さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

レベルの高さ故、強敵相手でないと映えない 西田凌佑、ソンセンに大差勝利

2023-04-03 06:42:32 | 関西ボクシング




土曜日の配信観戦、感想続きです。
大阪のメインは、WBOアジアパシフィック王者という肩書きよりも、大森将平、比嘉大吾を破った星が光る長身サウスポー、西田凌佑が登場。
タイのソンセン・ポーヤムに大差の判定勝ち。5回にはスリップ気味ながらダウンをスコアしていて、13点差で三者が揃いました。


右リードから左、右返し、上下にコンビネーションを決め続け、相手の反撃も数える程度しか食わないところに関しては、非の打ち所なし。
打たせないこと大事、という観点でいけば、まさにお手本のようで、浪速のシャクール・スティーブンソンと呼ぶのは大袈裟かもしれませんが、方向性は同じかなと。

ただし攻撃の威力、決定打については不足あり。
これほどワンサイドなのだから倒してほしい、とは、そういうタイプではないとわかっていても、やはり思ってしまう。
ソンセンは歳も若いし、簡単に倒れる選手ではないが、これほど数多くのヒットがあるのだから、と。


しかし、簡単には倒れないが、さりとて勝敗を逆に出来るような力量がないのも事実で、西田凌佑の相手としては、一番映えない試合になってしまう相手選びだった、問題点はそこにもあると思います。
少ない試合数で強敵と多く闘ってきた選手で、大森戦や比嘉戦などは、見ていて退屈に感じることなど無かったわけですから、やはりそういう相手と組むべきで、そうすればもっと見映えがするし、緊迫の度合いが高い試合にもなるでしょう。

それこそ、例の賞金トーナメントに出れば、彼の実力が、より良い形で発揮され、多くに見知られることになろう、と思うのですが、現実にはそういう路線にはならなさそうです。
さりとて同じ関西の枠内で、石田匠戦などがあるかというと、それもないでしょうし。
ABEMA配信のカメダ興行に出て、最初の試合はどうにも、上手く行かなかった...というか、上手く見せられなかったなあ、という印象でした。


あと、試合順も、坂晃典、原優奈戦の前にしたほうが良かったでしょうね。
事前に、客層というか、どの試合、どの選手の応援団が多いか少ないかを読み切れない場合もあるでしょうけど、今回の場合はカードを比較すれば、容易に想像出来たことだった、と思います。



中島玲は加藤寿を上下のコンビでじわじわと追い込んで攻め上げ、9回TKO勝ち。
見た感じからしても意外な、プロ転向後初のKO勝ちでした。
基本、力入れて打ち込むのでなく、当てて動いて外すことも重視している、ということでしょうが、好機には迫力のある攻めが求められるでしょう。
色々とジェスチャーやパフォーマンス的なことも、ちょっとやってましたが、アマチュアのキャリアで培った技巧がベースにある選手です。
暫定とはいえ初タイトル。今後は出田裕一との決戦を制し、松永宏信引退後のクラスをリードする王者となれるか。要注目ですね。




宮崎亮は中村祐斗に4回、逆転のTKO負け。
先にダウンを奪っていましたが、目で外すセンス頼みの防御は、当然漏れ落ち無しとはいかず、またバンタム級での試合ということで、一度打たれるとそれが致命傷に近いものになってしまう、というリスクもある。
ベテランになり、クラスを上げて体格面で不利な試合をしているのに、防御に慎重な気配りをするのではなく、若い頃と同じやり方で闘っている時点で「こうなる」可能性が高いことは明らかでした。


試合後、本人は遂に引退を口にしたようです。
ここ数試合の内容と結果は、かつての自分自身を取り戻せなかった、その苦しみを全て表すものでした。
それは傍目に見れば、無謀な挑戦にも見えました。
しかし、それでもなお、と本人が望むもの、求めるものがあった以上、闘うこと以外に道はなかったのでしょう。


かつての才気溢れる、蠱惑的な魅力に満ちた宮崎亮の姿を、忘れることなど出来ません。
ファンとして、何度も試合を見られて、楽しい時をもらいました。お疲れさまでした。



コメント (2)
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