7月7日(日)快晴
天の川
七夕。ユミは織姫のように大海のかなたにいる。11年前に僕たちは出会った。僕は46歳、彼女は21歳だった。恋愛に年齢の差は関係が無いと言われるが、僕は彼女に「1年限りだよ」と念を押したのだ。何度も何度も「今年限り」と繰り返して、それがいつの間にか10年間も一緒に暮らすことになった。去年僕は56歳になり、ユミは31歳になった。最初は年齢差が倍以上だったのが、今はそうじゃなくなっただけだ。それでも10年後を考えると僕は憂鬱になる。ユミは確かに現在を幸せと感じているかもしれない。しかし僕が死んで1人ぼっちになった時、あるいは僕が動けないほど年老いた時、彼女は間違った人生を歩んだかもしれないと思うだろう。だから僕は10年目の去年、彼女を捨てるように船に乗った。僕のことは忘れて欲しいと願いながら。
読書:「森鴎外・明治人の生き方」山崎一顛
天の川
七夕。ユミは織姫のように大海のかなたにいる。11年前に僕たちは出会った。僕は46歳、彼女は21歳だった。恋愛に年齢の差は関係が無いと言われるが、僕は彼女に「1年限りだよ」と念を押したのだ。何度も何度も「今年限り」と繰り返して、それがいつの間にか10年間も一緒に暮らすことになった。去年僕は56歳になり、ユミは31歳になった。最初は年齢差が倍以上だったのが、今はそうじゃなくなっただけだ。それでも10年後を考えると僕は憂鬱になる。ユミは確かに現在を幸せと感じているかもしれない。しかし僕が死んで1人ぼっちになった時、あるいは僕が動けないほど年老いた時、彼女は間違った人生を歩んだかもしれないと思うだろう。だから僕は10年目の去年、彼女を捨てるように船に乗った。僕のことは忘れて欲しいと願いながら。
読書:「森鴎外・明治人の生き方」山崎一顛