃダメ。
という人々なんだけど、16歳になると一度村から出て一人暮らしをすることが許される。
そしてその期間は何をしてもいい。
車を運転してもいいし酒・タバコはもちろんドラッグもオーケー。映画もロックンロールも、もちろん恋愛も自由、それ以上も。
この期間を経て、子供達は俗世間で生きるかそれとも村に戻りアーミッシュになるか、を選ぶ。
あのね、僕自身はアーミッシュの人たちの話を聞いてもあまりにも禁欲的でそれが正しいとは思えない。でもアーミッシュの親たちがこういうことを言っていた。
「我々は"洗礼"を認めていない。信仰というものは誰かから強制されるものではなく、自分で選ぶべきものだ」
この言葉にはうーん、と唸ってしまった。
これの直前に「ジーザス・キャンプ」を観てたから更にね。ジーザス・キャンプのほうはめちゃくちゃ信仰を強制をしているんだもの。
この話だけ聞くと一見僕から観ると異常に思えるアーミッシュのほうがまともなことを言っている気がしてきて、もうよく解らなくなってくる。
「キムジョンギリア」
脱北者(北朝鮮から脱出してきた人々)のインタビューから明らかにする北朝鮮のリアルな姿。日本人はまぁ近い国だからある程度知識があるけど、アメリカではほとんど情報が無かったらしいね。ということでこの映画はかなりセンセーショナルだったみたい。
まず開始5分間で脱北者の人が北朝鮮の異常性、残酷な状況をただただリアルに語る。とにかく国を批判すればすぐに一族全員収容所行き。食料すら不足している北朝鮮に留まり続けることはとても辛いことだし、更に脱北だって命の危険がある。更にはその手配をする悪徳業者に騙されて脱北したのに体を売らされ続けた女性などもいる。
この時点で涙ぐんでしまうし「なんでこんな異常なことが起こってるんだろう?」とほんとに落ち込んでしまう。
ラスト、平壌で豪華なマスゲームが行われそれに手を振る笑顔の最高指導者の映像。
その映像を見て僕は生まれて初めて思った。
「ああ『反吐が出る』って言葉はこういう時に使うんだな」と。
「C.S.A」
奴隷解放を争点にアメリカ南部と北部が戦った南北戦争。結果、北軍である「U.S.A.」が勝ち奴隷は解放され、現代のアメリカ合衆国になった。しかし、もしこの時、南軍「C.S.A(Confederate States of America=アメリカ連合国)」が勝っていたら?というIF物。
ちょっとツイストされた構成になってて、CSAの歴史を追ったイギリス国営放送のドキュメントをCSA国内で放送している、ということなんで途中、CSA国内でのCMが入る(これ後述しますが絶品)。
CSAがどういう国になったかというと、まずリンカーンは戦争犯罪人として死刑。奴隷制度は続き、多くの黒人はカナダに逃亡。第二次世界大戦ではユダヤ人虐待のナチスと手を組みヒトラーがワシントンを訪問。日本に対して先制攻撃を行う。大戦後は奴隷解放をとなえるケネディが暗殺され、、などなどすごい世界に…。
この映画がすごいのは、途中CSAの歴史としていろいろな映像が出てくる。基本的には「フェイク・ドキュメンタリー」だから作られた映像がメインなんだけど、それに巧妙に本当の映像が混ぜられていること。
例えば逃亡した奴隷に何度も鞭を打つ映像があるけどそれは現実のもの。。。
すごく重いテーマだけど、やっぱりこういう事実があったことに目をつぶっちゃいけない。
ところで間に挟まれるCM。これはもちろんフィクションなんでトンデモないものもある。(例えば最先端のマイクロチップを搭載した奴隷逃亡防止用ブレスレットの通販CMとか…) なんだけど、最後にそのあたりのオチが付く。ここで見ているほうとしては「そうだったのか!」と気づく。ある意味「猿の惑星」並の衝撃。メタフィクションとして最高の出来。
「レリジュラス」
