Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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神経内科医の燃え尽き症候群を防ぐために  -日本神経学会学術大会シンポジウム・アンケートのお願い-

2018年03月12日 | 医学と医療
米国からの報告で,他の診療科医と比較し,神経内科医はワーク・ライフバランスの満足度,そして燃え尽き症候群(バーンアウト)の頻度のいずれもが悪いことが報告されています(Mayo Clin Proc, 2015).2017年,米国および中国からNeurology誌に報告されたアンケート調査でも,神経内科医のバーンアウトの頻度は60%前後と高率でした.この原因として,認知症や脳卒中などの神経疾患患者数の増加による事務作業量の増加や,神経内科医特有のキャラクターなどが関与することが報告されています.昨年度の米国神経学会総会では,バーンアウトを防ぐためのいくつもの試みがすでに開始されており,私は大変驚きました.

5月に開催される第59回日本神経学会学術大会@札幌において,標題のシンポジウムが採択されました.内容としては,まずバーンアウトに関する世界の状況や取り組みを紹介した後(当日発表より長いバージョンを,下記のスライドシェアでご覧いただけます),大学,急性期病院に勤務する医師,女性医師,若手医師の観点から,バーンアウトに関する問題点と課題についてご提示いただきます.フロアを交え議論を行い,今後の取組みやバーンアウトしないためのtipsを共有することを目的とします.

本邦においても,まず米国・中国と同様の調査が必要と思われます.日本神経学会員全員を対象としたアンケートを行うことが理想ですが,まずは学術大会での議論を深めるため,大学に勤務する神経内科医および女性の神経内科医を対象とした緊急アンケートが行われることになりました.今週以降,対象者にアンケートが発送されます.前者は順天堂大学脳神経内科服部信孝教授・横山和正先生,後者は東名古屋病院饗場郁子先生が中心になり作成されました.

高齢化がとくに急速に進行する日本において,神経内科医のバーンアウトの問題はますます重くのしかかるものと思われます.日程上,回答期間が短くなり恐縮ですが,ぜひご回答をお願いいたします!高い回収率による質の高いアンケートとなり,シンポジウムおよび今後の議論に役立てたいと思います.何卒,宜しくお願い申し上げます.

以下,シンポジウムのプログラムになります.

神経内科医の燃え尽き症候群を防ぐために~バーンアウトしないためのTipsをシェアしよう~ 
(5月25日(金)午前8:00-9:30)

座長:吉田一人先生(旭川赤十字病院神経内科),海野佳子先生(杏林大学医学部脳卒中医学教室)
演者:
1.世界のバーンアウトの状況 下畑享良(岐阜大学神経内科・老年科)
2.若手医師から見たバーンアウトの課題と対策 安藤昭一朗先生(長岡赤十字病院神経内科)
3.急性期病院におけるバーンアウトの課題と対策 井島大輔先生(北里大学医学部神経内科)
4.女性医師におけるバーンアウトの課題と対策 饗場郁子先生(国立病院機構東名古屋病院神経内科)
5.大学におけるバーンアウトの課題と対策 服部信孝先生(順天堂大学医学部 脳神経内科)


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