さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

関西上位対決は僅差の決着 川口裕が山本隆寛に競り勝ちOPBF王座へ

2015-04-06 20:03:44 | 関西ボクシング


ということで昨夜はまたも府立地下で観戦。
怒濤の興行ラッシュ、三日間6興行のうち、4興行観戦を果たしました。
我ながらなかなか健闘したなと思います。
アホかお前は、というツッコミは謹んでお受けいたしますが、まあそれはそれとして、簡単に感想を。


================================================

昨日の昼の部では、中谷正義がアクセル住吉に判定勝ちでOPBFライト級王座を防衛。
クリアな勝利だったようですが、一度だけ打たれ、ぐらついた場面があったそうです。
二部のときに中谷を見かけましたが、ちょっと顔も赤く、カットもしていて、楽な試合では無かった模様。
アクセル住吉は玉越強平戦くらいしか見ていませんが、アマの好選手で、プロ戦績は良くは無いものの、
その数字以上の実力者だという声も聞いていました。健闘したのでしょうね。


さて、夜の部のメインは川口裕vs山本隆寛。
このカードがOPBFバンタム級の空位決定戦になる、とは、カード決定を知ったときにはちょっと驚きました。
OPBFや日本の枠内で言えば、プンルアンやツニャカオといった面々が絡んでこそ本当だろう、と思ってもいましたし。
まあしかし、なかなかそういう風にはならないのも現実ではあります。安易に納得するつもりはありませんが。

とはいえ、関西の枠内でいえば、上位選手同士の好カードなのも確かです。
会場は両選手の応援団が大挙詰めかけ、熱気に溢れる中、僅差の攻防が繰り広げられました。

試合は山本が足を使って、速いパンチを当てては動くという立ち上がり。
強打が売りの川口は、スピードで劣るが、じりじり出て、強いパンチを正確に当てて、山本を止めようとする。
ラウンド毎に両者のヒット数と、パンチの効果、正確さの比較がきわどく、採点の難しい試合となりました。

4回まではやや山本と見ましたが、途中採点は40-36で山本、あと二人が38-38イーブン。
中盤打ち合いが増え、山本の手数、川口の強打のせめぎ合い。川口が徐々に追い上げかと見えましたが、
8回までの途中採点は二人が77-75で山本、一人が76-76でイーブン。

私はこの時点で、この試合は見方ひとつで割れる、正解の無い判定になるだろうと、完全に諦めました。
言い訳じゃないですが、ジャッジの見方もかなりばらついていたようです。

9回、川口左フック好打。10回以降、互いにヒットしては反撃されるの繰り返し。
最終回、川口が押し切れず、山本がヒットを取って僅差で逃げ切ったかと見ましたが、
採点は割れ、116-112川口、115-113山本、115-113川口。
スプリットで川口が新王者となりました。パンチの効果がより評価されたということでしょうね。

あの小松則幸の死から6年、キャリア後期の彼をマネージャーとして支えた本石昌也会長の元、
二度目の挑戦で王座奪取を果たした川口は、感無量といった様子でした。
OPBFの上位陣には強敵も多いですが、今後の健闘に期待です。


================================================

6回戦ながらセミファイナルに登場したのは、デビュー2戦目の田中一樹。
相手が宮田ジムの田部井要、戦績が20戦10勝(7KO)8敗2分。
これは結構な冒険カード...だということを、会場に来てから知りました。

若干小柄な田部井でしたが、試合前からやる気満々、一発食らわしたるぞ、という風。
対する田中も気合い充分、というか充分過ぎて、開始早々からいきなり出て、打ち合いに挑む。

初回、田部井が右を決めて攻め、押された田中だがロープを背にした位置から鋭い左フック。
田部井がバランスを崩す場面が二度。ただ田中、攻められるとすぐ打ち返そうとしすぎる。
2回も、ジャブで止めたり測ったり、という選択はなく、危険な距離で打ち合いを続ける。3回も同様。

