さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

偉大なる挑戦ふたつ

2013-04-02 19:35:25 | 高山勝成

先週末は海外で二人の日本人ボクサーが世界に挑みました。
共に、無冠時代から、数え切れないくらい、直に試合を見ている選手です。
同一興行で試合をしたことも、何度もあったと思います。


石田順裕は昨日、WOWOWでも放送されたとおり、現在ミドル級において、
あのセルヒオ・マルチネスよりも強いのでは、と言われるWBA王者、
ゲンナディ・ゴロフキンに3回、右クロス一発で倒されました。

試合内容については、結局、あれしかやりようがなかったのでは、という印象です。
離れて足を使っていれば、と言うには、ゴロフキンの防御動作と攻撃のつなぎが実にスムースで、
あれを離れて捌こうとしても、きっと一方的に攻められていただろう、と。

石田が戦前のインタビューから「足を止めてリング中央で闘う」と語っていましたが、
直に相対する前から、そういう判断をしていた、ということなのかもしれません。

打ち合いをしつつ、ストレートパンチで突き放して、相手を下がらせることが出来れば
一番良かったのでしょうが、やはりそれより先に、ゴロフキンの強打に捉えられてしまいました。
つまるところ、石田は強打の王者を相手に、白黒はっきりした「勝負」をしたのだ、と思います。

クレイジー・キム、ハビエル・ママニ、マルコ・アベンダーニョらとの闘いを経て、
アルバレス兄、カークランド、ポール・ウィリアムスにディミトリー・ピログらとの強豪相手に
堂々と伍して闘ってきた石田は、日本から出た重量級ボクサーとして、傑出した一人と言えるでしょう。

その石田が、あの内容の末に序盤で倒されたことに、私はただただ驚愕しています。
石田の闘いぶりをどうという気には全くなれません。
彼のキャリアは、この試合で終わるのかもしれませんが、後に振り返れば、この相手と闘ったこと自体、
ひとつの誉れとなるのでは、とさえ思う、そんな試合でした。



そして、高山勝成、念願のIBF王座奪取について。

試合映像を見ていないので、あくまで雑感ですが、これほど嬉しい勝利の報はありません。

若き日から、一発の強打に欠けるものの、攻防一体のスピーディーなボクシングを志向し、
その自らのボクシングに強い誇りを持って闘っている彼の試合を、これまた数え切れないほど
何度も直に見てきました。

あらゆる面で、恵まれた環境になく、不当に低く評されることも多かった彼が、
敵地でダウンを喫してもなお、それを挽回して勝利した、という話だけで、十分に感動的です。
きっと、苦しい展開の中でも、懸命に動いては打ち、打っては動き、を繰り返して、
最後まで力を振り絞って闘い抜いたのでしょうね。何となく、目に浮かびます。

とにかく、試合映像を早く見てみたいものです。
彼が味わってきた苦難、困難の全てを、自らの拳で勝利を掴むことによって乗り越えた、
その姿を、歓喜の瞬間を見てみたい。その思いのみが、今、私の心を占めています。


コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする