さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

純度の高い真っ向勝負の打撃戦 木村吉光、中川兼玄を最終回ストップ

2022-08-31 10:29:51 | 関東ボクシング




ということで昨日はABEMAにて、後楽園ホールの試合をライブ配信で見ておりました。
これまた全部は見られませんでしたが、メインはしっかりと。
どちらも日本ランクに長い者同士で、それがタイトルかけて当たれば、当然一定以上の試合は見られる、くらいに思ってたら、どエラい試合を見ることになりました。



初回から木村吉光が積極的に仕掛け、というのは想像通りでしたが、中川兼玄も真っ向から応じる。
両者果敢に打ち合いつつ、攻め口の変化や緩急も伴った攻撃を見せる。

2回、木村が右アッパー、中川も同じパンチでお返し、これがクリーンヒット。続いて右相打ち。
距離やタイミングが「噛み合って」しまうものか、際どい攻防が続く。

3回、両者右ヒット応酬、木村がヒット数でまさり、4回は左ボディを決める。中川は肘を上げたフォームの右フックで対抗。
5回、木村が左アッパーをインサイドに打ち、右の後続打で攻める。この右がカウンターになってヒット、中川ダウン。
普通のヒットは耐える中川も、カウンターで切るようなパンチを食ってしまうと、さすがに倒れる。

木村ラッシュをかけるが中川しのぐ。6回、逆に右フックを決めて、木村を止める。中川立て続けにヒットを奪う。
中盤も以降も激しいラリー。8回、木村が左右のアッパーをダブル、トリプルと決める。中川は右クロス返し、ロープへ押して左ボディ。

9回、中川は右フック、左ボディを中心に間断なく打ちまくる。木村、速い連打を返すも中川を止められない。
しかし何とか盛り返し、速いワンツーをインサイドに通して中川を倒す。二度目のダウン。壮絶なラウンド。

10回、木村が詰めるかと思ったら、中川、ここからさらに粘り、右決めてボディも打って、攻勢で抑える。
とはいえ、さすがに防御がほどけてきて、危ういところも見える。

11回、両者終盤に来てもペースを落とさず打ち合う。両者に拍手したい気持ちになる。
これは判定まで行くかと思った最終回、木村速いストレートパンチの連打、中川右で反撃の流れで、木村がヒットを重ねて抜け出す。
中川それでも前に出て攻め、左フックを振ったが、その返りの前に木村の右クロスが入り、中川三度目のダウン。
レフェリーが即ストップをかけ、木村のTKO勝ちでした。



勝者の木村は、終始壮絶な試合展開にあっても、度々、爽やかな笑顔を見せていました。
前向きな態度が目に見えて、その闘いぶりは意欲的という言葉では足りないくらいでした。
直近の試合で破った坂晃典を抜いて、130ポンド級のトップに躍り出た木村、その実力を証明したと言えるでしょう。

ジム移籍を経て、坂、中川を連破したこの二試合は、過去に見た試合での停滞感が綺麗さっぱり消えていて、充実期に入ったのだな、と感じます。
再起を表明した尾川堅一との一戦など、あってもいいんじゃないかと思います。相性的に良いのか悪いのか、判断しにくいところもありましょうが。
試合後、こんな報道を見て心配ではありますが、まずは見事な闘いぶりでした。


中川兼玄は、大阪での試合キャンセルの件もあって、ちょっと印象を損ねていましたが、これまた過去の試合ぶりから数割増しの出来でした。
日本タイトル挑戦権獲得後のジム移籍、試合キャンセルから4ヶ月で巡ってきたタイトルマッチという、ちょっと希な状況でしたが、だからこそこの一戦に懸ける思いは並々ならぬものがあるのだろう、と思いはしても、やはり、その凄まじい闘志に圧倒されました。



YouTubeの動画に ”NO HUGGING NO RUNNING ONLY SLUGFEST“ というタイトルを付けて、クリンチやフットワークがない打ち合いになった、過去の名勝負のダイジェストを上げているチャンネルがありますが、これはまさに、その「シリーズ」に追加すべき、と思うような試合でした。
それでいて、無闇に防御健忘のまま手を出すのでなく、攻め口は色々見られ、なおかつ勝負を賭けた果敢さもあり、最初から最後まで見応え充分。
ABEMAの視聴者数がどの程度だったか不明ですが(チャット欄の数字ならわかりますが)、こういう試合が、ライブで、会場にいる人以外の目にも少なからず触れたのだとしたら、両者はもとより、ボクシングそのものの良さ、凄さが見てもらえたことでしょう。
両者に改めて拍手したいと思います。凄い試合でした!





コメント (2)
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