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lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

The Brutalist.

2025-02-25 00:00:00 | 映画

□ 『The Brutalist』

構造はそれ自体に説明を必要としない─。
時代や思想の川に浸食されない建築に秘された真実。
ホロコーストを脱したユダヤ移民が、自由主義のアメリカに奪われ隷属しながら築き上げたモニュメント。
『無に満たないもの』の外殻と共同体への包摂。
到達地がアーキテクトを具象へと導く






The architecture that remains unweathered by the currents of time and ideology. This movie portrays the life journey of a Jewish architect who survived the Holocaust through breathtaking visuals and compelling momentum.

The outer shell of “Nothingness” and its inclusion into the community. The destination leads the architect toward the concrete.


A24 / Brookstreet Pictures / Kaplan Morrison
US/Hungary/UK (2024)
Directed by Brady Corbet
Written by Brady Corbet / Mona Fastvold
Art Direction by Csenge Jóvári / Alexander Linde / Virág Tyekvicska / Sari Weichinger / Csaba Lodi
Set Decoration by Patricia Cuccia / Mercédesz / Nagyváradi
Production Design by Judy Becker
Cinematography by Lol Crawley
Music by Daniel Blumberg



□ Daniel Blumberg / “Construction”






『The Brutalist (ブルータリスト)』 定石を覆すタイトル・デザインに象徴される野心的な映像作品だった。第一部終了後の幕間(インターミッション)、John Tilburyによる儚いピアノ・インプロヴィゼーションから流れるような第二部導入の様式美。劇場の鑑賞者の過ごし方まで包摂する時間空間芸術

『ブルータリスト』、鑑賞後に情緒をこれほどまでにグチャグチャにされたのは『Pig』以来(翌日寝込んだほど)。視覚聴覚を圧倒する推進力で記述された映像言語であり、この映画自体がまさに一つのモニュメントと言える







Flow.

2025-02-11 20:19:48 | 映画

□ 『Flow』

ラトビアのアニメーション映画 『Flow』のジルバロディス監督による至言

『(映画の生み出す感情的な経験について)もしそれが何らかの言葉で説明できるものだとしたら、この映画を作る必要はありませんでした』


“The most frequent question I get asked is about this scene. To me it's a lot more important to create an emotional experience rather than sending a message. It's something I can't explain with words. If I could, I wouldn't need to make this film.”

── Gints Zilbalodis

https://x.com/gintszilbalodis/status/1889309586579964250?s=61&t=YtYFeKCMJNEmL5uKc0oPFg

The Wild Robot

2025-02-09 19:00:00 | 映画

□ 『The Wild Robot (野生の島のロズ)』

Do you need assistance?に象徴されるように、AIと自然は寄り添えるのかというテーマを寓話的に描いた作品。多様な『人格』が投影された動物たちそれ自体がメタファーでもある。「心と意味」は記憶に書き込まれたものではなく、他者と交わることで創発的に煌めく





Dream Works (2024)
Directed by Chris Sanders
Based on the book by Peter Brown
Music by Kris Bowers
Cinematography by Christi Soper
Art Direction by Ritchie Sacilioc
Production Design by Raymond Zibach




□ Maren Morris / “Kiss the Sky”

Somewhere In Time.

2025-01-19 04:15:44 | 映画


□ 『Somewhere In Time (ある日どこかで)』

タイムトラベル・ロマンスの金字塔。『スランバー山の幽霊』から『インターステラー』までの1世紀、映画という表現媒体において描かれてきた『時を超えた憧憬』を痛々しいまでに刹那的に、メランコリックに謳った名作。あの付人は、確かに彼の本質を見抜いていた







