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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Arielle Dombasle & eRa / "Arielle Dombasle BY ERA"

2013-07-03 08:26:01 | music13
Arielledombasle



□ Arielle Dombasle & eRa / "Arielle Dombasle BY ERA"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script><script type="text/javascript" src="http://webplayer.yahooapis.com/player-beta.js"></script>Cold Song
Sins

Release Date; 01/July/2013
Label; Mercury
Cat.No.: 373 909-8
Format: 1xCD, iTunes

>> http://www.arielle-dombasle.com


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>> tracklisting.


01. Ave Maria (InspIred by the Ave Maria of Gounod)
Arranged & Adapted By ? Eric Levi
Music & Lyrics By ? Gounod


02. Cold Song (from “Cold Genius” - King Arthur Opera)
Arranged By ? Eric Levi
Lyrics By ? John Dryden
Music By ? Henri Purcell


03. Adagio For Strings ([Era Version ~ edit Agnus dei)
Arranged By ? Eric Levi
Music By ? Samuel Barber


04. Sins (from Miserere)
Arranged & Adapted By ? Eric Levi
Music & Lyrics By ? Gregorio Allegri


05. Don't Take Pleasure Of My Pain (from Messe Cum Jubilo op.11)
Arranged By ? Eric Levi
Lyrics By ? Arielle Dombasle, Eric Levi
Music By ? Maurice Duruflé


06. After Time
Lyrics By ? Florence Dedame
Music By ? Eric Levi


07. Just Close Your Eyes (from Concerto for Harpsichord In F Minor)
Adapted By ? Arielle Dombasle, Eric Levi
Arranged By ? Eric Levi
Music By ? Johann Sebastian Bach


08. Tiesto Demoni (from the 5th Symphony)
Arranged By ? Eric Levi
Lyrics By ? Eric Levi
Music By ? Gustav Mahler


09. Lost Jericho (From Cantate #140)
Arranged By ? Eric Levi
Lyrics By ? Arielle Dombasle, Eric Levi
Music By ? Johann Sebastian Bach


10. Thousand Words (edIt I call your name)
Adapted By ? Arielle Dombasle
Music By, Lyrics By ? Eric Levi




Eric Levi : Synths on all tracks + Lead Guitar on After Time
Nono : Rhythm Guitars on Cold Song and Barber
Karl Brazil : Drums on Ave Maria and Tiesto Demoni
Lee Sklar : Bass on Tiesto Demoni
Pino Palladino: Bass on Ave Maria
Floriane Bonnani : Violin on Sins
Racha Rizk : Arabian lead vocal on Thousand Words


Arielle Dombasle’s vocals recorded by François Gauthier at Omega and Sun Studios, Paris. Assisted by Gautier Carbonneaux
Except * Ave Maria * recorded by Andy Strange at British Grove Studios, London.
Choir on tracks 1, 2, 3, 4, 5, 8 - Directed by Guy Protheroe Recorded by Andy Strange at Abbey Road Studios, London. Assisted by Gordon Davidson
Rhythm and great additional synth programming by Alexis Smith. On Tracks 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 9.
Strings on tracks 3, 8, 10 - Directed by Marie Jeane Serero Recorded by Peter Cobbin at Abbey Road Studios, London. Assisted by Gordon Davidson
Bass and Drums - Recorded by Andy Strange at British Grove Studios, London ( Ave Maria ) and at Air Studios, London ( Tiesto Demoni ).







宗教的ながら異世界感に溢れる混声合唱を、現代的なリズムとポップセンスで奏でるeRa。そしてフランスの聖女の如き大女優であり、歌手や映像監督としても多才ぶりを発揮するセックスシンボルのArielle Dombasleが、不可解ともとれるコラボレーションを果たした異端のニューアルバム。


この作品が制作される経緯については、既に仏メディアに明るい現地の人が仔細に分析しているだろうと踏んで、私としては、あくまでeRaファンとしてワンサイドな感想を述べるに留まりたい。然れども、アリエル・ドンバール。あまりにもビッグネームである。



つい先日にも、アリエルはカンヌ国際映画祭に登壇し、自身がジャン・コクトー没後50周年を記念して制作したミュージカル映画、『Opium』を披露している。コクトーとラディゲの禁断の愛を描いた内容は、本国メディアにおいても物議を醸し大きく扱われているため、このタイミングで発表される彼女の歌手としてのアルバムは否応なしに注目を集めることが予想される。

