□ Viktoria Mullova / Ottavio Dantone / Accademia Bizantina "J.S Bach; Violin Concertos"
♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>I Allegro (BWV1042)
♪ I Allegro (BWV 1053)
♪ II Andante (BWV 1041)
Release Date; 29/04/2013
Label; onyx
Cat.Not.; ONYX 4114
Format: 1xCD
>> http://www.viktoriamullova.com
>> http://www.accademiabizantina.it
>> http://www.onyxclassics.com/cddetail.php?CatalogueNumber=ONYX4114
>> tracklisting.
JOHANN SEBASTIAN BACH (1685?1750)
Viktoria Mullova: violin
Accademia Bizantina
Ottavio Dantone: harpsichord, director
Violin Concerto in E BWV 1042
01 I Allegro 7.26
02 II Adagio 5.25
03 III Allegro assai 2.34
Concerto for harpsichord in E BWV 1053, arr. for violin in D
04 I Allegro 8.22
05 II Siciliano 5.11
06 III Allegro 6.06
Violin Concerto in A minor BWV 1041
07 I Allegro 3.34
08 II Andante 5.14
09 III Allegro assai 3.29
Concerto for two harpsichords in C minor BWV 1060, arr. for violin and harpsichord
10 I Allegro 4.52
11 II Adagio 4.44
12 II Allegro 3.29
Recording location: 1?5 December 2012, Sala Oriani in Bagnacavallo, Ravenna, Italy
Executive producer for ONYX: Matthew Cosgrove
Producer: Fabio Framba
Balance engineer: Roberto Chinellato
Mixing and mastering: Andrew Mellor
Photography: Max Pucciariello
Design: Jeremy Tilston for WLP Ltd
?The partnership of Viktoria Mullova and Ottavio Dantone has already resulted in a highly acclaimed set of Bach sonatas for violin and keyboard. This time they join forces with Accademia Bizantina in a programme of Bach violin concertos: two famous ones, and two which are better known in different guises.
『ヴァイオリン協奏曲第一番 / ヴァイオリン協奏曲第二番』
『ヴァイオリン協奏曲ニ長調 (原曲:チェンバロ協奏曲第二番)』
『ヴァイオリンとチェンバロのための協奏曲 (原曲:ヴィイオリンとオーボエのための協奏曲』
世界に知られている女性ソリストのうち、最も情熱に彩られた軌跡を辿り、燦然たる実績を積み上げて来たムローヴァ。彼女のライフワークであるバッハ、ヴァイオリン協奏曲集の新録音版。マイナーレーベルながら、高品質で厳選された音源を扱うOnyxからのリリース。
オッタヴィオ・ダントーネ率いるイタリアの古楽アンサンブル、アカデミア・ビザンチナが、独自に研鑽を重ねた伝統美学に基づく熟練した演奏技術によって、ムローヴァの華やかながら調和の取れた一級のパフォーマンスにおける基礎を固めている。
ムローヴァと言えば、華々しいデビュー直後の恋人とのソ連からの亡命劇、そしてクラウディオ・アバドとの情熱的なスキャンダルをはじめ、それぞれ違う男性との間に三子をもうけ、その波乱に満ちた生き方を裏打ちする不屈の精神力と情愛によって、つねに圧倒的な演奏精度と功績で、世界に否応無しに自らの価値を認めさせて来たと言える。
プライベートについても仕事に対しても、透徹した彼女の美学に共感を覚える聴衆は少なくなく、昨年秋には、そんな彼女の半生を綴った伝記 'From Russia to Love' (著・Dr Eva Maria Chapman) も出版されている。
近年は小規模ながら“アーティスト志向”と、堅実な評価を物にしつつある新々レーベルOnyxの立ち上がりに際し、素晴らしいヴィヴァルディの音源を提供して力添えし、クロスオーヴァー領域にまで活躍の幅を広げているムローヴァにとって、かつて自らの地位を確固たるものにした『ヴァイオリン協奏曲集』の再録音は、まごうかたなき一つのマイルストーンと言えるだろう。
既に彼女自身がPHILIPSから決定盤とも言える音源を残しているBWV1041、1042については、持ち前の長身によって発揮される運動性能を活かした、実に艶やかで脹よかな音色を響かせている。アレンジは至極忠実に施されており、質素であるほどだが、その伸びしろが返って余裕を感じさせる円熟のパフォーマンスを物語っている。
対照的に、BWV1053はチェンバロ協奏曲第2番ホ長調のヴァイオリンニ長調編曲であるが、ムローヴァの解釈は揺るがない。
バッハのチェンバロ協奏曲と言えば、晩年ライプツィヒの聖トーマス教会のカントル時代、町内楽団であるコレギウム・ムジクムのために書かれたもので、実はそれ自体が当時のヴァイオリン曲からの編曲であったとされているので、楽譜がチェンバロによる演奏を想定されたものであっても、ヴァイオリン解釈に際して、その美しさに遜色が生じるものではない。
一方で、その変換過程で演奏者や編曲者の意匠を挟み込む余地は多いにあり、特に原曲が未知(教会カンタータの一部?)と言われているBWV1053に関しては、その録音に演者の背景や精神、時代性が顕著に反映されるという。そこに至ってムローヴァの比類なき美学が赫赫たる精彩を誇示している。
最後にBWV1060、原曲はヴァイオリンとオーボエのための協奏曲だが、ここでは部分的にヴァイオリンのパートをオッタヴィオのチェンバロに、オーボエのパートをムローヴァのヴァイオリンに差し替えているなど、斬新な試みが為されている。
この曲も元々はバッハが当時流行っていた楽曲を自分流に楽譜に起こしたものと考えられており、『2台のチェンバロのための協奏曲第1番ハ短調』が公式な呼称とされている。
ムローヴァ自身も、PHILIPS時代に同曲を既に録音しており、そちらはオーボエによるオーソドックスな編曲であった。依って今回の演奏は、アレンジによってバッハの意匠に近づいた楽曲ではあるが、ダントーネの切り口は鮮やかで、とかく流麗に華々しく飾り立てられがちなこの曲に、どことなく瀟洒な密やかな愉しみを与えたのは、見事と言わざる他ない。
その美貌の下に苛烈な情熱を灯した、ムローヴァの全身全霊によるマスターピース。最近は日本でも再びスポットライトを浴びる兆しを見せており、つい先月も数年越しの来日公演を果たしている。この注目の高まりに乗じて、ぜひ次回は観客席から、彼女自身の『生』の響きに耳を傾けたい。