□ Rachmaninoff: Rhapsody On A Theme Of Paganini

劇中でも重要なキーとなる、ラフマニノフの『パガニーニの主題による狂詩曲』。John Barryによるオリジナル楽曲も負けず劣らず印象的





INTERSTELLAR: Beyond Time and Space

2024-12-31 01:36:57 | 映画

□ 『INTERSTELLAR: Beyond Time and Space』

インターステラーの設定資料集。IMAX再の影響で、洋書としての輸入価格が現在5万円近くになり希少価値が跳ね上がっている。時間と重力の二分法をテーマに作曲されたHans Zimmerのスコア、1185年建造のテンプル教会での合唱録音などの製作秘話が興味深い



Mark Cotta Vaz
Foreword by Christopher Nolan
Intoroduced by Kip Thorne






INTERSTELLAR

2024-12-31 01:27:34 | 映画

□『Interstellar』 (2024 IMAX Exclusive Theater Release)



建築家のLouis Kahnは、『物質は燃え尽きた光』と語った。不可逆な現世は可逆な高位次元の残す塵の跡であり、人の感情とは、それらの構造の落とす影なのかもしれない。共時性、誰かの想いと想いが結びつくのが『今ここ』である必要はない



それでも尚、破壊されたエンデュランス号とのドッキングシーンは、娘との約束を果たすため『今ここにしかないもの』を追いかける父の想いの強さが胸を打つ。『高速で廻る円環に運動状態を同期する』というメタファー。今ここでなくても良い、しかし今この瞬間を掴んでいられるのは奇蹟なのだ



『Interstellar』 (IMAX Exclusive) 70mm filmの最大画角を鑑賞するため、IMAX Laser GTをクリスマスに再訪。エンデュランス号が巨大建造物過ぎてビビるし、緊急ドッキングシーンで高速回転する円環の圧倒的質量感。これを見逃していたら一生後悔していたかも


SYNCOPY / Lynda Obst Productions (2014)
PARAMOUNT PICTURES AND WARNER BROS. PICTURES
Directed by Christopher Nolan
Written by Jonathan Nolan / Christopher Nolan
Cinematography by Hoyte van Hoytema
Music by Hans Zimmer
Production Design by Nathan Crowley



『インターステラー』10周年記念IMAX再上映、劇場は超満員。風の音にパイプオルガンが乗り、本棚に砂が降り積もる静かなタイトルバックからもう胸がいっぱいで、コーン畑のチェイスシーンですら涙がボロボロ溢れてきて、数え切れないくらい反芻したはずのセリフ一つ一つが胸に突き刺さる



クーパーが無謀にも爆砕したエンデュランス号を追いかけるシーン。TARSは『不可能』と止めるのだけど、この時に流れるHans Zimmerによる劇伴曲”No Time for Caution”は、序盤で使用された”Cornfield Chase”のアレンジとなっている。子供達と畑でドローンを追いかけたあの日が頭に過ったのかもしれない


□ Hans Zimmer / „No Time for Caution”



□ Hans Zimmer / “A Place Among the Stars”





Mufasa: The Lion King

2024-12-21 00:01:01 | 映画

『Mufasa: The Lion King』


如何な運命が2人の兄弟王を引き裂いたのか。全ての物語を物語たらしめる『傷』のはじまり。Lebo M率いるアフリカ聖歌隊とDave Metzgerによる劇伴音楽に感極まる。パンフではHans ZimmerがLebo M.と初めて手がけたアフリカ系スコア『Power of One』の制作秘話もあり感慨深い






□ Dave Metzger, Lebo M. / “A Story of a Great King”

Disney (2024)
Directed by Barry Jenkins
Music by Dave Metzger / Lebo M.
Original Songs by Lin-Manuel Miranda
Cinematography bu James Laxton
Production Design by Mark Friedberg
VFX by Adam Valdes / Audrey Ferrara

The cyclical nature of film.

2024-11-28 23:17:54 | 映画



ノーランが自身のフィルモグラフィの中で一貫して描く『共時性』は、物語それ自体が内包する時間発展的なフラクタル構造であり、『インターステラー』に登場するテセラクトそのものである。ヴィルヌーヴは対し、物語の円環性が基盤にあり、反復するプロトコルと脱構築によるカタルシスを主眼に置く



Christopher Nolan consistently depicts “synchronicity” throughout his filmography—a fractal structure of temporal evolution embedded within the narrative itself, essentially the very tesseract that appears in Interstellar.


