さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

高山勝成に感謝と祝福を!

2013-04-03 19:02:41 | 高山勝成

試合の動画を見ることが出来ました。こちらです。

見た限り、1~2回は王者、マリオ・ロドリゲスに振って、3回はダウンさせられて取られたとして、
それ以降、11回がやや微妙なれど、4~10回、そして最終回と、高山が抑えていたように見ました。

ロドリゲスの右はダックで、返しの左はサイドへ出て外し、左ボディをカウンター気味に打ち、
それ以外は高山勝成のフットワークと、速いジャブ、右、ボディ連打が支配した、という展開でした。

ダウンがあった直後の4回から、やや緩み?が見えたロドリゲスに対し、高山が逆にペースアップ。
5回、右ストレートがヒットしてから、高山がさらに攻め、6回からはロドリゲスのミスばかりが目立つ。
8回にはロドリゲスの「カベサッソ」(頭突き)を喰らって出血するも、めげずに攻め立てる。
終盤は高山の右が入って、ロドリゲスのバランスが、わずかに崩れる場面も散見されました。

ロドリゲスから見れば、いずれこのペースも落ち、足も止まるだろうと踏んでいたんでしょうが、
とうとう失速無く試合終了。
私は115-112、高山のクリアな勝利と見ました。

それにしても、高山が傑出した手と足の速さ、スタミナと闘志の持ち主であると知ってはいても、
敵地メキシコの、それもローカルなロケーションにおいて、自らのボクシングを貫き通し、
見事な勝利を掴んだことには、率直に言って脱帽させられました。
こんなこと言っちゃなんですが、僅差の展開で、大まかな感じの地元判定を喰らって
またも涙を飲む可能性の方が高いのだろう、と思っていましたので...。

この試合の公式採点については、やれJBCのIBF承認加盟(どっちやねん、て話ですが)による
ご祝儀なのではないか、というような意見もあるようですが、
少なくとも普通に見て、高山の手数、ヒット数の優勢によるクリアな勝利であることは、
試合映像を見て確認出来たように思います。
数字の大小は置いて、勝って然るべき選手が勝ったに過ぎない。そういう理解で良い試合でした。


高山勝成の今後については、まだ確定的なことは聞こえてきませんけど、この試合を見た後では、
JBCとの問題がどうあれ、もはやそんなことはどうでもいいことのようにさえ思えます。
大阪の下町から出た、小柄な童顔のボクサーが、長年に渡り不遇に耐え、海外のジムやリングを渡り歩き、
その果てに掴んだ、傷だらけの栄光の輝きの前には、どのようなゴタゴタも無意味な話でしかありません。

前王者ヌコナシティ・ジョイを筆頭に、強敵との闘いが待っているであろう今後、
高山勝成には苦難の道が待っているのかも知れませんが、彼は自らのボクシングを信じ、
これからも変わることなく、自らの誇りを満たすための、真の栄冠を求めて闘い続けることでしょう。

もちろん、歓喜の勝利があれば、悲痛な敗北もあるかもしれません。
しかし、私たちがボクサーに、チャンピオンたる者に求める、真の栄光を求める姿勢を、
高山勝成が見せ続けてくれたことに、変わらぬ感謝を送りたいと思います。

そして、今回の勝利には、心からの祝福を。高山勝成、おめでとう!

コメント (2)
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偉大なる挑戦ふたつ

2013-04-02 19:35:25 | 高山勝成

先週末は海外で二人の日本人ボクサーが世界に挑みました。
共に、無冠時代から、数え切れないくらい、直に試合を見ている選手です。
同一興行で試合をしたことも、何度もあったと思います。


石田順裕は昨日、WOWOWでも放送されたとおり、現在ミドル級において、
あのセルヒオ・マルチネスよりも強いのでは、と言われるWBA王者、
ゲンナディ・ゴロフキンに3回、右クロス一発で倒されました。

試合内容については、結局、あれしかやりようがなかったのでは、という印象です。
離れて足を使っていれば、と言うには、ゴロフキンの防御動作と攻撃のつなぎが実にスムースで、
あれを離れて捌こうとしても、きっと一方的に攻められていただろう、と。

石田が戦前のインタビューから「足を止めてリング中央で闘う」と語っていましたが、
直に相対する前から、そういう判断をしていた、ということなのかもしれません。

打ち合いをしつつ、ストレートパンチで突き放して、相手を下がらせることが出来れば
一番良かったのでしょうが、やはりそれより先に、ゴロフキンの強打に捉えられてしまいました。
つまるところ、石田は強打の王者を相手に、白黒はっきりした「勝負」をしたのだ、と思います。

クレイジー・キム、ハビエル・ママニ、マルコ・アベンダーニョらとの闘いを経て、
アルバレス兄、カークランド、ポール・ウィリアムスにディミトリー・ピログらとの強豪相手に
堂々と伍して闘ってきた石田は、日本から出た重量級ボクサーとして、傑出した一人と言えるでしょう。

その石田が、あの内容の末に序盤で倒されたことに、私はただただ驚愕しています。
石田の闘いぶりをどうという気には全くなれません。
彼のキャリアは、この試合で終わるのかもしれませんが、後に振り返れば、この相手と闘ったこと自体、
ひとつの誉れとなるのでは、とさえ思う、そんな試合でした。



そして、高山勝成、念願のIBF王座奪取について。

試合映像を見ていないので、あくまで雑感ですが、これほど嬉しい勝利の報はありません。

若き日から、一発の強打に欠けるものの、攻防一体のスピーディーなボクシングを志向し、
その自らのボクシングに強い誇りを持って闘っている彼の試合を、これまた数え切れないほど
何度も直に見てきました。

あらゆる面で、恵まれた環境になく、不当に低く評されることも多かった彼が、
敵地でダウンを喫してもなお、それを挽回して勝利した、という話だけで、十分に感動的です。
きっと、苦しい展開の中でも、懸命に動いては打ち、打っては動き、を繰り返して、
最後まで力を振り絞って闘い抜いたのでしょうね。何となく、目に浮かびます。

とにかく、試合映像を早く見てみたいものです。
彼が味わってきた苦難、困難の全てを、自らの拳で勝利を掴むことによって乗り越えた、
その姿を、歓喜の瞬間を見てみたい。その思いのみが、今、私の心を占めています。


コメント (3)
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