身体の動きは切れがあり、スリーパンチも速く鋭い。だがその速さが攻撃のみにしか生かされない。
常に一定以上のリスクを背負ったままの打ち合いが続く。

4回、田中右から左フック、田部井をロープ際へ追って左フック、これが相打ち気味ながら一瞬速く決まり、田部井ダウン。
レフェリーが試合を止めました。

両者後先無しに打ち合った結果、強烈なノックアウトとなったわけですが、大阪のリングで存分に打ち合った
田部井の健闘は称えられても、ホープとして注目される田中の闘いぶりは、ちょっと無理、無茶過ぎるものに見えました。
なるほど素質は充分、攻撃力も新人ボクサーとしては相当なものがありますが、試合運びがどう、という以前の問題で、
目先の試合の勝ち負け以外の話、つまり「先」「上」への展望は何一つ見えてこない試合でした。ちょっと残念に思いました。
今後、試合を見ていく中で、この日の試合は例外的な苦戦だったのだ、という話が出来れば良いのですが。


================================================

そのほかの試合についても、簡単に。

丹羽賢史(グリーンツダ)は小坂遼(真正)に3-0判定負け。
ゆったりしたリズムで捌きたい丹羽を、意識的にテンポを上げて攻めた小坂が攻めきりました。

奥本貴之(グリーンツダ)は斎藤裕太(花形)に7回負傷判定勝ち。
村井貴裕(グリーンツダ)は大田朋徳(SFマキ)に5回終了TKO勝ち。
武藤通隆(勝輝)は松井謙太(三河)に3-0判定負け。

アマ出身の前田絃希(グリーンツダ)はデビュー戦。先日神戸の試合で岩下幸右とスパーしていた選手。
相手が見つからなかったらしく、タイの人(色白でした)との試合、62キロ契約。
立ち上がりから前田が自在に打ちまくり、左アッパーでダウン。2回も右を合わせ、次は右フックでKOでした。

松村智昭(グリーンツダ)は金山テス(陽光アダチ)に3回負傷判定負け。
中谷有利(グリーンツダ)はタイの人を初回早々、ババッと二度倒してKO勝ち。これで5勝(4KO)無敗。

中谷はスーパーフェザー級の新人王にエントリーしているのですが、エントリーが二名なので、
すでに西日本の決勝戦に出ることが決まっているようです。
ここまでの試合ぶりが派手なKO勝ちばかりなので、敬遠されたのかも知れません。
そのための調整試合だったのでしょうが、時間の無駄やとばかり「お片付け」を済ませました。

この辺の風情は、割と好ましく思いました。見るからに弱いのを相手に、無駄に見たり手控えたり、
それだけでは済まずに手を下げ、顔を振って挑発し、しまいには右手をグルグル回して喜んでいる手合いもいますが、
中谷はそういう無駄な弛緩を峻拒するような風でした。

まだ、彼のボクサーとしての全体像を語れるような試合を見てはいないので、彼の今後をどうこう言えませんが、
こういう、良い意味で尖った部分は、これからも大事にしてほしいな、と感じた次第です。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

加治木了太と坂晃典、一部二部で逆転KO競演 興行ラッシュの週末は激闘の連続(動画追加)

2015-04-04 23:35:52 | 関西ボクシング



ということで今日は天満橋のエルおおさかという会場で、一部二部興行を両方観戦してきました。
こういうことはたぶん今までやったことがないと思うんですが(あったかな?)、
双方の興行に「これは見ておきたい」カードがあり、見たい若手選手もいたもので、これも修行(?)やと思って、見てきました。

結果、見所たくさん、というのを通り越した、劇的な試合に出くわし、非常に満足しております。
というか、これは見てない人、損しましたねー、と言いたくなるような気分です(^^)
そういうことで、ざっと観戦記です。

================================================

一部は大鵬ジム主催興行。メインは日本スーパーフェザー級13位の加治木了太。
対するは元フェザー級ランカーの西岡斗輝矢、明石ジム。58.5キロ契約。

初回、加治木じりじり出て、重い右を叩く。西岡はフェザーの頃、やや華奢な印象だったのが、上の体重での試合で
意外に小さくは見えない。むしろ安定して、好調そう。左フックを一発ヒット。速い。

ラウンド中盤、打ち合いの後、西岡のワンツー、右が加治木をクリーンヒット、加治木ダウン。
加治木立ったが、けっこうダメージあるか、西岡が攻め込む。ロープ際で連打。
しかし正面から同じリズムで打ち続け、空回り。加治木が右当てて押し返す。

2回、打ち合い、加治木左フック。西岡右。スリリングな攻防。共に攻めるとはっきり防御が空くせいでもあるが。
しかし馬力にまさる加治木が打ち勝ち、右ショートで西岡がロープ際に飛ばされ、横倒しにダウン。
立った西岡だが加治木が右から左フックを決め、痛烈なダウン。レフェリー、カウント途中でストップ宣告。
西岡しばらく立てず、一時は担架が出るほど。のち、地力で立ちましたが。

