さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

一歩目から「詰め」て、掴んだ勝機を手放さず 坂晃典、6回TKO勝ちで二階級制覇

2019-12-09 17:02:06 | 関東ボクシング



ということで、充実の(狂気の?)週末土日東西観戦旅行で見た試合、順番に感想書いていきます。
なるべく簡単に、簡潔に...と心がけて。


土曜日はホールで、スーパーフェザー級、日本とWBOアジアパシフィック二本立て、でした。
個人的には日本の方がメインですが、順番的にいうとセミ。坂晃典が6回TKOで王座奪取なりました。


初回早々、坂晃典が間を詰めて踏み込み、末吉大の間合いを潰した時点で、この試合は坂に勝機あり、という期待がぐっと膨らみ、坂がその流れを手放さなかった故の勝利、と見ました。

何しろ左の多彩さ、伸び、精度に秀でた末吉に、思うさま左を出せる時間と空間を与えていては、坂の苦戦は免れない。
そこをどうするか、と考えれば、普通に「間合いを詰める」となるでしょう。
とはいえ、詰めたはいいが、それを続けられなければ、勝ちという結果に繋げることはできない。

しかし坂は、最初から最後までそれを続けました。
この試合を闘うにあたり、肝心の最初「一歩目」から間を詰めること。
間合いが空きそうになったら左ジャブを突き、また詰めて、振り幅の小さいパンチを打てる間合いにすぐ戻す。
末吉の伸びるパンチを可能な限り封じ、その展開を維持するための、心の構え、集中力を引っさげてリングに上がり、その通りに闘い抜いた。
それが何よりも、坂晃典の勝因だった。そんな試合でした。







この試合を、末吉の不調、と見る意見もあるようですが、私はそれについては、疑問を持ちます。
試合を直に見て、末吉がそう見えたのも、結局は上記のとおり、坂の詰め、踏み込みと、それにより作った有利な展開を手放さなかったことがまず第一、だと見ます。

見事な左の使い手として知られる末吉故に、それを封じられたら、その欠落は大きなものでもある。
そこに坂の勝機があるだろう、と思っていましたが、最初の最初、本当の一歩目の瞬間から、6回に倒すまで、緊迫した間合いに踏み込み、ほとんどそれを緩めることがなかった坂の闘いぶりは、こちらの期待を遙かに上回るものでした。

また、仮に、末吉に不調な部分があったとして、坂にもう少し、緩みがあれば、きっとそこから戦局を切り拓いていたでしょう。
多彩で切れて、数も出て、見た目にも鮮やかな数々の左で。
しかし今回は、それがかなわなかった。それが何よりも先に語られるべき試合だった、と見ました。


ということで、手痛いKO負けから再起二戦目の坂、見事な戴冠劇でした。
ジョー・ノイナイ戦も、映像で見る限り、対サウスポー戦でおかしなことをしていたわけではなく、良い攻防をしていましたし、力ある者同士の勝負で先に打たれた方が負けた、という、普通の力勝負でしたから、ダメージ云々を抜いて言えば、坂の評価が大きく下がる、という試合ではなかった、と思ってはいました。
しかし挑む相手があの末吉大...左の名手というに留まらない「異能」の持ち主でしたから、これはこれで難しい、と思っていました。
しかし、終わってみれば、期待以上に見事な闘いぶりでの勝利、ただただ拍手あるのみ、です。






しかし、気づけばもう28歳、いろいろと「岐路」にも立つ頃でしょうが、この勝利によって、彼はさらなる勝負への道を歩み始めることになります。
とりあえず、次は渡邊卓也戦ですか。所属ジムが自主興行をしない坂、所属ジムが休会?でしたっけ、何しろ大変なことになっている渡邊、このカードがどこに「置かれる」のかも、ちょっと気になりますね...。


=====================


順番で行けばメインのジョー・ノイナイvs尾川堅一は、坂勝利ですっかり満足したもので、のんびり見ていたのですが、なんかいろいろ残念な気持ちになる試合でした。

お互いアタマが当たり、ノイナイに三度、尾川に一度、ドクターチェックがあり、5回負傷判定で打ち切り。
どっちにも感心しませんでしたが、尾川についていえば、右左関係なく、相手が来ようが来るまいがアタマの位置を考えず、やみくもに強振ばかり。
そりゃ、こういうことも起こるやろう...と。