あるいは、そういったリスナーやArielleの従来のファンにとって、eRaの音楽は少し耳慣れない響きなのかもしれない。



高名な哲学者であるBernard-Henri Lévyを夫に持ち、類稀な家庭環境において幼い頃からフランス芸術界に馴染みながら、そして女性俳優としてもポップシンガーとしても、着実なキャリアパスで自らの存在に磨きをかけてきたアリエルにとって、『聖女』は次なる自己実現、あるいは彼女を崇拝するファンの幻想として、予め思い描かれていたものなのかもしれない。




ともあれ企画色の強いアルバムである。実は本作中、eRaとしての新曲は4作程度に留まり、実に半数以上がEric Leviの既存曲をアレンジしなおしたもの、しかもほとんどがトラック自体を使い回し、アリエルのボーカルに差し替えただけという、なんともお手盛り感の漂う作品。

Eric Levi自身、近年はクラシック・リソースに偏ったプロダクションを連ねており、アルバムは1-2年おきにコンスタントに出ているものの、どうにも寡作ぶりが拭えない感がある。



実は昨年のアリエルサイドにおける制作発表時点では、このアルバムは"Mystique et Symphonique"とタイトルされ、『ポップ・オペラ風のアルバムになる。』とアナウンスはされていたものの、Eric Leviが携わっていることなどは全く伏せられていた。結果的に、アリエルファンとeRaファンの両サイドに目配せしたリリースの形にはなったが、私としては、その裏でプロダクションのゴタゴタがあってのことではないか、この出来を前にすると、そんな疑念が頭を擡げる始末ではある。




然し乍ら"Cold Song"は一際異彩を放つ素晴らしい楽曲である。 Henry Purcellのセミオペラ『アーサー王』における最も有名な歌曲であり、実はもともとアリエル自身がCrazy Horseの舞台でレパートリーの一つとしていた作品。Eric Leviにとっても数少ない完全新曲であり、その重厚で威風に満ちたコーラスワークは、まさにeRaファンの渇望するディレクションに仕上がっていると言える。そのシュールな世界観と響きは、個人的には"Ameno"の再来かと評価したいぐらいのものである。



次点は"Sins"。アレグリのミゼレーレを題材に、良くぞこれほど好き勝手に編曲してくれたなと言いたくもなるが、こうも臆面もなく90年代Enigma風のグラウンドビートを刻んでこられると、最早ぐぅの音も出ない。Michael Cretuに『牛の糞』と評された遺恨など微塵もないようである。ちなみに、冒頭のコーラスは"The Mass"の"Don't Go Away"が元ネタのようだが、だいたい新曲と見なして良いだろう。



シングル・カットもされた"Ave Maria"は、シャルル・グノーの『バッハのアヴェマリア』の主題に基づくアレンジ。Eric Leviらしい変奏とドラムセクションが耳を惹き付ける華やかな作品。グノーの編曲は、J.S. Bachの平均律クラヴィーアの前奏曲 Op.1を題材にしたものであるが、実はEric Leviはアルバム"era Classics"において、"A Brand New Day"というタイトルで当該曲をアレンジ済みである。



同様にJ.S. Bachの引用である"Just Close Your Eyes"も新曲。主題は『チェンバロ協奏曲 第5番 ヘ短調 BWV1056』バッハのアリオーソとして親しまれている一節。ここはアリエルが英語歌詞でポップ調に歌い、ゴスペル風のコーラスがユニゾンする。これもSweetboxを思い出させる2000年代ノスタルジーの漂う歌曲。



"Don't Take My Pleasure of My Pain"は、デュリュフレの男声合唱とオーケストラのためのミサ曲『クム・ユビロ』をアレンジ。こちらも涙が出るほど懐かしい1990-2000年代のニューエイジ・トランス風の作品。同ジャンルにおいてEnigmaやeRaが隆盛を誇っていた時代、同様に宗教楽曲を電子音楽に取り込もうとする亜流のアーティストたちが数多く現れては消えた。そんな泡沫の中にも粒選りの存在は生まれた。Amoureというユニットの楽曲は、まさにこのラインを地で行っていた。



以上の曲に対するファースト・インスピレーションは悪くない。それ以外の曲については、eRaの既リリースを参照して欲しいというのが本音のところ。Arielle Dombasleのニューアルバムとしては新しいのかもしれないが、"After Time"などのヴォーカルは、どう贔屓目に見てもオリジナルに勝る要素がないし、"Adagio for Strings"や"Thousand Words"のように、アリエルの声が消化不良を起こしてる楽曲も引っかかる。

企画としては大変面白いアルバムだったが、結果として、このペアリングでの新作は両ファンサイドに望ましくない影を残すと、個人的には感じられてならない。今後のそれぞれの活躍に期待したい。