さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

井上、フルトン戦についてインタビュー二本 すんなり実現するには?

2022-08-06 11:23:56 | 井上尚弥





杉浦大介氏による、スティーブン・フルトン本人と、SHOWTIMEのスティーブン・エスピノザへのインタビューが相次いで出ていました。


フルトンは、以前は井上を割と軽視というか、見下ろしたような発言が報じられていました(体格面などについて)が、それがライティングによる脚色だったのか、それとも本当にそういう認識だったのかは不明です。
少なくとも今回は、杉浦氏の問いに対して、率直に井上の実力を認めています。
122ポンドへの対応は、実際やってみないと誰にも分からないところで、その点は踏まえていますが。
しかし、井上のパワーのみならず「アジャストメント」の部分も、しっかり見ているあたり、頭涼しいな、という感じがします。

また、井上戦は本人も認めているとおり、アメリカでの互いの商品価値を考えれば、日本でやる方がビッグファイトになりそうですんで、そうなったら是非、直に見たいものです。
ただ、その前段?としてのムロジョン・アフマダリエフ戦は、アフマダリエフが先の試合で左拳を骨折した、という話が事実なら、すぐとはいかないでしょう。
フルトンも井上と同じく、自分一人の実力でいかんともし難い部分で、4団体統一の難しさに直面するかもしれません。



エスピノザの方もまた、ボブ・アラムへの言及など、えらくいろいろと率直な話をしています。
まあ実際、ビッグファイトを実現するために、友人ではない人間と組むのは問題無い、それはそうなんでしょうが、向こうがどう思っているかどうか、それが大問題ですね。困ったものですが。



結局、この試合が「すんなり」実現するためには、井上尚弥のトップランク離脱が一番の近道だろうと思います。
ダスマリナス戦以降、2試合続けて日本で闘い、次のバトラー戦も国内が有力。
アラン・ディパエンは当然、ドネアやバトラーといったチャンピオンクラスの対戦相手も、トップランクお抱えの選手ではなし。
これらの試合についてのトップランクの関与は、ESPNの放送、ないしはESPN+の配信について以外、目に見えるところでは何も無いはずです。


結局のところ、トップランクにとって井上との契約は、かつてトップランクがゾウ・シミンと中国市場に期待したことと同等か、それ以下の見返りしか得られていない、というところなのかもしれません。
井上へのボクサーとしての評価は、ゾウとは違って上昇するばかりですが、それがアメリカでの大興行に繋がるわけではなく(エスピノザのいう、アメリカのファンの視野の狭さのせいでもある)、コロナの有無にかかわらず、日本から大挙して観戦者がベガスに訪れるかというと、そういう時代は既に過去である、それが日本の経済的現実です。
少なくとも、ゾウ・シミンの試合を見るために、マカオの大会場を埋めたり、ベガスでも会場の一角を占めた中国人観客を上回る「数字」を、井上尚弥がトップランクにもたらしているかというと、多分違うでしょう。


日本の大手プロモーターとの誼もあって?実現したトップランクとの契約ですが、上記したとおり、関与の度合いは下がっているのも事実ですし、そろそろ解消する頃合いかもしれません。
契約の期限や試合数などの条件がどういうものか、一切明らかになっていませんが、バトラー戦の頃には、もう丸3年くらい経ちます。
契約期間満了、解消、移籍、離脱、表現は何でも良いですが、そろそろ次の展開を考えた方が良いのかもしれません。

エスピノザがいう「あと一、二試合アメリカで闘って知名度を上げる必要がある」というのが、井上のPBC移籍後に実現すれば、彼にとって好都合なのでしょうが、現実的にはフルトンも認めたとおり、井上がより大きな見返りを得られる日本を中心に闘っていく、それは当然でしょうから、井上はアメリカにおいて、どことも契約しない、フリーエージェントのボクサーになれば、それで済むのでは、と素人目には見えるのですが。




何しろ「すんなり」実現してほしい、と思うばかりです。
コロナのせいもありますが、それ以前も日本ボクシング業界の「ご都合」が足枷となって、井上には碌な試合が組まれない、という時期が長くあったことを忘れてはいけません。

もう最初の世界奪取から8年、早くから海外への雄飛を期待されていたが、10戦以上国内で世界戦を闘うという「お務め」を強いられたあと、やっと海外へ出られた。
WBSS開催という幸運はあって、バンタム級では大きな試合が続けて実現したが、そこへコロナがやってきて、また新たな停滞を強いられた。

これだけの様々な枷があり、その過程で心身の疲弊も重ねていることでしょう。
にもかかわらず、心倦むことなく闘い、勝ち続け、それも勝つ度に新たな衝撃を我々に提供し続けている。
よくもまあ...と感嘆するしかありません。
井上尚弥が今、得ている地位は、実のところ、とうの昔にどこかで躓いていても不思議では無い試練、難関を乗り越えてきた末の、奇跡的なもの、だと言える。そう思います。


これからはコンディション調整もより慎重になるでしょう。きっと、あちこち悪いところもあるはずです。
それだけに、一試合ずつが貴重ですし、やって然るべき試合が、適切な間隔で組まれるように、と願うばかりですね。






コメント (2)
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