Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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小脳失調とジストニアを呈する遺伝性疾患の鑑別

2005年02月19日 | 脊髄小脳変性症
発作性失調症2型(episodic ataxia 2; EA2)やSCA6の原因遺伝子であるCACNA1A遺伝子(P/Q-type Ca channelをコードする遺伝子)の新規遺伝子変異により,成人発症のジストニアが生じることが報告された.異なる家系に由来するに2症例の検討であり,ひとつは常染色体優性遺伝と考えられる4世代にわたる家系,もうひとつは弧発例である.表現型に関しては,1例は15歳で発作性小脳失調にて発症し,59歳で右側頚部・上肢のジストニアを発症している.もう1例は5歳で発作性小脳失調を発症し,47歳で両側眼瞼攣縮を呈した(これは偶然の合併の可能性も否定できない).ともにジストニアは発作間欠期にも認められた.CACNA1A遺伝子検索の結果,前者では4963C→T(Q1561X;ナンセンス変異),他方は3772delC(フレームシフト変異;下流にストップ・コドン出現)を認め,ともにP/Q-type Ca channel 蛋白のtruncationを来たす変異であった.治療としては前者ではクロナゼパム・カルバマゼピンが行われジストニアには有効であったが,小脳症状が増悪した.頚部ジストニアにはボツリヌス毒素注射が有効であったが,のちに効果は減弱した.後者でもボツリヌス毒素が使用されたが,繰り返し行うことで効果は減弱した.
ジストニアを合併する遺伝性脊髄小脳失調症としてはSCA3,SCA6,SC7などが知られているが,今後,EA2も鑑別に加える必要がある.

Arch Neurol 62; 314-316, 2005 
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