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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

eRa / "Classics II"

2010-11-03 19:54:06 | music10
Eraclassics2


□ eRa / "Classics II"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Ave Paternum Deo
Thunder Flash

Release Date; 18/10/2010
Label; Mercury
Cat.No.; 275 337 6
Format: 1xCD

>> http://era.artiste.universalmusic.fr/

>> tracklisting.

01. Ave Paternum Deo (Pachelbel’s Canon)
02. Madeus (Mozart’s Requiem)
03. Abbey Road Blues (Albinoni ‘s Adagio in G minor)
04. A Brand New Day (Bach’s Cello Suite N°1 in G major)
05. Voxifera (Rock Edit)
06. Prelude
07. I'm No Angel ft. Keith Murrel (Beethoven’s Moonlight Sonata)
08. Journey ft. Fabrice Mantegna (Haendel’s Lascia Ch'io Pianga)
09. Thunder Flash (Tchaikovski’s Concerto for violon N°1)
10. Outro Madeus (Mozart’s Requiem)


All songs adapted, arranged, composed by ERIC LEVI

Abbey Road Studios
Choir directed by Guy Protheroe and recorded by Andy Strange
Assistant engineer and and Protools: GORDON DAVIDSON
Strings Orchestras directed by MARIE JEANNE SERERO and recorded by PETER COBBIN
Bass & Drums recorded by ANDY STRNGE at Air Studios
Mixed by J.P.B at Omega Studios, assisted by NICOLAS BERGER
Mastered by IAN COOPER at Metropolis in London


Artwork by DIE FRAU (Sylvie B.)

Bass: Pino Palladino
Drums: Karl Brazil
Guitars: Michel Aymé and Robbie Mc Intosh (on Albinoni)
Keyboars: Eric Levi
Cello: Anthony Pleeth (tr.1) and Josephine Knight (tr.4)
Trumpet: Derek Watkins (tr.9)
Vocals: Keith Murrell (tr.7) and Fabrice Mantegna (tr.8)
Additional Programming: Alexis Smith





昨年の"Classics"に引き続き、eRaによるクラシック・カヴァー・アルバムの第二弾。前作と同じくロンドンの名門スタジオ、Abbey Road Studiosを主な拠点として製作されている。

楽曲内容から参加ミュージシャン、エンジニアリングに至るまで、殆ど"Classics"と変わらない体制で行われているものの、比較的今作は、Eric Leviの個性と音楽的志向の振れ幅を大きく反映したものとなっている。



"Thunder Flash"で展開される、どこか懐かしいシンセ・インストゥルメンタルは、若きEric Leviがハードロック・バンドで活動していた70-80年代のレトロスペクティブな響きを、今も変わらない熱いビートで刻んでいて、もしかしたら、これはクラシックの変奏曲集というよりも、彼自身の世界観と音楽的変遷の回顧録なのではないかと思わせる節がある。



世の中にクラシカル・リソースは多くあれど、この"Classics"においては、原曲の再現性という点はもとより考慮の内に入っていない。大抵の楽曲で、クラシックの「原型」をとどめるフレーズは、それらからEric Leviが「インスパイア」されたメインヴァースへの導入程度の役割に留まっている。

このクラシックのオリジナルフレーズやベースラインのみを利用した楽曲の混合性は、Ericのルーツたるメタルやロック以上に、HIP-HOPのセンスにこそ似通ったものがある。


eRaとしてのデビューアルバムを飾った"Ameno"や"Mother"にもヒップホップ・ビートが、中世的世界観を反映する混声合唱と、現代的なシンセサウンドを融和させる触媒の役割を果たしていたが、振り返ってみれば、ENIGMA登場以降、NEW AGE音楽全盛のあの頃、HIP-HOP発祥の「サンプリング」という方法論が広く汎化し、「民族音楽や宗教音楽のテクノ化」の流れの中で、Eric Leviのセンスが受け入れられるようになったのは時機的な偶然だったのかもしれない。それは生ドラムを中心に据えることの多いeRaの近作を見ればこそ良く分かる。



この"Classics II"の選曲も、『パッヘルベルのカノン』や『モーツァルトのレクイエム』といった、正式な作品名そのものを出さずとも、「ああ、あれか」と多くの人々がすぐにピンと来るであろう定番のフレーズを引用したものばかりである。

しかし一方で"Prelude"のような、Eric Leviが全編オーケストラ仕様に作曲した荘厳な楽曲も含まれており、近年はサントラも手掛けるようになった彼の『作曲家』としての矜持が見え隠れするコンセプトが敷かれているようである。


因みにこの"Prelude"には、"Classics"の"Adagietto"における1フレーズがアレンジされて組み込まれており、"Voxifera (Rock Edit)"と同様に、再編曲再収録の多いeRaの近作の傾向を今回も裏付けている。



アビー・ロード・スタジオに捧げられたアルビノーニのアダージョを始め、前作に続いて起用されたテノール歌手、Fabrice Mantegnaの"Journey"や、プロ・ボーカリストのKeith Murrellをフィーチャーしたポップソング、"I'm No Angel"など、近年流行のクラシカル・クロスオーヴァーに目配せしたような構成とも捉えらる楽曲も目立つ。


しかしこうなってくるとファン心理としては、やはりEric Leviの類稀なコーラス・センスを存分に堪能できるオリジナル・アルバムを、そろそろ期待したい所なのだが・・・。