In contrast, Denis Villeneuve’s work is founded on the circularity of storytelling, focusing primarily on catharsis achieved through repetitive protocols and deconstruction.



□ Max Richter / „On the Nature of Daylight” (2024 Piano Version)

ヴィルヌーヴの『Arrival』でも使用されたMax Richterの代表曲。フランツ・カフカの『八つ折り判ノート(ブルー・ノートブック)』に着想を得ており、支配の円環構造と不条理への抵抗を表現した旋律が美しい


十年前、CSIROにおいて『コルモゴロフ複雑性』と『音楽の美しさ』に定量的な相関があるとする仮説が提唱された。フラクタルな信号の情報圧縮率と、物語の時間構造にアナロジーが成立するのなら、人は自己の経験を物語によってエミュレートするプロセスそれ自体に形而上の美を感じているのかもしれない

□ Musical beauty and information compression: Complex to the ear but simple to the mind? (Nicholas J Hudson)

>> https://bmcresnotes.biomedcentral.com/counter/pdf/10.1186/1756-0500-4-9.pdf



TAPE 14.

2024-11-21 04:40:34 | 映画

□ Briscoe Park / “TAPE 14”

最近、眠る前に良く観ているCH. ただ淡々と深夜の森や平原、廃墟を徘徊する静かなFound Footageものなのだけれど、各動画には謎めいたメッセージが添えられ、何らかの演出意図が垣間見えるカメラワークや編集が時折挟まる。チルでありながら想像力を掻き立てる不思議な作品たち






Gladiator II

2024-11-18 02:35:40 | 映画

□ 『Gladiator II』

Scott Free Productions / Paramount Pictures (2024)
Directed by Ridley Scott
Written by Peter Craig / David Scarpa
Music by Harry Gregson-Williams
Cinematography by John Mathieson
Production Deign by Arthur Max



”生前の行いは永遠に響きを残す”老齢の巨匠が 「ロムルスとレムス」伝承をモチーフに、再び古代ローマの再生と魂の救済を描く。一作目の構造を逆手に取り複雑さを増した宮廷陰謀劇と、職人による卓越したプロダクション・デザイン。デンゼルのトリックスターぶりは一際異彩を放つ


闘争と権力は重畳するプロトコルの相転移。名誉と栄光を尊ぶべきなのは、それが歴史の果てに砂塵に帰そうとも、時を経て小麦の如く実りを為し、人の心に繰り返し勇気を息吹かせる為だ。マクリヌス曰く復讐とは、敵対するプロトコルを潰やすために、『同じ方法を取らない』ことにある



ゲタとカラカラの双子皇帝から成る巨悪が、かのマクリヌスという権謀術数を巡らすトリックスターに喰われてしまう展開も宮廷陰謀劇の醍醐味と言える。グラディエーター時代の名を決して明かさない彼もまた、亡き賢帝の呪縛に囚われのままであり、偉大な忠臣を持つ王はまた、偉大なる敵をこそ作るのだ



□ Harry Gregson-Williams / ”Strength And Honor”

Harry Gregson-Williamsのスコアは、Hans Zimmerによるモチーフを踏襲しつつ、より壮大なスケールの合唱やオーケストレーションを展開。この曲はJohann Johannssonの作品を思わせる繊細さ・昇り詰めていく高揚感を纏っている










Back to the Future

2024-10-31 02:16:45 | 映画

□ 『Back to the Future (Theater revival)』

いつか劇場の大スクリーンでポップコーン片手に鑑賞したい。そんな積年の夢をようやく叶えてくれた。私はこの映画を観るたびに新たな発見をするし、その度に新たな自分と出会う。反芻する自己参照とタイムパラドクスが、なぜこんなにも人の胸を打つのか

Universal Pictures (1985)
Directed by Robert Zemeckis
Executive Producer: Steven Spielberg / Frank Marshall / Kathleen Kennedy
Written by Robert Zemeckis / Bob Gale
Cinematography by Dean Cundey
Production design by Lawrence G. Paull
Music by Alan Silvestri



□ Earth Angel & Tension The Kiss (mixed) - Marvin Berry and the Starlighters, Alan Silvestri

A Samurai In Time.