ビル・マーというコメディアンが各地の宗教家に話を聞きに行きそのすべてをおちょくる。一番シンボリックなシーンは「死んだら素晴らしい天国が待ってるんだ!」と熱弁をふるう人に対して「じゃあ今死ねば?」とおちょくるところ。
彼がおちょくるのはキリスト教(カトリック&プロテスタント)、ユダヤ教、イスラム教。これらの宗教の特徴は「みんな元々は同じ宗教」ということ。
たぶん、ビル・マーがそれらの熱狂的な信者達に聞きたいことは「大モトである旧約聖書の十戒に『汝、殺すなかれ』って書いてあるだろ?でもなんで宗教の名の下に戦争するの?」ってことなんじゃないかと思う。
「イエスメン」
お笑いテロリストであるイエスメンという二人組。彼は世界貿易機関(WTO)のオフィサーになりすまし各地でシンポジウムに参加する。(なんで一介のサラリーマンである彼らがそんなところ参加出来ちゃうのか良く分からないんだけど…それほとシンポジウム開催者のチェックは甘いのかな??) で、そこで大まじめにバカな発表をする。その発表と言うのが現実のWTOをおちょくってるんだけどね。
「ビン・ラディンを探せ!」
「スーパーサイズ・ミー」で30日間マクドナルドを食べ続けた男モーガン・スパーロックの彼女が妊娠(関係ないけどこの彼女、かわいいよね)。子供のためにも安全な所に引っ越さないと、と郊外に引っ越したはいいけどまだ不安。だっていつテロが起きるか解らない。
じゃあテロを無くすにはどうしたらいい?どうやらテロはビン・ラディンというやつが起こしてるらしい。よし、ビン・ラディンを見つけて捕まえれば世界は平和になり、子供の未来は安心だ! ということでビン・ラディンを探しに行く話。
バカだなー、と思うでしょ。でも見てると思うんだけどはっきり言ってアメリカが国を上げてやったことはこれとあんまり相違ないよね。フセインが悪いフセインを見つけて殺せば、、ビンラディンを見つけて殺せば、、世界は平和になる!みたいなこと言い続けてるじゃん。
スパーロックは中東に行くためにいろんな準備をする。たとえば防護術。中東テロリストばかりで、そこかしこに手榴弾が転がってるから手榴弾から身を守る方法とか。
でも当たり前のことだけど中東に行ったら普通の土地には普通の人がいて普通の笑顔がある。「手榴弾なんてどこにあるんだ?テロなんてどこにあるんだ?」と気づく。
中東で出会った人が言う。「アメリカのせいで戦争になった!アメリカが憎い!」
彼にスパーロックが尋ねる。「僕のことも憎い?」
彼は答える。「いや、あんたはいいヤツだ」
なんで個人個人だと仲良くなれるのに国対国だと戦争になっちゃうんだろうね?
「ビアポン」
これは面白い!笑える!この未公開映画祭の映画は結構重い内容が多い。人が亡くなったり。でもこの映画だけはまっーったく重いところは無い。
どういう映画かというとまず「ビアポン」というスポーツがあるんだって。昔、大学生が酒場で始めたスポーツ。
長テーブルの両端に二人1チームで向かいあいます。テーブルの両端にビールを入れた紙コップをおいておきます。交互にピンポン球を投げてそれに入れる。自分の陣地側のコップに入れたら相手の得点。相手のコップ全部にピンポン球を入れれば勝ち。狙って投げる、ということでダーツ的集中力勝負の競技。
これのスポーツが面白いのは2点。
1、常識の範囲内で相手を邪魔していい。つまりヤジを飛ばしても面白い格好して集中力を削いでもいい。男のチームは面白い扮装してたり女性チームはTバックでおしりふったり。
2、玉を入れられたカップに入っていたビールは飲まなきゃ行けない、という「酔えば酔うほど弱くなる」逆酔拳ルール。
ま、飲み屋の余興にはちょうどいいんだろうね。
で、このくだらないゲームの世界大会を開催しようと考えたバカがいる。この映画はその第二回ビアポン世界大会に青春をかける人々の汗と涙とビールの物語。
