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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Enya / "And Winter Came..."

2008-11-28 08:20:20 | music8
And_winter_came


□ エンヤ / 『雪と氷の旋律』

O Come, O Come, Emmanuel
One Toy Soldier

Release Date; 10/11/2008
Label; Warner Music
Cat.No.; WPCR-13203
Format: 1xCD

>> www.enya.com/


>> tracklisting.

01. And Winter Came...
02. Journey of the Angels
03. White is in the Winter Night
04. O Come, O Come, Emmanuel
05. Trains and Winter Rains
06. Dreams are More Precious
07. Last Time by Moonlight
08. One Toy Soldier
09. Stars and Midnight Blue
10. The Spirit of Christmas Past
11. My! My! Time Flies!
12. Oíche Chiúin (Chorale)
13. Miraculum (iTunes Exclusive)



7作目となるスタジオ・アルバム。
デビュー時より普遍的な神秘の歌声を響かせるエンヤが「冬」をテーマに描いた本作。クリスマスを間近に控えた胸の踊る祝祭の歓びと、凍み氷る純白のベールに秘された静寂の疼き。それらが共存する至高の聖域がまた一つ、今まさに冬を迎えようとしているこの世界に降臨した。


思えばこの20年来、Enyaの音楽は、多様な価値観を抱える世界中の多くの人々の「心の拠りどころ」として、絶対不可侵な神秘性を纏って、まごうことなき「癒し」の業を為してきたのかもしれない。多重録音による深いエコーを帯びた彼女のヴォーカルはもはや、ピアノやヴァイオリン、あるいはギターなどと肩を並べる楽器の普遍的な方法論の一つとして数えられるだろう。



タイトル・トラック"And Winter Came..."は、2001年のSingle、"Wild Child"にカップリングされた"Midnight Blue"のセルフ・カヴァー。キリストの生誕に備える天使の行脚を描く"Journey of the Angel"や、クリスマスの飾り付けに勤しむ様子を期待感とともに表現する"White is the Winter Night"など、サウンドメイキングについては、全体的にこれまでのアルバムよりも色彩豊かで華やかな印象を放っている。


従来のアルバムにも必ず一曲はあった、マイナーコードのダークなトラック、"O Come, O Come Emmanuel"は欧州では定番中の定番といえるクリスマス・キャロルのアレンジ。リード・シングルとして発表された"Trains and Winter Rains"は、教会聖歌のループをサンプリングするという異例の楽曲。


男女のハミングに導かれる"Last Time by Moonlight"は、恋人同士の別れをポジティヴに綴る。壊れてしまったオモチャの兵隊の微笑ましい杞憂を物語る"One Toy Soldier"は、これまでになくメルヘンチックな暖かさに満ちた楽曲。"Miraculum"も同じトラックを基調としている。

"The Spirit of Christmas Past"は、Dickensの著書"A Christmas Carol"(日本では映画『3人のゴースト』の方が有名?)にインスパイアされたもので、「現在」「過去」「未来」を生きる自分の写し身を通して、心のあるままに人生を選択しようと語りかける。


"My! My! Time Flies!"にはギターが登場するなど、今までのEnyaには無かった驚きに溢れた曲。歌詞にはニュートンをはじめ、チャイコフスキーやビートルズ、キング牧師といった歴史上の人物を暗喩する語句が散りばめられ、間近に迎えようとしている未来への時の流れに想いを馳せる。



イマジネーションの妨げにならぬよう説明は最低限に抑えさせて頂いたが、是非これらの楽曲を実際に耳にして、自由に想像を広げて欲しい。サウンドについては従来に比べ、シンセサイザーの装飾音や奥行きを増したヴォイス・フィルターの比重が大きく、あたかもモミの木を飾る色とりどりのオーナメントの輝きの如き、まさにクリスマス・シーズンに似つかわしいアルバムとなった。




□ 『ありふれた奇跡』

「人の夢は何よりも価値があるもの」と歌う"Dreams are More Precious"にあるように、Enyaの音楽は常に聴く者の心の特別な場所に座してきた。それはしんしんと雪の降り積もる森のしじまであったり、真夏の夜空に照り輝く星々の響きだったり...

どこにでもいる人が、どこにでもある自然に心を打たれ感動を抱くように、「人々の日常」は無限の奇跡の上に折り重なっている。。何も外にある「特別な場所」まで足を運ばなくても良い、それは私たちの心の中に覆い隠されていて、きっかけさえあればいつだって呼び覚ませるのだ。自身が受け入れる限り、Enyaの音楽は特別な場所と時間への「鍵」としてこの上ない働きをしてくれるだろう。



とはいえ、Enyaが誰にでも受け入れられるイージーリスニング的な安らぎと聴きやすさを持っているとは、一概には言い難い。割に刺激が強く、重厚な楽曲で占められているので、聴く側にも予め態勢が求められるかもしれない。私はアルバムをじっくり聴く機会を見計らって、とうとう数週間が過ぎてしまいました...orz


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