加治木は試合後「(西岡は)巧かったです。良い勉強をさせてもらいました」と語っていました。
今日もメインイベンターとしての務めをしっかり果たした加治木、地力があってパンチがあって、
本人は不本意かもですが、スリルも提供してくれる貴重なランカーです。
希望通りに、金子大樹戦以来の、タイトル挑戦が実現してほしいものです。


セミファイナルは西脇一歩(大鵬)と岡島広和(ロマンサ雅)の8回戦。
西脇がジャブで岡島を止められず、懐に入れてしまうが、そこでアッパーが決まらず、クリンチの繰り返し。
西脇がヒットの差で3-0の判定を手にしましたが、いずれも小差で、苦戦でした。
もっと厳しく自分の距離を維持してほしいですし、インファイトがあまりに不得手なのも問題です。
ちょっと停滞感のある試合ぶりでした。



そろそろ、前座で新人王予選が見られる季節になってきました。
一部興行のお目当てはスーパーフライ級、風間ジムの平野拳生。
以前一度試合を見たとき、シャープな左の連打、足捌きなどに目を引かれ、また見たいなと思っていた選手です。
ここまで3戦3勝(1KO)、今日が4戦目。相手は渥美ジムの原和美、1戦1分、今日が2戦目。
新人王戦出場規定が改訂された関係か、こういう戦績の差があるカードが増えている印象です。

平野は初回から打ち込みにかかる闘い方。左ダブル、トリプルを交えて連打で攻める。
しかし前に見たときの、適切な足捌きが少し減って、攻撃に比重が掛かっている印象で、単発ながら反撃も受ける。

2回、その辺を気にしたか、コーナーから「動け」「遊べ」という声が再三飛ぶ。
それでもまだ、打ち気が勝つ感じだったが、徐々に足を使い出し、連打がヒット、右が効いて相手が少し止まる。
3回、右フックから内、外にアッパー、攻め立てたところでレフェリーストップ、という流れでした。


オープン戦3勝を経ての新人王予選に挑んだ平野、おそらく115ポンド級西軍代表の有力候補だと思います。
攻撃力は前よりも増している印象でした。
しかし序盤、ちょっと雑な試合運びが気になったのも確かです。
攻防のバランスに留意して、冷静に捌いてから連打を内外、上下に打ち分けるスタイルを磨いてほしいところです。

================================================

二部は大阪帝拳主催。
本日の白眉はこの二部セミ、京口竜人(大阪帝拳)vs坂晃典(仲里)でした。

新人王時代、辰吉2世と言われる強打と、一瞬の閃き、切れ味で名を売った京口。
その後不調な試合も見ましたが、最近は復調してきて、良い内容の試合をしているとのこと。
対する坂晃典は、闘志とタフネス、しっかり重心を落としてショートを打てる、クラシカルなファイター。

これはなかなかの好カード、と思って見に行ったわけですが、実際には「なかなか」どころではない、
大変な試合となりました。


初回、共にジャブを突き、前に。熾烈な「陣地」の取り合い。
「お前が下がれ」「嫌だ、お前が下がれ」という声が聞こえてくるかのよう。
この攻防、多彩さで京口がまさる。左ボディ、右アッパーを交えると、徐々に坂が京口を軸に回り始める。
坂は右クロスを外から、ショートを内に狙う。

この攻防のさなか、京口の右ストレートが見事に決まり、坂がダウン。
立ち上がった坂に京口追撃、右から左を決めるが、坂が粘り、打ち返し、クリンチ。
京口攻め立てるが少し大振り。京口のラウンド、10-8。坂カット、パンチによる。

2回、京口ボディ攻撃から右ヒット。左フックも。坂は耐えてボディで反撃。左右、共に決まる。
スピードとセンス、切れで京口、タフネスで坂という対比が鮮やかに見え始める。

京口、右のカウンターを決める。強烈に見えた一撃だが、坂右クロス返す。もつれて京口スリップダウン。
少し疲れか、ダメージか、ハイペースで攻める京口に不安の影。坂ワンツーで追う。坂が挽回したか。

