試合の動画を見ることが出来ました。こちらです。
見た限り、1~2回は王者、マリオ・ロドリゲスに振って、3回はダウンさせられて取られたとして、
それ以降、11回がやや微妙なれど、4~10回、そして最終回と、高山が抑えていたように見ました。
ロドリゲスの右はダックで、返しの左はサイドへ出て外し、左ボディをカウンター気味に打ち、
それ以外は高山勝成のフットワークと、速いジャブ、右、ボディ連打が支配した、という展開でした。
ダウンがあった直後の4回から、やや緩み?が見えたロドリゲスに対し、高山が逆にペースアップ。
5回、右ストレートがヒットしてから、高山がさらに攻め、6回からはロドリゲスのミスばかりが目立つ。
8回にはロドリゲスの「カベサッソ」(頭突き)を喰らって出血するも、めげずに攻め立てる。
終盤は高山の右が入って、ロドリゲスのバランスが、わずかに崩れる場面も散見されました。
ロドリゲスから見れば、いずれこのペースも落ち、足も止まるだろうと踏んでいたんでしょうが、
とうとう失速無く試合終了。
私は115-112、高山のクリアな勝利と見ました。
それにしても、高山が傑出した手と足の速さ、スタミナと闘志の持ち主であると知ってはいても、
敵地メキシコの、それもローカルなロケーションにおいて、自らのボクシングを貫き通し、
見事な勝利を掴んだことには、率直に言って脱帽させられました。
こんなこと言っちゃなんですが、僅差の展開で、大まかな感じの地元判定を喰らって
またも涙を飲む可能性の方が高いのだろう、と思っていましたので...。
この試合の公式採点については、やれJBCのIBF承認加盟(どっちやねん、て話ですが)による
ご祝儀なのではないか、というような意見もあるようですが、
少なくとも普通に見て、高山の手数、ヒット数の優勢によるクリアな勝利であることは、
試合映像を見て確認出来たように思います。
数字の大小は置いて、勝って然るべき選手が勝ったに過ぎない。そういう理解で良い試合でした。
高山勝成の今後については、まだ確定的なことは聞こえてきませんけど、この試合を見た後では、
JBCとの問題がどうあれ、もはやそんなことはどうでもいいことのようにさえ思えます。
大阪の下町から出た、小柄な童顔のボクサーが、長年に渡り不遇に耐え、海外のジムやリングを渡り歩き、
その果てに掴んだ、傷だらけの栄光の輝きの前には、どのようなゴタゴタも無意味な話でしかありません。
前王者ヌコナシティ・ジョイを筆頭に、強敵との闘いが待っているであろう今後、
高山勝成には苦難の道が待っているのかも知れませんが、彼は自らのボクシングを信じ、
これからも変わることなく、自らの誇りを満たすための、真の栄冠を求めて闘い続けることでしょう。
もちろん、歓喜の勝利があれば、悲痛な敗北もあるかもしれません。
しかし、私たちがボクサーに、チャンピオンたる者に求める、真の栄光を求める姿勢を、
高山勝成が見せ続けてくれたことに、変わらぬ感謝を送りたいと思います。
そして、今回の勝利には、心からの祝福を。高山勝成、おめでとう!