愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

三重県旧飯南町 深野だんだん田

2011年05月23日 | 棚田景観

この地へは、真夏のむせ返るような青田の8月初旬と、刈り入れが終わって籾殻焼きの煙がたなびく10月始め、年を跨いで2度訪れた。

我が山城からは遥かに遠く、和歌山街道と呼ばれる国道166号線沿いの、旧飯南町と松阪市を分けていた白猪山(しらいさん)南斜面に広がる棚田です。

国道166号線沿いの櫛田川に注ぐ風呂屋川に沿うように白猪山斜面をめがけて谷間を駆け上っていくと,深野だんだん田の入り口辺り長野地区と呼ぶ辺りにでる。

しかしこの辺りは棚田の最下部辺りでそれほど棚田を見渡せる景観も無く、更に石組みの棚田脇斜面をどんどん上へ上へと登らなくては成らない。

延々と続く石組みの棚田は確かに見るものを驚かすが、長野の集落を下に見下ろす夏明地区辺りから俯瞰する棚田が特に素晴らしい。

石組みが波打ち何層にもなって斜面を埋め尽くすその景観は、人の手が作り出した構造物とは言えそれは最早自然と一体と成っている。

石組の芸術と称されるこの深野だんだん田は棚田枚数約550枚、法面は全て石組みで造られよく整備され、現在に至っても耕作放棄田は皆無なように見受けられる。

こんな山間地に有っても集落にも廃屋等、荒れたところも見られず、此処は一体どうなっているのだろう??、

集落を歩いていても時間がしっかり動いているのを感じる、空気がよどみなく動いているのを感じる。

夏明地区の右山裾には棚田全体を見渡せる展望台が有って良く整備も行き届き山紫水明ののこんな棚田で造られる米はさぞかし旨いのだろう・・・・。

室町期より開墾、造り始められたこの棚田は営々として今日まで、絶えることなく造り、守り続けてきた先人達の苦労はいかばかりだったのだろう??

石積みの総段数約120段、総延長は120kmにも及ぶと言う石組みは勿論「日本の棚田100選」にも選ばれている。

畦脇を縫って流れる水路にはサワガニが遊び、此処はあくまで自然豊かな棚田で有ることを再認識させられる。 

撮影2008.10.4/2010.7.10