先週末は海外で二人の日本人ボクサーが世界に挑みました。
共に、無冠時代から、数え切れないくらい、直に試合を見ている選手です。
同一興行で試合をしたことも、何度もあったと思います。
石田順裕は昨日、WOWOWでも放送されたとおり、現在ミドル級において、
あのセルヒオ・マルチネスよりも強いのでは、と言われるWBA王者、
ゲンナディ・ゴロフキンに3回、右クロス一発で倒されました。
試合内容については、結局、あれしかやりようがなかったのでは、という印象です。
離れて足を使っていれば、と言うには、ゴロフキンの防御動作と攻撃のつなぎが実にスムースで、
あれを離れて捌こうとしても、きっと一方的に攻められていただろう、と。
石田が戦前のインタビューから「足を止めてリング中央で闘う」と語っていましたが、
直に相対する前から、そういう判断をしていた、ということなのかもしれません。
打ち合いをしつつ、ストレートパンチで突き放して、相手を下がらせることが出来れば
一番良かったのでしょうが、やはりそれより先に、ゴロフキンの強打に捉えられてしまいました。
つまるところ、石田は強打の王者を相手に、白黒はっきりした「勝負」をしたのだ、と思います。
クレイジー・キム、ハビエル・ママニ、マルコ・アベンダーニョらとの闘いを経て、
アルバレス兄、カークランド、ポール・ウィリアムスにディミトリー・ピログらとの強豪相手に
堂々と伍して闘ってきた石田は、日本から出た重量級ボクサーとして、傑出した一人と言えるでしょう。
その石田が、あの内容の末に序盤で倒されたことに、私はただただ驚愕しています。
石田の闘いぶりをどうという気には全くなれません。
彼のキャリアは、この試合で終わるのかもしれませんが、後に振り返れば、この相手と闘ったこと自体、
ひとつの誉れとなるのでは、とさえ思う、そんな試合でした。
そして、高山勝成、念願のIBF王座奪取について。
試合映像を見ていないので、あくまで雑感ですが、これほど嬉しい勝利の報はありません。
若き日から、一発の強打に欠けるものの、攻防一体のスピーディーなボクシングを志向し、
その自らのボクシングに強い誇りを持って闘っている彼の試合を、これまた数え切れないほど
何度も直に見てきました。
あらゆる面で、恵まれた環境になく、不当に低く評されることも多かった彼が、
敵地でダウンを喫してもなお、それを挽回して勝利した、という話だけで、十分に感動的です。
きっと、苦しい展開の中でも、懸命に動いては打ち、打っては動き、を繰り返して、
最後まで力を振り絞って闘い抜いたのでしょうね。何となく、目に浮かびます。
とにかく、試合映像を早く見てみたいものです。
彼が味わってきた苦難、困難の全てを、自らの拳で勝利を掴むことによって乗り越えた、
その姿を、歓喜の瞬間を見てみたい。その思いのみが、今、私の心を占めています。
高山の試合は見てないので何とも言えませんが、ローマンゴンサレス戦でもそうですが、強打に怯まず、絶対諦めず、自分のボクシングを貫こうとする一生懸命ボクシングが実を結んだのでしょうね、本当嬉しいです。
石田戦はただただ感動しました、何かわかりませんが。それは石田の生き様、ボクシング過程からくるものだと思います。石田のキャリアを振り返ったら、最近の日本選手ではありえないようなキャリアで凄いのですが、実際石田本人としては自分が望んだ事ではなく、しょうが無かった、これしか無かった部分が大きいんじゃないかと思います。日本で戦いたかったとかあるんじゃないかとか思ったら、今の日本人チャンピオンの一部の選手達とを考えたら、本当に可哀想に思います。今回の戦い方は、そのキャリアが生んだ戦略だと思います、あんな超の付く強打のチャンピオンに逃げずに真っ向勝負を挑んだ石田は本当に凄いです。観客のお客さん達も満足だったんじゃないですかね。石田にはありがとう気持ちでいっぱいです。
こういう日本人選手がいる中、今からの日本人世界チャンピオンや挑戦する選手たちは、どうなるのかなぁと思ってしまいます。恵まれた環境やジムで左右されてしまうこのスポーツは、本当のスポーツとは言い難い物に感じます。石田の無残な敗戦で更に強く思いました。
最後に一言、長谷川穂積が本当に本気なのであるならば、是非とも海を渡って貰いたいです。
とにかくゴロフキンが強かった。常に7割程度のパンチで大振りしないから連打が効き、バランスも崩れない。それなのに一発一発が硬そうでしたね。何というか硬いゲンコツが何発も飛んでくる感じでした。ジャブにしてもそこらの日本ランカーの右ストレート位の力があったと思います。ジャブの名手の石田さんでも貫通力の差で負けてましたね。
しかし忘れちゃいけないのは石田さんの良いワンツーも何発か入っていたこと。相手は強かったですが石田さんがもう少しミドル級としてのパワーを持っていればと思わせてくれました。これまで同様、試合になっていたと思います。
日本では唯一世界と渡り合える実力がありながら世界になかなかチャンスがない中、トライし続けた姿勢に拍手をぜひ送りたいです。
他の色んなスポーツにせよ、やはり選手本人の才能の有無と、それが生かされる環境の釣り合いというのは、なかなか取れないものですね。ただ、日本でそれが得られないなら、海外で、ことに米国で勝ち上がって、実力に相応しい環境や対価を得よう、というのは、全世界のボクサーにとって普通の、当たり前のことであって、自国に(そこそこの)良い環境がある方が珍しいのでしょう。石田の海外進出が「仕方がなかった」ものだというのは一面の真実です。しかし、厳しい闘いに挑む決意、闘志をもって、米国のビッグファイトが行われるリングと、日本のリングが実は「地続き」なのだということを示した石田のキャリアは、敗れてなお千金の価値があると思います。その意志や闘志が、例えば長谷川穂積個人に無いとは思いませんが、周囲の状況を無視して行動出来ない現実、そのシステムにこそ問題があるのでしょう。
>アラサーファンさん
ゴロフキンの強さは、仰るとおり、強打と、それを支える心技体のレベルの高さですね。石田も試合後、驚くほどの強さだったとコメントしているようですが、あの相手に、逃げも誤魔化しもない真っ向勝負を挑んだこともまた、見ているこちらからすれば驚嘆ものでした。
石田のミドル級での実力は、パワーという意味では多少不足があるかもしれませんね。しかしよりよく動けるコンディションを作るという面では、良い面もあると思います。