ALSの診断はきわめて慎重に行なう必要があるが,確実な診断を下せる検査が存在しないため,基本的には臨床像や他の鑑別すべき疾患を丹念に除外して診断することになる.球麻痺症状,上位ニューロン徴候,下位ニューロン徴候が揃えば診断も比較的容易だが,常にそれらが揃うとは限らず,その場合には診断確実性のグレード化を行いながら診断をつける(El Escorialの基準).ただし,診断のグレードが低いほど,ALS以外の他の疾患である可能性も残る.
個人的にALSとの鑑別が一番難しいと思う疾患は封入体筋炎(IBM)である.発症年齢は50歳以上で多く,成人の炎症性筋疾患としてはPM/DMに次ぎ,16-30%を占めるとされ,孤発性である.筋力低下は四肢・体幹に見られるが,遠位筋・近位筋いずれも生じうる.大腿四頭筋が侵されることや,手首や手指の屈曲が侵されることがある.筋電図ではunitがlong durationを呈することがあることは比較的知られているが,筋疾患であるのに関わらず,何とfasciculation(!)や腱反射亢進を伴うことが報告されている(Arch Neurol 58; 1253-1256, 2001).ではALSとどう鑑別すればよいのだろうか?
一番,有用な検査はどうも筋のCTないしMRIのようである.大腿部の筋肉ではかなり特徴的な所見を呈することが知られていて,筋MRIを行ったIBM 9例中7例で,大腿四頭筋のintensityの変化が見られ,かつそのうちの5例で,大腿四頭筋のうち,なぜか大腿直筋は侵されず,それ以外のvastus lateralis, intermedius, medialisの3つの筋にはっきりと異常信号が確認できる.また下腿レベルでは腓腹筋内側のみが侵される(Muscle Nerve 24; 1526-1534, 2001).もしこのパターンが見られれば,IBMを疑い筋生検にて確定診断を行うべきである.とくに大腿における大腿直筋がスペアされるパターンは他の疾患で見た覚えはなくIBMに特異性の高い所見であると思われる.ALSを疑いつつも経過のわりに症状の軽い症例や,大腿四頭筋に萎縮が強い症例では,IBMを確実にrule outすることが必要であろう.
個人的にALSとの鑑別が一番難しいと思う疾患は封入体筋炎(IBM)である.発症年齢は50歳以上で多く,成人の炎症性筋疾患としてはPM/DMに次ぎ,16-30%を占めるとされ,孤発性である.筋力低下は四肢・体幹に見られるが,遠位筋・近位筋いずれも生じうる.大腿四頭筋が侵されることや,手首や手指の屈曲が侵されることがある.筋電図ではunitがlong durationを呈することがあることは比較的知られているが,筋疾患であるのに関わらず,何とfasciculation(!)や腱反射亢進を伴うことが報告されている(Arch Neurol 58; 1253-1256, 2001).ではALSとどう鑑別すればよいのだろうか?
一番,有用な検査はどうも筋のCTないしMRIのようである.大腿部の筋肉ではかなり特徴的な所見を呈することが知られていて,筋MRIを行ったIBM 9例中7例で,大腿四頭筋のintensityの変化が見られ,かつそのうちの5例で,大腿四頭筋のうち,なぜか大腿直筋は侵されず,それ以外のvastus lateralis, intermedius, medialisの3つの筋にはっきりと異常信号が確認できる.また下腿レベルでは腓腹筋内側のみが侵される(Muscle Nerve 24; 1526-1534, 2001).もしこのパターンが見られれば,IBMを疑い筋生検にて確定診断を行うべきである.とくに大腿における大腿直筋がスペアされるパターンは他の疾患で見た覚えはなくIBMに特異性の高い所見であると思われる.ALSを疑いつつも経過のわりに症状の軽い症例や,大腿四頭筋に萎縮が強い症例では,IBMを確実にrule outすることが必要であろう.
>>ALSの診断はきわめて慎重に行なう必要があるが,確実な診断を下せる検査が存在しないため,
>>ALS以外の他の疾患である可能性も残るわけである.
これを遺伝子検査した父でも「まだ違うんじゃ?」
と期待してしまう私がいます・・・。
早く、切り替えなければならないのに。。。
>>封入体筋炎
こちらの疾患は初めて知りました。
神経難病は本当にたくさんあるものなのですね。
ALSの周辺が何やら、話題が多くなっている
2006~2007年です。
5月にも第48回日本神経学会総会の、
プログラムの中にあるみたいで!
一般人は入れないのが残念ですが(笑)
また何か最新の治療について良い進歩が
していたら良いなあと、
状況が分かると良いなあと期待をしています。
いつも神経難病の詳しい説明を書いて
くださってありがとうございます(^-^)
少しでも病気に関わる詳しい論文や文章が
分かると嬉しいです。
暖かかったり、寒かったり不思議なお天気
です。お体には十分、気をつけてくださいね。
endnoteも買ったので、試験終わったらカンプトを進めたいと思います。よろしくお願いいたします。
Post-polio syndrome (PPS) is a condition that can strike polio survivors decades after their recovery from poliomyelitis. PPS is believed to occur when injury, illness (such as degenerative joint disease), weight gain, or the aging process damages or kills spinal cord motor neurons that remained functional after the initial polio attack. Many scientists believe PPS is latent weakness among muscles previously affected by poliomyelitis and not a new MND. Symptoms include fatigue, slowly progressive muscle weakness, muscle atrophy, fasciculations, cold intolerance, and muscle and joint pain. These symptoms appear most often among muscle groups affected by the initial disease. Other symptoms include skeletal deformities such as scoliosis and difficulty breathing, swallowing, or sleeping. Symptoms are more frequent among older people and those individuals most severely affected by the earlier disease. Some individuals experience only minor symptoms, while others develop SMA and, rarely, what appears to be, but is not, a form of ALS. PPS is not usually life threatening. Doctors estimate the incidence of PPS at about 25 to 50 percent of survivors of paralytic poliomyelitis.
封入体筋炎の(狭義の)変性は大変特徴的で、現在注目を浴びています。
この異常構造物にはアミロイドβタンパク(アルツハイマー病の関連蛋白)、リン酸化タウ(アルツハイマー病・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症などの関連蛋白)、αシヌクレイン(パーキンソン病の関連蛋白)、TDP-43(筋委縮性側索硬化症の関連蛋白)、プリオン(クロイツフェルト・ヤコブ病の関連蛋白)などの様々なタンパクが沈着していることが解っています。
これらの神経難病に関連するタンパクは正常の筋組織内部には認められず、神経難病の病態との関連があるのではないかと注目されているわけです。