舞踏運動は振幅が大きく踊るような,短時間の突発的な不随意運動である。解剖学的には線条体(尾状核,被殻),内包前脚,淡蒼球外節,視床,視床下核の病変で生じうる。舞踏運動を呈する疾患にはさまざまなものがあるが、遺伝性に発症する疾患としては、Huntington病 (HD), Huntington病類縁疾患1型(HDL1), 2型(HDL2), DRPLA, 脊髄小脳変性症17型(SCA17)、そして良性遺伝性舞踏病(BHC)が知られている。良性遺伝性舞踏病はなぜか昔から教科書に載っている病気だが,その存在の有無に関しては様々な論争があった.しかし,2002年になりTITF-1(thyroid transcription factor-1 gene)遺伝子に欠失を認める家系が発見されTITF-1遺伝子がBHCの原因遺伝子であることが判明した.この疾患は上述の疾患とは明らかに臨床像が異なり,発症は幼児期ないし小児期,非進行性で生命予後は良好.永続的な知能障害はなく,舞踏病も成長に伴い改善することが多い(つまり成人発症の良性舞踏病の報告はなかった).
今回、新潟大学から成人発症良性遺伝性舞踏病の2家系が報告された.ともに常染色体優性遺伝をしめす.発症者は上下肢や体幹・頭部に,緩徐に進行する舞踏運動を呈する.四肢の著明な筋トーヌス低下が見られる.認知症は伴わない.発症年齢は 40 ~66歳(平均54.3歳).舞踏運動は少量のセレネースで治療可能.頭部画像所見では全例,線条体の萎縮はない(ただしSPECT上では尾状核の低血流が認められる).
遺伝子検索では上記に挙げた既知の疾患は否定され,TITF-1遺伝子にも異常は認めなかった.連鎖解析では,染色体8q21.3–q23.3 にtwo-point LOD scoreが4.74(D8S1784)という結果であった.2家系の解析から原因遺伝子の候補領域はM9267からD8S1139までの21.5 Mbに絞られた.本疾患はbenign hereditary chorea type 2(BHC2)と名付けられた.
本疾患は神経学的には舞踏運動のみを成人期以降に発症し,認知症などその他の神経学的異常を呈さないことからあまり症状を自覚せず病院にも通院しないということもあるかもしれない.また老人性舞踏病(senile chorea)という疾患概念が存在するが,それらとの関連があるのかどうかについても興味が持たれる.症例の集積による臨床像の解明と原因遺伝子の発見が待たれる.
Brain April 2, 2007(Advance Access published online)
今回、新潟大学から成人発症良性遺伝性舞踏病の2家系が報告された.ともに常染色体優性遺伝をしめす.発症者は上下肢や体幹・頭部に,緩徐に進行する舞踏運動を呈する.四肢の著明な筋トーヌス低下が見られる.認知症は伴わない.発症年齢は 40 ~66歳(平均54.3歳).舞踏運動は少量のセレネースで治療可能.頭部画像所見では全例,線条体の萎縮はない(ただしSPECT上では尾状核の低血流が認められる).
遺伝子検索では上記に挙げた既知の疾患は否定され,TITF-1遺伝子にも異常は認めなかった.連鎖解析では,染色体8q21.3–q23.3 にtwo-point LOD scoreが4.74(D8S1784)という結果であった.2家系の解析から原因遺伝子の候補領域はM9267からD8S1139までの21.5 Mbに絞られた.本疾患はbenign hereditary chorea type 2(BHC2)と名付けられた.
本疾患は神経学的には舞踏運動のみを成人期以降に発症し,認知症などその他の神経学的異常を呈さないことからあまり症状を自覚せず病院にも通院しないということもあるかもしれない.また老人性舞踏病(senile chorea)という疾患概念が存在するが,それらとの関連があるのかどうかについても興味が持たれる.症例の集積による臨床像の解明と原因遺伝子の発見が待たれる.
Brain April 2, 2007(Advance Access published online)
http://o-san.blogspot.com/2007/09/pkc.html
paroxysmal kinesigenic choreoathetosis(パロキシマール キネシジェニック コレオアテトーシス)発作性運動誘発性舞踏アテトーゼという病気です。
立ち上がりや動作の始めに不随意運動を起こすもので、私は9歳の頃にその症状が出始めました。
現在19歳ですが、いまだに治ることはありません。最近になって再び病院に行き始め、神経内科のある病院で初めてこの病名が下されました。
医師の話では、薬を飲み続ければ発作は起こらないということですが、治ることはないらしいです。ただ、年を経るとともに症状が軽くなり、40~50代にはほとんど目立たなくなるそうです。
非常に稀な病気で、特に親からの遺伝が多いそうですが、孤発性といっていきなり現れることもあるのです。
もっと詳しく調べたいのですが、探してもまったく理解できない文ばかり出てきてしまいます。
なにか良い文献やページを知ってませんか?
先生のずっと以前の書き込みに、「抗カルジオリピン抗体の上昇は認知機能低下と関連することがすでに報告されている.」とありました。
この事は、神経内科医ならば誰もが知っていることでしょうか。
アスピリンを処方してもらいたいのですが、この事を知らないと、嫌な顔をされるような気がするのですが。