3回、またジャブの応酬から打ち合い、坂が体力に任せ前に、京口がカウンターする展開。
京口がまた右をクリーンヒット、と見えた直後、坂の右クロスが、京口のアゴに、まともに入る。
京口膝から崩れダウン。
立ち上がるが、坂が猛攻、右が2発、3発と立て続けに決まり、京口が倒れると同時に、レフェリーが試合を止めました。

あまりに劇的な逆転TKOでした。一部の加治木も相当なものでしたが、これはもう、往年の高橋ナオトの試合もかくや、
というと大げさかも知れませんが、そんな名前を想起させられるような、短くも激しい、壮絶な試合でした。

どの試合でも、燃えたぎる闘志を十全に表現し、観客にその熱を確かに伝える、本物のファイター、坂晃典。
時に脆さを見せつつ、抜群の素質と切れ味を発揮する、蠱惑的な魅力の持ち主、京口竜人。
今日の試合は、そんな二人の若手が、その魅力を存分に発揮した一戦でした。

勝ち負けを抜きに、なんて、簡単に言えないことは承知ですが、傍目に見ているファンの勝手として、
それでも今はただ、勝った坂、敗れた京口の両者を称え、拍手を送りたい気分です。
ボクシングが持つ、ある種類の魅力を、端的に見せてくれた、見事な闘いぶりだったと思います。



で、この後のメインは関西軽量級の実力者、こちらも熱い試合でお馴染み、李明浩の試合。
相手はダウット・マノップカーンチャーン、という、か細いタイ人でした。

李がリズムを刻み、丁寧にジャブを突き、アッパーからボディを叩くと、初回早々ダウン。
二度目は攻められて、下向いてしまい自ら沈む。でも立つ。
2回、少し打ち返したが、李がボディから上に右。三度目のダウンでKO。

最近、こういうあからさまなの、珍しいんやけどなぁ、という感じのタイ人でした。
どこも不景気で、飛行機代も高いから、タイ人より日本人対決が増えている、というのがここ数年の
良い(?)傾向かなと勝手に思っていたんですが...何か、懐かしささえ覚える、哀愁漂う負け方で、
さっきの試合とえらい違いやなぁ、これホンマに同じスポーツかいな...という感じ。
李も、試合後のインタビューで、ちょっと困った様子でした。どないもこないも、ですね。


セミセミでは見高文太(大阪帝拳)と河村真吾(堺東ミツキ)の、13年全日本新人王対決。
ただ、残念ながら噛み合わず、バッティングで見高が負傷、3回で続行不可能、ドローでした。


================================================

そんなことでこの週末、興行ラッシュの大阪ですが、明日はまた府立地下で一部二部があり、
加えて住吉でも六島ジム主催興行があります。なんともかとも。

私は明日、昼間は見に行けないのですが、夜(というか、夕方)の部には行けそうです。
メインがOPBFバンタム級戦で、前座にも注目選手がいるので、何とか見に行きたいと思っています。
中谷正義の試合も観たいですが、まあこれは後日、スカイAで見てから、何か書くということで...。


=================================================

京口vs坂、動画ありましたので紹介させていただきます。









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

話題の新星初黒星 上久保タケル、強打の油田京士に捉えられ初回ストップ負け

2015-04-03 22:48:57 | 関西ボクシング



毎年恒例の年末商戦?のあおりを受け、この辺りから賑やかになってくる日本のボクシング界ですが、
この4月から5月上旬にかけては、見たい試合が山ほどあり、本当に大変です。

タイトルマッチ関連だけでもかなり数があるので、TVで生中継や、結果知らずに見られる試合はTVで済ませ、
そうでない試合を会場で見る、という基本方針を立てていますが、それでも相当な馬鹿をやらねばなりません。

そして今日から、金土日の三日間、大阪ではなんと六興行が行われます。
今日が府立地下、明日が大阪のエルおおさかという会場で二部興行、明後日は府立地下で二部興行、
それと平行して住吉でも試合があります。

本当に、やるとなったらいっぺんですね。もうちょっと分散出来ませんかねぇ。
色々事情があるのか、それとも何も無しでコレなのかは知りませんが。

そんなことで今日は難波に用もあったので、上手い具合に観戦出来ました。
観戦ラッシュの今月は、またおいおいその度に観戦記というか感想を書いていきますが、
その皮切りに、ちょっとしたドラマを見てしまった感じです。


================================================

井岡一翔や宮崎亮、そして中谷、石田らが所属する「井岡ジム」と「井岡弘樹ジム」が分割したあと、
我らが「会長」こと井岡弘樹会長が一押しで売り出している?若手選手がいる、という話は聞いていました。

