ということで火曜日のアンダーに入った注目のホープ対決、どえらい試合になりましたんで、簡単に感想を。
藤田裕崇改め、藤田炎村(ほむら、と読むそうです)は、湯場海樹とのホープ対決で、初回二度ダウンを喫する大ピンチを乗り越えて、4回逆転TKO勝利を収めました。
初回、サウスポースタンスで攻めて出た藤田、しかしダックした際右ガードが下がり、そこに湯場の左フックが命中、いきなりダメージ深いダウンを喫する最悪のスタート。
ほどなく二度目のダウン。これがクリーンヒットというより、ダメージを引きずってのもので、事態は深刻でした。
クリンチにいくのも難しそうなくらい、身体が思うに任せない風だったが、なんとか凌いで乗り切る。
徐々にボディ攻撃から返し、逆に湯場をボディで打ち込んで止め、上にもヒットを決めて、4回に二度倒し返すという流れは、希なる大逆転と見えました。
試合前から気合い入った表情の藤田、二度のダウンでダメージ甚大という事態にあっても、その表情が崩れなかったのが印象的でした。
もちろん精神面がどうであったとて、打たれて効いているという危機がどうなるものでもないんでしょうが、しかしあの気合い、闘う事への深い集中、といった「心の構え」なくば、こんな逆転劇は起こりえない、それもまた事実であるように思います。
日本タイトルなど「上」への話は、今後実現するのかどうか、またその予想はどうか、というのとは別に、藤田炎村というボクサーの闘志、闘う心の構えは、大いに目を引かれるものあり、です。
また、試合を終えたら、そこにいるのはなかなかの好漢でもあるようです。
2回にラビットパンチによる減点があり(さほど悪質とも見えませんでしたが)、試合後その件について「後頭部ゴメンね」と謝った声色は、想像以上に柔らかいもので、大逆転勝利と合わせて二度ビックリ、でした(笑)。
敗れた湯場海樹ですが、佐々木尽戦にも重なる、凄まじい展開の末に敗れる、という試合でした。
圧倒的な体格と強打、一目見て魅力に溢れたボクサーですが、勝つも負けるも豪快、そして敗れたときほど凄絶なドラマをリング上に描き、人々に忘れ得ぬ記憶を焼き付ける。
風貌や技術面のみならず、ボクサーとしての立ち位置というか、似んでも良いところまで全部、ホンマにお父さんそっくりやなあ、という。
この負けはさすがにショックが大きそうに見えます。
逸材であることに間違いないと思うのですが、簡単に再起に期待、と言って良いものかどうか迷うような試合でした。