Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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特発性正常圧水頭症の現在@Brain Nerve誌2月号

2024年02月13日 | 認知症
アルツハイマー病に対するレカネマブが実用化されましたが,その恩恵を受けるのは使用される患者さんだけではないと思います.それは認知症もしくは認知症が疑われる患者さんを診たときに,今まで以上に適切な診断を行われるようになるためです.とくに特発性正常圧水頭症(iNPH)を代表とする治療可能な認知症(treatable dementia)の診断は今後ますます重要になります.しかし問題が2つあります.1つ目は症状を呈していても老化によるものとして見過ごされることが多く,病院受診率が依然として低いこと(よってこの疾患の啓発の必要があること),そして2つ目はiNPHの診断は専門医でも必ずしも容易ではないことです.

このため編集委員をつとめるBrain Nerve誌で,特集「特発性正常圧水頭症の現在」を企画させていただきました.しばらくiNPHの特集をした医学誌がなかったこともテーマに選んだ理由です.本邦におけるiNPH研究は世界的にも質が高く,非常に多くの貢献をしていますが,その中心となった著者の先生方の熱心な筆致により,非常に濃厚で,大満足の1冊になりました.本特集では,2020年に改訂されたガイドライン第3版を概観しつつ,iNPHの症候学や画像所見,鑑別診断やシャント術後の予後予測など,下記のような幅広いテーマを網羅してあります.お手元に置いて,ぜひご活用いただければと思います.

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目次(医学書院へのリンク

特発性正常圧水頭症の症候学(森 悦朗)
特発性正常圧水頭症診療ガイドライン overview(數井裕光,河合 亮)
グリンパティック系と特発性正常圧水頭症(猪原匡史)
特発性正常圧水頭症の疫学・自然歴と遺伝(伊関千書)
特発性正常圧水頭症の鑑別診断──特に進行性核上性麻痺(大原正裕)
特発性正常圧水頭症の神経病理と最近の動向(宮田 元,大浜栄作)
特発性正常圧水頭症の最新画像診断(高橋竜一,石井一成)
特発性正常圧水頭症のバイオマーカー(中島 円)
特発性正常圧水頭症の外科的治療(喜多大輔)
特発性正常圧水頭症における髄液シャント術の予後予測(菅野重範,鈴木匡子)
特発性正常圧水頭症の運動障害とリハビリテーション(二階堂泰隆)


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