去年の2月にデビュー以来、新人王戦には出ずに、短期間で試合を重ね、昨年大晦日までに8戦8勝5KO。
若き日の井岡弘樹にも似た路線で、連勝街道を突き進む彼、上久保タケルは、これまた若き日の会長と同じく、
マルコスと呼ばれる外国人のトレーナーに指導されていて、その様子が関西のTV番組でも紹介されていました。

しかし試合を見るのは今回が初めて。初8回戦で、相手が日本11位の油田京士(エディ)となれば、
彼が井岡弘樹の再来なのかどうかを見極める試金石としては十分過ぎるほどです。


試合が始まると、スラリとした体型の上久保、やや左を下げた構えから、積極的にジャブを出し、右へと繋げます。
スピード、切れ味はなるほど抜群で、いきなりコンビネーションも繰り出し、攻勢。場内を沸かせます。

しかしまだ試合が始まったばかりで、当然打たれも疲れもしておらず、力を削られてもいない、強打の油田相手に、
こんな自信満々に立ち上がり、仕掛け続けるのはいかがなものか...と思った直後、
油田が攻めてくる上久保に右を強打。上久保がダウンしました。

何とか立った上久保だが、見るからに効いている。油田の追撃を受け、懸命に返すが打たれ、前にのめり油田ともつれる。
両者がキャンバスに落ちたあと、レフェリーはダメージで倒れたとみて上久保に二度目のダウン宣告。実に正当な裁定。

もう止めて良いくらいかと思ったが上久保立ち、再開。油田が攻め、浅いヒットが数発、さらに追撃。
ここで上久保が数回ぐらつき、止めを刺されてはいないものの、防御の態勢が取れないのを見て、レフェリーがストップ。
ランカー油田がその強打を発揮し、新鋭を撃破しました。


もし上久保がこの試合に勝っていれば、典型的な新旧交代劇のひとつとして記憶された試合だったでしょう。
しかし油田京士は、日本王者木村悠(明日試合ですね)に挑んで敗れたのち、若き新鋭相手に意地を見せた形になりました。
そして、井岡弘樹の再来のような若きボクサーに、エディ・タウンゼント氏の名を冠し、あの村田英次郎が率いるジムの選手が
初黒星をつけるという、ドラマ性を秘めた勝利でもあったわけです。


井岡弘樹会長の期待を背負った新星、上久保タケルにとっては、試練の一戦、初黒星となりました。
その闘いはなるほど、短い試合の中でも、普通の若手とは違うスピードとセンスを感じさせるものでした。
ジャブもフットワークも速く、踏み込みも鋭く深く、アグレッシブ。順調に成長すれば、強くなるというだけでなく
誰の目にも魅力的な、人気の出るボクサーになるだろう、と見えました。

しかし、上記したとおり、強打が売りの現役ランカー、油田相手に、初回早々から探りもせず、見もせずに
最初から相手を圧倒しにかかるような闘いぶりは、あまりに無思慮、無分別なものに見えました。
自分の速さ、勘の良さを本当に信じるならば、その良さを最初から振りかざすのではなく、本当に必要なときに
それを発揮する試合を展開するべきでした。

今回の試合は極めて厳しい結果となりましたが、彼には優れた素質が見えたのも事実です。
この敗戦を教訓として、再起してきてほしい、さらなる成長への糧としてほしいと思います。
確かまだ18歳だか19歳だかという話でした。まだまだ時間はたっぷり残されているはずです。


================================================

今日はメインが女子の試合。OPBFのスーパーフライ級王座決定戦でした。
井岡弘樹ジムの「ぬきてるみ」という選手がファイタースタイルで、フュチュールジムの小沢瑶生がボクサータイプ。
序盤はぬきが優勢も、徐々に展開が変わっていき、小沢が逆転で勝利しました。

セミは大沢宏晋がインドネシア暫定王者アリエフ・ブレイダーを9回KO。
若干攻めあぐみましたがボディから攻め、最後は右ストレートで沈めました。

久高寛之は、久留米櫛間ジムのサウスポー、中山佳祐を3回と6回に右カウンターでダウンさせ判定勝ち。
6勝1敗1分の中山、左を好打したものの、要所でカウンターを食い、敗れました。
久高はサウスポー相手で、若くて体格のいい相手にやや苦戦の印象も、右の威力はさすがでした。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする