Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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早期発症捻転ジストニア(DYT1)における神経細胞封入体

2004年10月14日 | その他の変性疾患
DYT1遺伝子変異を伴う早期発症捻転ジストニアは,一般に小児期に下肢より発症し,成長と共に全身性のジストニアとなる.発症年齢により予後が大きく異なる(成人発症例ではジストニアは局所にとどまる).常染色体優性遺伝の疾患で,DYT1遺伝子におけるGAG 3塩基欠失が原因であることが判明している.浸透率は低く,保因者の70%が非発症であるが,ごく最近,この遺伝子が「反復性うつ病」にも関与することが報告され注目されている(Neurology 63;631-7, 2004).
今回,病理所見の報告がなされ,中脳,とくに網様体,脚傍核,楔状核,中脳水道周囲灰白質において神経細胞の細胞質(核近傍)封入体が確認された.ユビキチン,torsin A(DYT1遺伝子産物),Lamin A/C(核膜の構成蛋白)陽性であった.黒質,線条体,海馬,大脳皮質にはこの封入体は認めなかった.
ポリグルタミン病やMSAなどと同様,細胞内封入体が神経変性の病態機序にどのように関わっているのかを解明することが今後の課題と言えよう.

Ann Neurol 56;540-547, 2004
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