ミネソタ州ロチェスター(Mayo Clinicの所在地)において,てんかん患者の発作時における外傷の危険性についてretrospectiveなpopulation-based studyが行われた.患者は1975~1984年までにてんかんと診断された247名.外傷は口舌の外傷を除くすべてと定義した.外傷の危険因子を検討する目的で,外傷を認めない群との比較を行った.結果としては,2714人年の観察期間に,39名(16%)において計62外傷を認めた(44人年に1回の頻度).多くの場合(82%),外傷は頭部軟部組織の挫傷・裂傷で,多くは重症のものではなかった.単変量解析による危険因子の解析では①抗てんかん薬内服の種類が多いこと,②生活の自立が困難であること,③Rankin scoreが高いこと(ADLの状態が悪い),④全般性てんかんやいわゆるdrop attackの既往,⑤てんかん発作の頻度が高いこと,が挙げられた.多変量解析では,てんかん発作の頻度のみが唯一の危険因子であった.
つまり,てんかん発作に伴う外傷頻度は高くなく,かつ一般に軽症であったことから,外傷を避けるための過度の日常生活動作の制限は不必要であると言える.ただし,上述の危険因子を伴う場合にはより厳密なコントロールが必要であることを神経内科医,患者とも認識すべきである.
Neurology 63; 1565-1570, 2004
つまり,てんかん発作に伴う外傷頻度は高くなく,かつ一般に軽症であったことから,外傷を避けるための過度の日常生活動作の制限は不必要であると言える.ただし,上述の危険因子を伴う場合にはより厳密なコントロールが必要であることを神経内科医,患者とも認識すべきである.
Neurology 63; 1565-1570, 2004