2024-10-30 01:32:26 | 映画

□ 『侍タイムスリッパー (A Samurai In Time)』

時代劇制作に携わる者たちの究極の願い。それは過去に生きた人々の想いを今に伝え、未来へ紡ぐこと。劇中劇のリアリティラインを時間遡行もののプロットで引き上げる方法は見事で、その構造を活かしたコメディ要素も◎。山口馬木也の泣き演技に三度涙する


設定は突拍子もないけれど、序盤以降の展開はかなり理詰めで作劇されている印象。このキャラが何を言って何を言わないのか、行動原理が一貫している




未来映画社(2024)
Directed by Jun'ichi Yasuda

Agatha All Along.

2024-10-23 22:22:22 | 映画

□ 『Agatha All Along』 (ep7. “Death's Hand In Mine,”)

下馬票を完膚無きまでに覆したMCUドラマ。神回と絶賛されている第7話は、時系列シャッフルと叙述トリックを緻密なオルゴールの如く織りなす怒涛の伏線回収回。この一話だけで分厚い叙事詩小説のような読後感に浸れる名エピソード。脚本家に拍手



ネタ明かしからの激アツ展開も良いけれど、ノーランを引き合いに出している視聴者もいるように、非線形ストーリーテリングと呼ばれる手法で、とにかく脚本が見事。というか時間トリックものとしては『TENET』より巧く出来ている。TVドラマ史に語り継ぎたい名作





Disney+ (2024)
Directed by Jac Schaeffer
Written by Gia King / Cameron Squires
Cinematography by Caleb Heymann / Isiah Donté Lee / Jon Chema
Original music by Kristen Anderson-Lopez / Robert Lopez
Music by Christophe Beck / Michael Paraskevas



『Agatha all along (アガサ・オール・アロング)』最終回。数百年を生きる魔女という存在を扱った大河として満点の落としどころ。現実を恣に出来るはずの魔女が取り戻すことの叶わないもの。二重三重の嘘と伏線、何度も繰り返し登場していた『歌』に秘められた真実。ノーラン作品に匹敵する風格



『アガサ・オール・アロング』やはり第7話が頭一つ抜けて良い印象。2度3度と訪れるクライマックスの余韻を味わう暇もなく、次々に集うキツネや蛇に化けたセイラムの魔女を迎え撃つシーンはファンタジー史上屈指の高揚感があり、TVドラマという媒体でここまで力強い画作りが可能なのかと驚くほど


□ Christophe Beck and Michael Paraskevas / “The Tower” (Reversed) (From "Agatha All Along"/Score)



□ Japanese Breakfast / ”The Ballad of the Witches' Road”




Gladiator

2024-10-23 20:25:06 | 映画

□ 『Gladiator』 (4K Remaster Theater revival)

史劇映画史に金字塔を打ち立てた1作目の劇場再上映版。
『人心に驕り策に溺れ、自ら破滅に向かって突き進んでいく』 コモドゥス帝像は、
ホアキン・フェニックスが以降演じることになったキャラクター造形を
ある程度方向づけてしまったとも言える







□ Hans Zimmer / “The Might of Rome”

OST史においても燦然と輝くHans ZimmerとLisa Gerrardによるスコア、本作はクラシックリソースからの引用も多く、本人が明言しているワーグナーの他、ホルストの『惑星』(実際に管理財団から訴えられた)、グレツキの『悲歌のシンフォニー』などと酷似した旋律も用いられている


DreamWorks / Universal Pictures (2000)
Directed by Ridley Scott
Written by David Franzoni
Music by Hans Zimmer / Lisa Gerrard
Cinematography by John Mathieson
Production Design by Arthur Max