挙げ句、3度も医者呼びつける事態でありながら、減点の一つもなし。
客席から、それをしつこく詰る声が飛んでいましたが、言い方はともかく、そら言いとうもなるわ、と思った次第。

見ていて良い試合とはとても言えませんでしたが、減点がないことを受け容れるなら、尾川か?と思ったら、判定はドロー。
こういうのを「せめてもの良心」とでも言えばいいんですかね。答えは人ぞれぞれ、でしょうが...。


=====================


この日のホールは、開場前から階段に入場待ちの行列がけっこう長く出来ていました。
やっぱり、今日くらい「ホンマ」の満員にならんと嘘やな、と思って、嬉しい気持ちになりましたが、出足の良さのわりには、終わってみればちょこちょこ空席もあり。
「それ以外」への訴求が不足しているのかな、という、まあいつも通りの感じ、その範囲内に収まった、というところ。
もちろん普通よりは盛況だった、それも確かなんですが。

アンダーは全部KOでしたが、内容はそれぞれに良くも悪くもあり。選手の皆さんはそれぞれ全力で、持ち味出してたのですが。
進行がけっこう早く、VTR流したりと、それなりに工夫もありましたが、やはり難しいですね。
峯田光のKOは見事でした。相手どうというのは、試合数からいっても、今は言わずにおきます。来年以降に期待ですね。

そういえば帝拳ジムは、ユース戦とかトーナメントとかに選手出さないんですかね。
若手の内は、ああいうのも悪くない、という面があるのは事実ですんで、是非考慮していただきたいものですが。



※写真提供は「ミラーレス機とタブレットと」管理人さんです。
いつもありがとうございます。



コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 充実した週末でした(笑) | トップ | 体力強化が「心」も支えた ... »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (アラフォーファン)
2019-12-09 17:49:46
末吉さんのバランスは悪かったですがそれは坂君が、きちんと末吉さんの左対策をして、間を詰めたから、ですね。あの頭をジグザグに動かして、左を出しにくくし、自分の最短距離を通る左、コンパクトな連打を出す展開を作った点は素晴らしい。下馬評では末吉さんがかなり優位な見方でしたが、それは坂君をみくびり過ぎ、それに末吉さんは左良いけどそんなに強いかと思ってました。スウェーを多用し過ぎて伸びてくるパンチに対処出来ない、接近戦ダメ。坂君にも充分勝機あると見てましたがその通り、いやそれ以上の結果を導いてくれて素晴らしいです。
お疲れさまです。 (元おっさんボクサー)
2019-12-09 20:22:15

狂気乱舞 東西観戦ツアー お疲れさまでした。

尽いえる事のない
ボクシングへの愛情 ただただ感服いたします候。

今週末14日の
ドローカル岸和田の興行は観戦されますでしょうか?
私は見に行きます。
可能でしたら
共に観戦していただけましたら幸いです。

コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2019-12-10 19:28:21
>アラフォーファンさん

仰るとおり、最初の一歩目、肝心なとこですが、そこから最後までずっと、しっかり詰めてました。出鼻の大事さを弁えて闘った坂と、そうでなかった末吉、という対比が、この試合の内実として、一番先に語られるべきだと思います。末吉は左が良すぎて、それ故に色々問題もある、とは思っていました。ただ、坂にもっと隙があれば、緩みがあれば、そこから糸口を見つけ、勝機を切り拓く力がある、問題はそれをどの程度封じ、押さえられるかだと。結果、坂はそれをほぼ完璧にやり遂げましたね。


>元おっさんボクサーさん

単なる馬鹿とも言いますが(笑)過分なお言葉、恐縮です。なんだかんだと楽しい観戦旅行でした。
14日は、日程見るとアンダー含め「お、この選手見たいなあ」と思う名前が散見されるのですが、残念ながら動かせない予定が入っていまして、観戦出来ません。お誘いありがとうございます。またいずれか、機会あらば。


コメントを投稿

関東ボクシング」カテゴリの最新記事