Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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COVID-19から脳を守る必要がある@日本認知症学会,札幌市医師会講演会

2023年12月01日 | COVID-19
「COVID-19後遺症としての認知機能障害―病態機序と治療の展望―」という講演をさせていただきました.認知症の新しい危険因子であるCOVID-19について,最新情報にアップデートしご紹介しました.Long COVIDの病態機序はだいぶ明らかになりつつあり,COVID-19は急性期の呼吸器疾患から慢性期の神経疾患としての人体への影響が危惧され始めています.つまりCOVID-19から脳を守ることを啓発する必要があります.札幌市医師会の先生方から非常にたくさんのコメントを頂き,スライドのご希望がありました.こちらからダウンロードいただけます.

以下,講演要旨です.
◆入院患者の認知機能障害を予測する2 つの血液バイオマーカーとしてフィブリノゲンとD-ダイマーが同定された.
◆Long COVIDのなりやすさを規定する臨床的・遺伝学的・免疫学的要因が判明した.



◆Long COVIDは2年間の追跡でも回復しにくい.
◆COVID-19はアルツハイマー病のリスクを2倍程度上昇させる.
◆認知症を来しやすい要因として,高齢者,重症感染,3ヶ月以上の嗅覚障害が報告されている.
◆軽症感染でも(気が付かないだけで)高次脳機能に影響が生じている可能性がある
◆オミクロン株は嗅覚障害は生じにくいものの,神経侵襲性は武漢株を含めた他の変異株と変わっていない.
◆ヒトLong COVIDで脳内の幅広い領域で神経炎症が生じている.



◆認知症を含む神経後遺症の機序として,ウイルスの持続感染が重要視されている.
◆ほぼ全身の臓器にウイルススパイク蛋白が存在しうる.
◆Long COVIDの異なる病態を結びつけるメカニズムとしてセロトニン欠乏が同定された.



◆持続感染が認知機能障害を引き起こす機序についても解明されつつある.



◆持続感染による脳への障害を考慮すると,ワクチン接種によってCOVID-19を予防することが大切である.
◆治療戦略として,抗ウイルス薬の長期間投与や,ミトコンドリア機能の回復が有効であるかが注目されている.

スライドへのリンク 

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