ビアポンのために仕事もせず毎日筋トレに励むチーム。パソコンにデータを入れ分析するチーム。彼らが情熱のかけるビアポンの先に何もないことは彼ら自身が分かってる。でも彼らはビアポン世界一の名誉のため人生をかける。
もうね、最高。バカで格好悪いことを真剣にやることってなんて格好いいんだろう。逆に泣けてくるよ。
時々、第一回チャンプ、カナディアンズの二人のインタビューが入るんだけど彼らのユニフォームが全裸にオムツ&ヨダレかけ!面白い格好のほうが相手の集中力を削げるからね。そんな格好で「ビアポンはスポーツだ」なんて言ってるのが最高に面白い。カナディアンズが写る度に吹き出した。
「いろんなスポーツがあるのは分かってる。でもいい大人がオムツ姿でプレイできる世界大会が他にあるか?」 うーん、名言。
気分が重くなったらビアポンは見るべきだと思うよ。
「アウトフォックスド」
ブッシュ政権下、アメリカで最大人気のニュースチャンネルとなった「FOXニュース」。「公平で中立」を宣伝文句にしているこのチャンネルがどれだけ「不公平で偏重」だったのか、を探るドキュメント。
このチャンネルでは「イラク戦争はすべて正しい」「ブッシュは素晴らしい」「ブッシュのおかげでアメリカの景気は良くなりつつけている」というニュースを流し続けた。第二次世界大戦下の大本営発表みたいだね。
FOXの流していた放送がいかに嘘ばっかりだったか、ということを内部で働いていた人の証言や実際に放映された映像を元に暴く。
ちなみにタイトルの「outfoxed」は「裏をかく、策略でだます」の「outfox」から。FOXがかかってるね。
なんでFOXニュースがこんなことをやるかというとそれが視聴率に繋がり儲かるから。「アメリカは常に正しい!常に強い!」ということを難しいこと抜きでニュースにしてるから何も考えたくない人には人気がある。
考えてみると日本のマスコミだっていつこんな状態に陥るか分からない。あれ?もう陥ってる??
「ウォルマート 激安の代償」
アメリカのナンバーワン小売店舗チェーン、ウォルマート。僕は良く知らないけどめちゃくちゃ安いんだって。(たとえば子供用自転車が1500円とか) その安さの裏に何があるのか、というドキュメント。
まずね、人件費にびっくりする。ウォルマートで働いている人の多くは正社員なのに生活保護を受けないとやっていけない。つまりさ、これって年収の一部を国に払わせているようなものだよね。なぜそこまでしてウォルマートで働かなくてはいけないか、というとウォルマートが町にどんと出来るとめちゃくちゃ安いのでその町の個人店は全部つぶれちゃうから。今まで何代も続いた小売店もウォルマートの安さには必ず店を閉めるしかない。閉めても働くところはウォルマートしかない。で、ウォルマートで働く。
更に入社する時に「予告無く解雇されても訴えません」という誓約書にサインをしないといけない。だから待遇改善のために労働組合とか作るとすぐに解雇されてしまう。
なんかこれって現代の奴隷制度のような気がするんだけど。。。
以上、ざーっと駆け足で紹介しました。しかしよう見たね、我ながら。
こういう風にいろんなドキュメンタリーを同時多発的に見ると、自分の価値観が磨かれる、っていう感覚が確かにあってやっぱり面白いなぁ。
そして思うことは「悲劇は喜劇の顔をしてやってくる」ということ。ステロイドが巻き起こす諸々の事件や、FOXニュースのめちゃくちゃっぷり、餓死者が出続けている北朝鮮での「今年は豊作」というニュース、ホントに大きな悲劇なんだけどそれでもタチの悪いジョークにしか思えない。。。やっぱりなんかこの世の中っておかしいね。
そして、そのおかしな世の中でも必死に、誇りを失わずに真っ当に生きてる人、たとえばそれはカシムやビアポンチャンピオンのカナディアンズ(ちょっと違うか)だったり、がいて、その人たちが映画に出てくると感動する、やっぱり。